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協同組織金融機関の役割を世界に発信 IIF総会で中金の河野理事長がスピーチ

 48年ぶりに東京で開催されたIMF・世銀総会に合わせ、10月11日から開かれたIIF(国際金融協会)総会で農林中央金庫の河野良雄理事長が協同組織金融機関を代表して特別セッションに参加。東日本大震災からの復旧・復興支援への取り組みなどを話し、協同組織金融機関の意義や役割を世界の金融機関トップ層に訴えた。

スピーチする河野理事長 IIF(国際金融協会)は、世界の大手民間金融機関が参加する組織。国際金融システムの安定を維持するために1983年に設立された。400社を超える金融機関が参加している。日本での総会は初めて。
 河野理事長は東日本大震災後の日本経済をテーマにした特別セッションでスピーチした。
 震災直後に被災地を回った河野理事長は「被災者と被災地から遠く離れている者との間には超え難い溝があると痛感した。頑張れと励ますのではなく寄り添うことの必要性を感じた」という。
 そのために迅速に対応策を示して安心感を与える必要があることから「トップダウンで方針を打ち出した。もっとも避けたいことは意欲ある農漁業者が被害の甚大さに戻ってくることをあきらめることだった」。
 具体的な取り組みとしては、全国に毛細血管のように張り巡らされた組織ネットワークをいかした被害状況の把握や、通帳やカードなしで避難せざるを得なかった被災者に対して全国のJA、JFで現金の支払い対応をしたことなどを紹介。現金支払いでは「今にいたるまで大きな不正や事故は起きていない」と強調した。
 また、復興支援プログラムをとりまとめ災害対策資金の創設、漁箱などの資材支援、被災JA・JFへの資本注入などを行ったことにも触れた。
 「私たちの矜持は決して逃げないということ。これからどうなるかと不安な方々に対して私たちは金融も事業支援も全部受け持つ。それが協同組織。私たちは人と人、組織と組織との有機的な絆を持ち合わせるこの金融のあり方をネットワーク型金融と名付けている」と述べて、世界の金融が予断を許さない状況のなかで「絆でつながるネットワーク型金融の考え方は新しい金融の姿として、世界金融の成長に貢献するためのひとつのヒントになるのではないか」と訴えた。
 河野理事長はスライドで「人」という漢字を映し出し「これはお互いが支えあっている形」と紹介し「私たち農林水産業の協同組合メンバー1100万人は、全国どこにいても被災者の悲しみを共有し続けることで、今後とも被災地を支援していく」と決意を改めて語った。

(写真)
スピーチする河野理事長


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