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肥料価格2期連続で値下げ  JA全農24肥年度春肥価格を決定

 JA全農は平成24肥料年度春肥(24年11月〜25年5月)の主要品目の価格について決定し、10月30日に公表したが、24肥年秋肥に次いで2期連続の値下げとなった。

 主要品目の価格変動率(24肥秋肥対比)は表の通りだが、単肥は輸入尿素は値下げ、他の窒素質肥料は据え置き、りん酸質肥料および加里質肥料は1.1%から3.3%の値下げとなった。また複合肥料の高度化成は、基準銘柄である一般(15-15-15)で、0.7%の値下げとなっている。
 これにより、「秋肥に続きほとんどの品目で値下げを実現」(全農肥料農薬部)したことになる。
 JA全農は6月から各メーカーと個別に価格交渉を行ってきたが、窒素質では、輸入尿素は夏場に下落した国際市況や為替の円高を最大限に反映して値下げとした。これにより、高値のLNG価格を背景にメーカーからの値上げ要請が強かった国産尿素も据え置きとした。また、他の国産窒素質肥料についても、国産尿素価格に準じて据え置きとなった。
 過石、熔燐などのりん質肥料については、原料であるりん鉱石価格の軟化を最大限に反映して値下げとなった。
 加里質肥料については為替の円高、海上運賃の軟化を最大限反映して値下げとなった。
 窒素・りん酸・加里を含む複合肥料については、原油の相場観や東電などの電力値上げなど製造諸経費の値上がりなどをメーカー側は主張したが、値上げ要因は企業努力によって吸収することを求め、主原料の値下げを最大限に反映して値下げを実現した。
 ただし、有機化成については、菜種粕など植物質有機原料が大幅に上昇しているため、基準銘柄は据え置きとなったが、植物質有機含量が多い銘柄は値上げとなっている。
 JA全農では、世界的な人口増や中国、インドなどでの食生活改善による食物需要の増加によって「世界的な肥料需要は底堅い」ものがあるとみている。市況はその時々で動くので「上げ一辺倒ではないが、今後も海外肥料原料価格の上昇基調が予測される」と考え、今後も「施肥コスト抑制対策を一層強化」していくことにしている。
 具体的には、▽土壌分析・診断にもとづく適正施肥の実施、▽PKセーブや低成分肥料の普及拡大、▽省力型施肥技術の普及推進、▽鶏糞燃焼材などの安価な国内未利用資源の活用、▽物流合理化の推進をこれからも進めていく。

24肥年度春肥価格主要品目の価格変動率


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