シリーズ

食肉流通フロンティア ―全国食肉学校OBの現在

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第6回 美味しい国産牛を消費者も納得できる価格で提供できるネットワークを

和牛をリーズナブルな価格で提供
誰もがA5の肉を求めているわけではない

 千本通りから堀川通りまで、京都で一番長いアーケード商店街という「京都三条会商店街」に「京の焼肉処 弘」の本店がある。商店街の千本通り側の入り口には、ご両親やお兄さんが経営する精肉店「ミートショップ ヒロ」があり、終日多くの買い物客で賑わっている。
 西田社長もこの店で小さい頃から食肉に親しんで育ち、大人になったら「食肉関係の事業をやりたい」と考えていた。だから平成2年に大学を卒業してすぐに全国食肉学校の食肉販売科(当時は、食肉店舗科)に入学したのだという。

西田哲也社長
西田哲也社長

◆業界標準にとらわれない独自メニューを開発

 千本通りから堀川通りまで、京都で一番長いアーケード商店街という「京都三条会商店街」に「京の焼肉処 弘」の本店がある。商店街の千本通り側の入り口には、ご両親やお兄さんが経営する精肉店「ミートショップ ヒロ」があり、終日多くの買い物客で賑わっている。
 西田社長もこの店で小さい頃から食肉に親しんで育ち、大人になったら「食肉関係の事業をやりたい」と考えていた。だから平成2年に大学を卒業してすぐに全国食肉学校の食肉販売科(当時は、食肉店舗科)に入学したのだという。
 「食肉店舗科」は、食肉小売店やスーパーマーケットなどの食肉部門の専門家、MDの養成、営業部門で活躍しようとする人を対象に、この年に新設された3か月半のコースだ。
 全国食肉学校で得たものは、部位の特徴や商品化の技術を体系的に学んだことだ。とくに焼肉店を経営するようになってからは、「部位ごとの特徴を引き出す技術とシッカリ原価計算をした商品づくりをしていく」ことが役に立った。
 焼肉といえばカルビ・ロースという業界標準のメニューがあるが、それにとらわれず「適正価格で各部位を美味しく食べてもらうためには、どういうメニューづくりがよいのか、自分で考えて決めることができた」。
 そのための知識と技術を修得できたということだ。

◆和牛をリーズナブルな価格で提供

本店玄関
本店玄関

 西田社長が焼肉店を開業するのは平成9年のことだが、それまではお兄さんたちと実家の精肉店で仕事をしていた。精肉の納品先には焼肉店もあり、仕事をするかたわら「牛1頭を精肉店と協力して無駄なく使っていけば、高品質な肉をリーズナブルな価格で提供することができる」と考えた。
 例えば、惣菜としてステーキ用ロース肉を精肉店で買う人はめったにいないけれど、焼肉店ならメインメニューとして売れるのではないか。1頭の牛を仕入れ、それを精肉店と焼肉店で無駄なく使えばコストが抑えられるはずだ。
 当時、京都の焼肉業界は、2000円台で輸入牛肉が食べられる大型チェーンと高級和牛を8000円台で食べさせる店に分かれていた。
 そこで「京都人は牛肉の品質を志向するので、良いものをリーズナブルな価格で提供すれば支持される」とそれまでの考えを実行に移し、4000円台で和牛が食べられる店を開業。
 いまは京都市内に4店舗を構えるまでになった。

◆誰もがA5の肉を求めているわけではない

 西田社長は、「箱に詰められた肉を仕入れて売る」のではなく、「牛という生き物からお肉をわけてもらいそれを焼肉という商品にして売っている」。「肥育生産者とのつながりがあって、焼肉というサービス業が成立っている」という意識がもてたこと、そういうネットワークをもてることが、全国食肉学校のOBとしての「大きな財産」だという。
 「市場の買参人ばかりではなく消費者を意識した生産者とネットワークができれば」と考えている。今後、価格面では安い輸入牛肉がいままで以上に流通するかもしれないが、国産牛肉の食文化を自分たちの手で守っていくという生産者も含めたネットワークの形成が大切であり、「サービス業として国産牛の付加価値をシッカリつけて提供することで、生産者が再生産でき、自分たちにも利益があり、消費者も満足できる」ようにしたいという。
 「消費者は安いものだけを求めているわけではない。価値を認めたものにはお金を出す」。みんなが松阪牛や最高級ランクA5の肉を求めているわけではなく、高級肉だけを追求する姿勢は、消費の現場からかけ離れてしまうのではないかと危惧 している。美味しい国産牛を消費者も納得できる価格で提供できるネットワークをつくっていくことがこれからの食肉業界のあり方の1つではないかという。
 全国食肉学校で得た知識のうえに、精肉店と焼肉店で培ってきた経験と見識から導き出されてきた確かな方向性のようだ。

木屋町店玄関 木屋町店の納涼床 
木屋町店玄関 木屋町店の納涼床 

◆意欲ある人が働きたいと思う会社に

 最後に後輩に一言「全国食肉学校は、食肉業界の将来を担う人の育成機関です。そこで学ぶからには業界の発展のために貢献できる人になってもらいたい。そのために、学校で教えてもらうことは必ず役に立つという信念を持って、学業に専念して欲しい」と語ってくれた。
 これまで全国食肉学校から多くの実習生を受け入れてきたが「意欲のある人に、『京の焼肉処 弘』で学びたいと言われるような価値ある会社にしたい。また、実習生に来てもらうことは、自社を見直すいい機会でもある」と考えている。そして実習生が「ここで働きたいと思ってくれれば嬉しいですね」と語ってくれた。

【著者】西田哲也
           (株)弘(京の焼肉処)社長 

(2008.03.04)