【コラム・コンセンサス・ポリティックスにひとこと】選挙によって政治が変えられる2015年2月19日
北欧のスウェーデンは、面積で日本の1.2倍、人口は960万人で最近増えている。裕福な福祉国家のモデルとして知られる。昨年10月、8年ぶりに政権交代が実現し、社会民主党中心の左派連合が与党になった。
駐日スウェーデン大使による「最近の政治」の講演を聞いた。若いころ彼は日本に4年間報道官として勤務し、キャリアを重ねてベルギー大使、ブラジル大使を歴て昨年12月駐日大使に赴任したばかり。主な仕事は「貿易と投資」という。日本もスウェーデンも随分変わったという。
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30年前のスウエーデン社会民主党は安定した支持を集め長期政権を維持していたが、今回、政権に復帰した社会民主党は、単独でなく環境党との連立内閣で、左党(共産党)の閣外協力を得て、かろうじて比較多数を維持し(159票)、内閣を組織した。野党は中道派の穏健党・自由党・中央党・キリスト教民主党(141票)、どちらも過半数を獲得できずに、極右派のスウエーデン民主党(49票)がキャスチングボードを握っているのが政治勢力図である。
新政権の提案した予算案が否決され、野党の提出した予算案が、極右政党スウェーデン民主党の賛成で、野党の案が議会を通過するという前代未聞のことが発生した。怒ったローベン首相(社会民主党)は、内閣総辞職し、新たな議会選挙を実施し、民意を問おうとした。
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しかし、これからが日本とスウェーデンの違うところ。議会の解散は首相の権限と手をこまねいているのでなく、世論調査や各種の民意を問う動きが活発化した。各党の支持率は、6ヵ月後(今年3月)に再選挙しても、与野党の勢力図は大きくは変わらないとのコンセンサスが出来上がった。世論の力に押されて与野党とも無駄な選挙は取りやめたのである。
ちなみに投票率はスウェーデン85%、北欧はどの国も常に70%以上である。日本の12月総選挙52%とは格段に違う。選挙によって政治が変えられるという意識が国民にある。
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大使によればスウエーデンには、歴史的に地主と小作人の封建制度がなく、自分で考える自作農民が多かった。年金、エネルギー、国防、外交などは与野党合意し、移民問題等の個別項目で争う。コンセンサス・ポリテックス(合意政治)が現代まで受け継がれている。
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