シンとんぼ(118) -改正食料・農業・農村基本法(4)-2024年11月16日
シンとんぼには農業の持続的発展と食料の安定供給への切なる思いがあり、この思いが一日でも早く実現されることを願いながら、今後の農業を占う様々な事項についてして持論を展開している。現在、2024年6月に改正された食料・農業・農村基本法をしっかりと学び、同法を理解した上で農業関係者が何をしなければならないのかを思案を巡らせている。実際の具体的な内容については来年3月に出される予定の「食料・農業・農村基本計画」で明らかとなるだろうから、詳細の検討は後に行うこととし、まずは改正法から国の考え方の方向性を探っていこうと思い、条文の理解を進めている。
前回、前々回と第一条に新たに追加された「食料安全保障の確保等」をめぐり2つのキーワードを先に読み込んでしまった。ここで、ちょっと戻って第二条にどんなことが書いてあるかみてみよう。
第二条のタイトルに「食料安全保障の確保」とある。この部分は、旧法では「食料の安定供給の確保」となっていたものが改定されたものだ。旧法の"安定供給"が改正法では"安全保障"に位上げされており、いよいよ農水省も食料安保に本腰を入れてくれるたのだなと期待が膨らむ。
では、その条文にはどんなことが書いてあるのだろう。
第二条第1項には、「食料については、人間の生命の維持に欠くことができないものであり、かつ、健康で充実した生活の基礎として重要なものであることに鑑み、将来にわたって、食料安全保障(良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態をいう。以下同じ。)の確保が図られなければならない。」とある。これは、旧法の第一項に「国民一人一人が良質な食料を合理的な価格で安定的に入手できる状態」という意味を加えて、
"食料安全保障"の定義としているようだ。なるほど、そのとおりである。問題はその実現方法であるが、まずは第2項をみてみよう。
第2項には、「国民に対する食料の安定的な供給については、世界の食料の需給及び貿易が不安定な要素を有していることに鑑み、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと併せて安定的な輸入及び備蓄の確保を図ることにより行われなければならない。」
加えて第3項には、「食料の供給は、農業の生産性の向上を促進しつつ、農業と食品産業の健全な発展を総合的に図ることを通じ、高度化し、かつ多様化する国民の需要に即して行われなければならない。」とある。次回、この第2項を掘り下げてみようと思う。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日