【スマート農業の風】(24)営農管理にグループデータが有用2026年3月3日

スマート農業と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。ドローンを使った画像データに基づく精密栽培、ドローンの自動操縦で防除の完全自動化、ロボット農機による完全自動運転など、作業の精密化と人間に対する作業の簡略化のための技術に代表されるスマート農業を思い浮かべることが多い。ただ、これらの作業のいくつかは、ほ場をデータ化しなければ作業すらできない。もちろん、作業前にほ場をスマート農機で一回りする。また、空運転をしてほ場を登録するなどですぐ使えるという機械もあるが、作業前にほ場の登録が何らかの形であれ、必要となってくる。
これらと同様で、スマート農業を語るとき、営農管理システムは外せない。ほ場をデジタルデータで登録し、ほ場管理をおこなうというものだ。PCとスマホの両方で管理できるクボタのKSASや全農のZ-GIS、スマホだけで完結し料金の安さと手軽さが売りのシステムなどいろいろある。ほ場をデジタルで登録するメリットは、ほ場の状況を作業者全員が把握できることだ。作業の進捗(しんちょく)はもちろん、栽培している品目の確認、作業者の配置や作業指示、基本的なほ場の場所などが確認できる。ほ場の場所など、覚えればよいという考えもあるが、50haを超えると無理な部分も多く、新しく仕事を始めた人には必須の技術である。車のカーナビが標準装備となる昨今、営農管理システムと連携した電子デバイスは農作業でも一般的になるべきである。
この営農管理システムは、すでに相当数の普及に至っているが、農業経営の規模により導入が進んでいないという面もある。「個人で経営しているから、わざわざデジタルで登録しなくてもほ場の管理はできる」とか「長年の経験と勘でその時の作業を決めるので、デジタル管理や作業予測の機能などはいらない」など営農管理システムを導入しない言い訳はいくらでもある。ただただ面倒くさいという言い訳ばかりだが、小規模農家ではよくある話だ。だが、営農管理システムで作成したデータを共有して、出荷や共同管理に必須となれば活用しなければならないのではないか。
では、小規模農家でも営農管理システムを活用できるような事例はないのかと調べたら、意外なところに事例があった。Z-GISの親子機能を使った事例だ。
ご存じのようにZ-GISは全農が提供する営農管理システムだ。Excelのデータとインターネット上の電子地図をひもづけて管理する。管理データはユーザーが決めるのでシンプルに使うことも、ユーザーの求めるものをすべて詰め込んだ緻密なものも作成できるが、Excelデータを使用する関係からシンプルに使うほうがシステムとの相性が良い。
Z-GISはユーザーIDに基づくクラウドでデータを保管する。この機能を最大限生かした特徴的な機能が「グループ共有機能」と「親子機能」である。
「グループ共有機能」は部会などでデータを共有できる機能で、自分のデータをZ-GISに入力するだけで、グループ内の共有データ管理ができる。あらかじめ設定したExcelデータに自分のデータを入力するとクラウド上の共有管理するExcelデータに統合管理されグループ内で情報の共有が可能となる。作業の進捗・薬剤散布の実施確認など、共同出荷を前提とした部会での管理に特化している。
いっぽう「親子機能」は「親ID」と「子ID」を設定することで効率的にほ場データを集約管理する方法だ。親は子のデータを全て確認することができるが、子同士のデータの確認はできない。子は日々のデータをZ-GISに入力するだけで、親へのデータ提供が可能だ。防除の受委託申請や土壌診断の申請などで約立つ。
もちろんこれだけでなく、GAPの団体認証などでも活用されている。団体認証では、管理項目を共通で管理し、ほ場の場所など基本的な情報を親と共有する必要がある。あらかじめ親が、団体認証の対象者のほ場データを作成し、Z-GISからデータを送ることで、子はそのまま使用することができる。農薬使用回数などの複雑なデータ管理はできないが、ほ場地図の管理や危険場所の掲示など、GAP認証で必ず必要になる項目を作成・管理することができる。
特にGAPの団体認証では、対象者がどの程度個人で管理できているかがキモとなるが、基本となるほ場の地図作成を事務局が作成し一括管理することで、地図管理という項目においては確認ができる。また同時に、地域のスマート農業化を進めることができる。
加えて、Z-GISの「親子機能」は衛星を活用した情報提供サービスとの相性が良く、生育診断データの配布を親子機能でおこなう農協がある。親である農協から子である生産者に個別にデータを配布する際、クラウドから直接データを提供するのである。メールに添付する手間やUSBなどデバイスを経由する手間が省け、生産者はデータを確認後すぐに作業を始めることができる。
ここ掲示したZ-GISの「グループ共有機能」と「親子機能」の事例はほんの一部であるが、さまざまな活用場面を想定できる。スマート農業はハードだけでなく、営農管理ソフトの導入で活用場面を増やせると言えるのではないか。
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