【いつまで続く? 気候危機】脱炭素進まぬ日本 まず世論転換策 三重大学教授 立花義裕氏2026年4月3日
このコラムで何度も触れているように、日本は地球温暖化に伴う『スーパー異常気象』の頻発地帯である。農業関係者のほぼ全員が、地球温暖化を嫌っているであろう。農業関係者は、「一刻も早く二酸化炭素を減らし、異常気象の発生を減らさなければならない」と、脱炭素のメリットを痛感している。しかし二酸化炭素は増加の一途。今回は脱炭素が進まない理由と、その「方策」を考える。
三重大学教授 立花義裕氏
あるアンケートで"気候変動対策は、概ね生活の質を向上させる機会であるか"という質問を世界各国で取った。その回答が衝撃的だ。フランスは81%が向上させると回答。イタリア81%、インド75%、カナダ73%、アメリカ67%、中国65%、そして日本は17%。日本はたった17%しか温暖化対策をした方がいいと思う人がいない。
裏のアンケートも取っている。"気候変動対策は生活の質を脅かす"という質問だ。
それに関して、脅かすと思っている日本の方は60%で、世界全体平均では27%。多くの先進国は、CO2を減らした方が豊かになるという世論が主流だが、日本は真逆。この真逆の世論がある限り、日本では脱炭素が進むわけがない。
国際法を無視したトランプ大統領のイラン攻撃に伴う「石油危機」の発生と日本の反応を見ても然り。日本には、中東地域から石油が来なくなり、石油関連の価格が高騰しているのだから、世論や国が脱炭素へ舵を切るのかと思いきや、その片鱗すら見られない。脱化石燃料依存に舵を切る欧州と反対だ。アンケートの結果の通りとなっている。
日本は温暖化対策というと、「エアコンの温度を上げましょう、冬は暖房を弱めて我慢しましょう」のような、我慢を強いる対策が主流。人は我慢がイヤなのだ。だから「温暖化対策は負担」と感じる人が圧倒的に多い。大切なのは我慢ではない。温暖化対策をすると大きなメリットがあることを、知ること。それが大切なのだ。
人は、基本的に自分にメリット感がないことはしない。しかも長期的メリットではなく、短期的メリット。30年後よりも、明日の幸せの方がいい。メリットを感じない温暖化対策はダメ。温暖化対策をすればするほど、お得感が高まるような仕掛けを、国が実施すれば、きっと世論は大転換する。そのためには、「得をしてかつ面白い」がキモ。得をしても、そのために苦労するのは嫌な人が多い。人間の行動原理は、楽しく得をする。この両方を掛け合わせたものを探さないといけない。
例えば、JAさんが、賞金をつけて「得して楽しい温暖化対策賞」を募集するなどどうであろう。例えば受賞した人は1000万円貰えるとなれば、きっといいアイデアが出てくるだろう。その策を、国に提言していくのだ。
世論形成には、紙媒体の新聞も欠かせない。3月のある日の朝日新聞の一面に感動した。トップ記事は、温暖化による南極の氷の激減の危機。それを写真入りで大きく取り上げていた。その隣の記事は、ホルムズ海峡の封鎖による石油問題だった。石油危機と、気候危機を並べて、暗黙的に世論を誘導している。二つの記事のコンビネーションに拍手。ネット記事ではまねできない。紙の新聞は、自分の興味の分野の隣の記事を読むことで、視野が広がるのだ。入試問題や企業の入社試験で新聞をたくさん使おうではないか。また、気候変化や異常気象を入試でたくさん出して欲しい。さすれば、若者や教育熱心な親世代の、新聞定期購読者が増え、親子や学校で異常気象への関心が高まるだろう。
今年の入試で、嬉しいことがあった。拙著「異常気象の未来予測」(ポプラ新書、2025年発行)が複数の学校の入試問題で使われた。ある学校では、国語の入試問題で使っていただいた。この本では、気象学の面白さや脱炭素に大きく触れた。だから少年少女がこの本を読むことは、「楽しくて得をする」温暖化対策の一例となる。
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