食品産業で「求人に応募なし」が9割近くに 日本公庫調べ2017年12月5日
・労働力確保に苦慮
「求人への応募なし」が9割近くを占め、食品産業の労働力不足が深刻になっている。日本政策金融公庫(日本公庫)農林水産事業が今年の7月に実施した平成29年上半期食品産業動向調査で明らかになった。
同公庫によると、平成29年通年見通しの雇用判断DIが、平成9年の調査開始以来最大となり、人手不足感が高まっている。同調査では、雇用労働力について「不足」と回答した食品関係企業(有効回答2571社のうち1148社)を対象に実態を調査した。
それによると、労働力不足の原因は「求人に対する応募がない」が86.4%で最多となり、次いで「離職者が多い」(25.4%)、「応募が見込まれる待遇での求人募集ができない」(24.5%)だった。
「応募がない」の回答を業種別にみると、飲食業の95.1%が最多で、次いで小売業91.4%、製造業85.6%、卸売業84.1%だった。また飲食業は「離職者が多い」の回答割合が48.8%と他の3種(製造業、卸売業、小売業)に比べて多く、安定的な雇用の確保が難しいことがうかがえる。
労働力が不足している業種は「商品生産(単純作業)」が62.0%で最多となり、次いで「商品生産(熟練作業)」(43.0%)、営業・販売(40.6%)だった。業種間では、製造業が商品生産で、卸売・小売・飲食業は「営業・販売」や「流通や運搬に関する作業」で労働力が不足している。このことから「現場」で必要な労働力の不足がうかがえる。
労働力不足の解決策としては、「労働条件の改善」が69.7%とトップ。次いで「作業工程の機械化」(42.2%)、「外国人技能実習生の受け入れ」(30.9%)だった。製造業では「作業工程の機械化」が多く、小売・飲食業では「福利厚生の充実」が、他業種より多かった。
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