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節水型乾田直播「技術は未確立」と農水省 3年かけ検証も「多面的機能」は対象外2026年2月25日

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米の生産性向上の切り札として注目される節水型乾田直播の技術は未確立で、国として普及はしていない。3年間かけて裁判管理技術の評価・開発を行い「生物多様性への影響」も検証する――。農水省は市民団体との対話でそう説明し「推進に前のめり」との見方を否定した。

節水型乾田直播を危惧する農家・市民らと農水省の意見交換(2月24日、衆議院第2議員会館)節水型乾田直播を危惧する農家・市民らと農水省の意見交換(2月24日、衆議院第2議員会館)

国会内集会で農家・市民の団体と意見交換

農水省の説明は、2月24日、国会内で開かれた「節水型乾田直播問題を考える院内集会」でのもの。農家、市民で作る実行委員会の質問に米政策やみどり戦略の担当者、農林水産技術会議事務局が答えた。

節水型乾田直播は、畑状態で播種し、水を張らず、水の散布だけで栽培する技術で、田植え、代かきに加え水管理も不要となる。新しい技術で、成功例、失敗例がともに報告されている。

農水省は節水型乾田直播に関して、その普及等にどれだけの関連予算を概算要求しているかという質問に、農水省は「節水型乾田直播は検証が必要な新技術と整理しており、確立された技術に使う普及という言葉は使っていない。研究開発予算は、25年補正予算で1億7000万円の内数、26年当初予算(概算要求)で5億1400万円の内数を計上している」と答えた。実際、乾田直播・再生二期作に関わる「水稲の低コスト・多収栽培技術の開発委託事業」の「公募研究課題の概要と審査基準」には「節水型乾田直播は、低コスト化に資する新たな直播栽培技術として注目されていますが、科学的な検証や評価が十分に行われているとはいえません」と記載されている。

田植え・湛水は重要な栽培技術

水稲直播技術の種類(農水省「乾田直播・湛水直播の現状について」令和7年12月)水稲直播技術の種類(農水省「乾田直播・湛水直播の現状について」令和7年12月)

民間稲作研究所の舘野廣幸さんが「メダカ、フナ、トンボ、カエル、水田と共に生きてきた仲間が人間の都合で住処を奪われる。カエルたちを代弁して申し上げる。田から水を奪わないで」と話すと、農水省は「田植え、湛水は非常に重要と認識している。乾田直播は、これまでの水田稲作をしてきた農家が規模を拡大する際、移植+直播の組み合わせで用いるのではないか」と答えた。

乾田直播では農薬散布が多くなり、白度が上がらない、食味・収量が落ちるとの株式会社ジェイラップ・伊藤俊彦さんの課題指摘には、「今の段階で推進していくことはない。研究の受託者を公募しているところで、収量がどうなるかもデータで示したい」(農林水産技術会議事務局)とした。

「生物多様性への影響」も検証

ラムサール・ネットワーク日本共同代表の金井裕さんが「乾田直播のニュースはいいことずくめでこんな『うまい話』があるか、と思う。検証中と聞いてちょっと安心したが、検証に環境や生物多様性は入っているか」と質問。農水省は「いわば畑のような状況になるので、生物相が大きく変わる可能性がある。委託内容には、生物多様性も入っている」と答えた。前記「公募研究課題の概要と審査基準」では「本技術(節水型乾田直播)の確立に向けて水管理技術等の栽培管理技術の評価・開発や、GHG排出量や生物多様性への影響の評価、生産コスト低減効果の検証を行います」とされ「生物多様性への影響」も検証対象となっている。

水田のダム機能」検証に含まず

西日本アグロエコロジー協会共同代表・池上甲一さんの「節水型でも水路はいるのでは。棚田は小さい農家、非農家も力を合わせて守っている」との指摘には、「多面的機能をしっかり評価しながら、農村に人が済み続けられるよう支援したい」と答えた。

ただ、研究開発の委託に「多面的機能への影響」は入っていない。「熊本では休耕田にも水を張って地下水を保っている。乾田にするとダム機能が失われる」「税金を使うのだから、検証に含めるべき」との声に農水省側は「ご意見は承った」と答えるにとどめた。なお、乾田直播でも播種後に水を張る場合には、田んぼのダム機能は維持される。

「田植え不要コンソーシアム」との関係は

集会で、食政策センター・ビジョン21代表の安田節子さんは「乾田直播にするとメタンの発生は抑制されるが一酸化二窒素の発生が増加する」と指摘した(図は農水省「乾田直播・湛水直播の現状について」令和7年12月掲載の「乾田直播栽培における環境への影響について」)集会で、食政策センター・ビジョン21代表の安田節子さんは「乾田直播にするとメタンの発生は抑制されるが一酸化二窒素の発生が増加する」と指摘した(図は農水省「乾田直播・湛水直播の現状について」令和7年12月掲載の「乾田直播栽培における環境への影響について」)

農林水産省は、米を増産できる環境の実現に向け重要な農法となる可能性があり、省力化に資する田植え不要の米づくり(直播栽培)の取組を推進すべく「田植え不要の米づくりコンソーシアム」を立ち上げ、25年9月に第1回を開催した。

小泉進次郎農相(当時)はそこで、「田植えをしなくても米ができる。これはまさに米作りの常識を変える可能性のある技術だ。本コンソーシアムでは技術の普及と課題の共有を進めていく」とあいさつし、節水型とそれ以外を特に区別せず「推進」姿勢を打ち出していた。

この点について農水省は「コンソーシアムは直播技術すべてを含むもので、必ずしも節水型乾田直播だけのものではない」と説明し、「前のめり」を重ねて否定した。ただ、「多面的機能への影響」が委託研究の対象に含まれていない点などから、「最初から(推進という)結果は見えている」との声もあった。

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