牛リンパ腫発症予測診断技術RAISING 精度の高さを証明 国内14研究機関で検証試験を実施2025年4月1日
北海道大学大学院獣医学研究院の今内覚教授、岡川朋弘特任助教、国立感染症研究所の斎藤益満主任研究官、株式会社ファスマックの松平崇弘氏らの研究グループは、牛のリンパ腫の発症予測診断技術RAISINGを改良。国内の14研究機関における多施設検証試験により本診断技術の精度の高さを証明した。
国内の14研究機関における多施設検証試験
牛伝染性リンパ腫ウイルス(bovine leukemia virus:BLV)は日本中の農場で蔓延しており、BLVの感染を原因とする牛伝染性リンパ腫(enzootic bovine leukosis:EBL)の発生が急増している。EBL発症牛は、と畜検査で全部廃棄となり、食肉として売却できないだけでなく、それまでに費やした膨大な費用や時間が無駄になってしまうため、畜産業に大きな経済的損失をもたらす。EBL発生を未然に防ぐためには、EBL発症リスクを評価し、高リスク牛の管理・選択的淘汰を行うことが求められる。
同研究グループは先行研究において、プロウイルス挿入部位を網羅的に解析する「RAISING法」を開発。RAISING法によるBLV感染細胞のクローナリティ解析がEBLの鑑別診断法並びに発症予測法として有用であることを示したが、従来のRAISING法では2種類のDNAポリメラーゼを用いるため、試薬の品質管理や実験手順の煩雑さが課題となり、診断キットとしての実用化が難しかった。
そこで同研究では、従来のRAISING法を改良し、1種類のDNAポリメラーゼを使うことで、診断精度を維持しながら、実験手技を簡便化し、実用性を向上させた「RAISING ver.2」を開発した。さらに、RAISING ver.2によるクローナリティ解析について、14研究機関における多施設検証試験を行い、実験間誤差の小ささと再現性の高さを証明した。
今後、この開発技術を用いた「牛のがん検診」を広く普及させることで、農場でのEBL発生を未然に防ぎ、経済的な損失の軽減とともに、和牛の安定的な生産・供給に貢献することが期待される。
同研究成果は3月28日公開の『The Journal of Veterinary Medical Science』誌に掲載された。
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