2030年の「めざす姿」に挑戦 「持続可能な農と食」さらに JA全農が中期3カ年計画決定2022年3月30日
JA全農は3月30日、東京都内で臨時総代会を開き、令和4(2022)年度からの中期計画(令和4~6年度)、および令和4年度の事業計画を決めた。コロナ禍による社会の変化や自然災害への対応などを考慮し、2030年を見据えた長期的視点から、全農グループのめざす姿と、それに向けた全体戦略を描いた計画となっている。また、中期計画の初年度となる平成4年度の取扱額は4兆6000億円で、前年度計画比102%とした。JA全農は今年で発足50年を迎えた。総代会で菅野幸雄・経営委員会会長は「計画を着実に実践し、こらからの50年を見据え、生産者と消費者を安心で結ぶ懸け橋となるよう全力を尽くす」と決意を述べた。
2030年にむけた中期計画を決めた全農の総代会
2030年の目指す姿として、「持続可能な農業と食の提供のために、〝なくてはならない全農〟であり続ける」ことを掲げた。これに沿って、①生産振興、②食農バリューチェーンの構築、③海外事業展開、④地域共生・地域活性化、⑤環境問題などの社会的課題への対応、⑥JAグループ・全農グループの最適な事業体制の構築――6つの全体戦略を決めた。
生産の振興は最重要課題として取り組む。TAC活動の強化で生産者との関係を深め、デジタル技術を活用した革新的な技術による生産性向上を進める。併せて畜産たい肥などの地域資源の活用やトウモロコシの生産など、肥料・飼料の自給率を高める。さらにJA出資法人への出資を進め、生産基盤を強化する。
食農バリューチェーン構築は、多様化の進む消費者ニーズに対応するため、パートナー市場・他企業とのアライアンス(業務提携)強化による産地への生産提案や集荷、保管、流通・加工、販売段階で必要な施設投資および新たな事業展開を進める。
また、海外マーケットの需要と取り込むとともに、国内生産基盤を維持するため、海外事業の強化に努める。具体的には、海外ニーズを踏まえたマーケットインの商品開発、海外展開する実需者とのアライアンスなどに取り組む。
一方で地域共生・地域活性化に力を入れる。農家・組合員の生活を支えるインフラの整備を進めるとともに、eコマースやライフライン店舗を通じた生活資材の供給体制整備、地域循環を基本とした食のサプライチェーンの構築、再生可能エネルギーの普及によって、地域と自然の調和などに取り組む。環境問題など社会的課題へも対応。地域における再生可能エネルギーの開発を進めるとともに、農業現場から排出される温室効果ガスを抑制する商品・技術の開発に努める。
こうした2030年を見越した課題に対応するためには、JAグループ・全農グループの最適な事業体制の構築が欠かせない。さまざまな分野で活躍できる人材の育成や業務・事業体制の再構築、財務・投資の最適化を進める。中期経営計画の、主な事業の令和6年度までの目標は次の通り。
【生産振興】
▽農作業受委託や農福連携の取り組み県域の拡大―全県▽畜舎賃貸事業による家族経営支援―累計5県域(5年度目標)▽営農管理システム「Z-GIS」導入件数のID数―2万▽低コスト資材の普及に向けた農薬の担い手直送規格の取り扱いー25万ha▽多収品種による米の契約栽培―6万t▽子実用トウモロコシの栽培実証―現地試験5県((5年度目標)▽園芸施設の施主代行体制の整備による対応強化―累計5件▽「農業施設総合コンサル」実施JAの拡大―累計45JA。
【食農バリューチェーン】
▽米輸送における統一フレコンの流通拡大ー40万枚▽冷凍青果物工場用の新たな産地づくり―工場稼働▽総合営業による実需者への米の直接販売の拡大―取扱数量の90%▽他企業との商品開発の拡充―4年度から毎年度新規50品目▽「JAタウン」の取扱額の拡充130億円。
【海外事業】
▽全農グループによる輸出拡大―251億円)▽新規輸出産地―累計15件)▽米の輸出拡大―1万9300t▽和牛の輸出拡大―1100t。
【地域共生・地域活性化】
▽ファミリーマートと連携したJAグループの新たな業態店開発―累計27店舗▽「JAでんき」の契約数拡大―累計25万5000件▽ファーマーズ型Aコープ店舗の出店拡大―累計47店舗)▽自家消費型太陽光発電(PPA)の拡大-累計33件▽移動購買車事業の運営支援―累計130台。
【環境問題など社会的課題】
▽肥料の国内地域資源活用銘柄の普及拡大15万t▽労働力・環境負荷低減に資する生分解性マルチー10万本。
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