【農協研究会】行政との連携で都市型農業を推進 JAはだので現地視察(1)2026年2月26日
農業協同組合研究会(会長:谷口信和東大名誉教授)は2月25日、神奈川県秦野市で現地研究会を開いた。地元のJAはだのは2005年に市・農業委員会との三者で「はだの都市農業支援センター」を設置し、「地域づくり」「人づくり」「ものづくり」に取り組んでいる。全国から約30人が参加し、「はだの市民農業塾」や直売所「じばさんず」を視察し、担い手育成や都市農業の可能性を探った。
農業協同組合研究会の谷口信和会長
最初にJAはだの本所を訪問。谷口信和会長が、「JAはだのは一般都市住民まで含めて広く、多様に対応している。一朝一夕にできたのではなく、農協運動の発展の延長線上で、恵まれた条件を生かす工夫や努力をしている」と、視察の狙いを述べた。
JAはだのの宮永均組合長
4年の検討で都市農業支援センターを実現
JAはだのの宮永均組合長は、はだの都市農業支援センター設置の経緯を説明した。同JAでは、2000年当時にJA全中のシンクタンク(一財)地域社会計画センターの研究会(長野県で開催)で、旧JAいずも(現JAしまね)が市と連携センターを立ち上げた報告を受けて検討を開始。2005年10月の神奈川県都市農業推進条例の公布を受け、秦野市と市の農業委員会との三者により、同年12月に本所にセンターを設置した。その目的は、「地域と調和した持続可能な農業の実現、三者の専門性と連携を生かした農業者の組織や相談指導の充実、地域住民への理解促進」だ。
直売所「じばさんず」
宮永組合長は、23年ほど前に立ち上げたファーマーズマーケット(直売所)「じばさんず」にも触れた。当初、売り上げの3割を加工品取り扱いとする目標をたて、現在は12~13%で推移。利用者は年間延べ50万人を超え、取り扱い額も今年度末に11億円に達した。「若いお母さんが子供の手を引いてきてくれるような店にしていきたい」と、若手職員が検討してジェラート店を併設、年間2000万円程度の売り上げとなっていることを紹介した。
はだの都市農業支援センターの岩田和剛課長代理
新規就農促進、鳥獣害対策も推進
はだの都市農業支援センターの取り組みは、岩田和剛課長代理が説明した。秦野市は総人口約16万5000人(2020年)で、農業戸数は984戸、経営耕地面積も427haと漸減を続けており、荒廃農地面積は約61haへと増加している。一方、農業産出額は24億6000万円と、2015年対比で2億4000万円の減少にとどめている。現在の人員は、JAはだの2人、市(農業振興課)6人、市の農業委員会1人。効率的・効果的な農業支援体制のため、ワンフロアで窓口を一本化している。
具体的には、「農業経営の安定化と担い手の育成・確保」のうち、担い手の育成として「はだの市民農業塾」を開設。家庭菜園や市民農園、援農ボランティア向け「基礎セミナーコース」(JA主催)、「新規就農コース」(市が主催)、「農産加工セミナーコース」(JA・市共催)を実施している。新規就農コース終了者は延べ105人で、うち90人が就農している。
「農地の保全と農地の持つ多面的機能の活用」では、有害鳥獣害対策を進めている。ニホンジカやイノシシなどの被害は2023年度に面積8.5ha、3485万円、24年度は2.76ha、1135万円。市の担当部署が事務局となり、銃器およびわなによる捕獲は、農業者と市が連携して実施している。捕獲総数は24年度にニホンジカ183頭(前年218頭)、イノシシ103頭(59頭)。そのほか、市や県の補助を活用し、広域・地域・個人の防護柵も設置している。
捕獲個体はジビエとして有効活用し、近隣の2加工施設と委託契約を結んで市内の飲食店23店舗で料理を提供している。捕獲個体のジビエ率は約50%に達し、「国の平均10%程度と比べても高い」という。さらに、ドローンを活用して、重点地域の空中撮影画像や地図の情報を可視化し、草刈りなどの対策も進めている。
JAはだのでの研究会の様子
新しい特産振興作物振興、体験型観光農業も
「安全な農産物の生産消費による地産地消の推進」では、生産が盛んな葉タバコの裏作として落花生の生産を振興しているほか、鳥獣被害に強い、葉ニンニクや青パパイヤといった新しい特産振興作物の育成も支援している。また、学校給食への農作物の供給量を拡大したり、「はだの産農作物応援サポーター」には協力店50店を組織している。
「農業に対する理解と交流の活性化」では、収穫体験型観光農業を拡充している。JAが収穫体験や農園オーナー制度を推進し、市は観光農業のPRや農園ハイクで後押しする。収穫体験は落花生やサツマイモ、キウイ、青パパイヤ、エダマメなどで実施しており、農園ハイクには年間300~400人が参加し、いずれも「リピーターが多い」という。
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