茨城県坂東市に「冷凍青果物製造工場」を竣工 国産冷凍青果物事業を強化 JA全農2026年3月27日
JA全農は3月26日、茨城県坂東市に建設していた「冷凍青果物製造工場」の竣工式を行い、4月から本格稼働する。
竣工式での関係者よるテープカット
JA全農は、近年ニーズが高まっている事業者向けの冷凍青果物の国産化に向け、冷凍青果物製造・販売事業に取り組んでいる。新工場の稼働により、需要拡大と付加価値向上を目指す国産冷凍青果物事業として実需者ニーズに幅広く対応できる体制を整備した。
あいさつを行う桑田義文理事長
竣工式で、JA全農の桑田義文理事長は、野菜の消費が減少する一方、冷凍野菜の国内流通額が2024年度で約2500億円、最近10年間で約25%増と伸びている現状に触れ、「国産冷凍野菜が占める割合は5%程度で、輸入冷凍野菜が大半の流通を担っているのが実情。新工場で現状に一石を投じ、国内の野菜産地の発展と、販売先や消費者の満足感の向上に力を尽くす」とあいさつした。
会見に応じた神林幸宏常務
式典後、神林幸宏常務が会見に応じ、新工場について「生産者は高温障害などで需要と供給のバランスに苦労されており、短期的な需給調整や国産野菜の安定供給の役割を担える」と述べた。また、JAグループの北海道や九州の既存冷凍青果物工場と「ネットワークを作り、埼玉県久喜市のリパック拠点ともルートを作って流通を少しでも変えていきたい。ノウハウができて安定稼働すれば、葉物野菜や、茨城県内のレンコンなど冷凍青果物に向いた野菜などにも拡大したい」と今後の可能性に触れた。
多様な加工機能
新工場は「焼き」「スチーム」「カット」「ペースト」といった多様な加工機能を備え、取扱品目はサツマイモ、カボチャ、ニンジン、ナスの品目から開始し、冷凍焼きいも、冷凍グリル野菜、冷凍野菜ペースト等を製造する。
工場の運営は、地元で冷凍野菜などを製造する「株式会社せき」に委託する。人員はJA全農5人、せきからは社員3人のほかパートタイマーや技能実習生など総勢29人を配置する。
過熱水蒸気式焼成機
冷凍焼きいもや冷凍グリル野菜を製造する「バラ凍結ライン」には「過熱水蒸気式焼成機」を導入した。高温の水蒸気で一気に焼き上げることで、素材の持つおいしさを逃さず閉じ込め、「トンネルフリーザー」で瞬間凍結することで、国産青果物の食感やうま味を維持した冷凍青果物を製造する。
ペーストラインのスチームコンベクションオーブン
野菜ペーストを製造する「ペーストライン」には「スチームコンベクションオーブン」を導入した。原料を蒸してから焼き上げることで、サツマイモであれば、蒸かしたサツマイモのホクホクとした食感に加え、焼きいも特有の香ばしさを兼ね備えたペーストを製造することができる。
冷凍青果物製造工場の外観
消費地の首都圏に一貫体制構築
野菜の国内需要は約20年間で1割程度減少する一方、輸入量は増加傾向で、国産の微減が続いている。需要も家庭消費から加工・業務用にシフトしており、近年は全体の約6割を占め、そのうち約30%が輸入で「食料安全保障の観点から国産の活用に切り替えを促進していくことが課題」(JA全農園芸部の大坪智次長)となっている。
このうち、冷凍野菜は輸入が増加を続け、国産比率は5%程度と低い。こうした現状から、JA全農は2023年8月に冷凍青果物の製造・販売事業に取り組むことを決めた。
まず、埼玉県久喜市に2025年3月、受託加工や商品開発、保管、物流を担う第1リパック拠点を稼働した。北海道や九州のJAグループの冷凍青果物製造工場で製造した青果物を、取引先に対応した消費者向け商品として小分け包装の受託加工事業を開始している。
新工場とリパック拠点が連携することで、大消費地である首都圏での事業施設が整備され、一貫した流通体制の仕組みが構築できた。同時に、北海道や九州の冷凍野菜工場はいずれも人手不足の影響でパッケージングなどの要員が不足しており、リパック拠点が受託加工を行うことで、「各工場の業務を効率化し製造に集中できる」としている。
工場で試作された「焼いも」とサツマイモのペースト
販売先は当面、生協向けが中心になる。生協グループとは計画当初から協議を行うなど「国産野菜の要望が強い」。また、実需者向け以外に、JA全農の自社ブランド製品化も検討している。
契約栽培で原料を安定確保
工場で使用する原料は、茨城県中心に千葉県や埼玉県を含めた近隣産地の3県、11JA管内から調達する。農業法人も含めて、生産者にはJAを通じて品目別の収益モデルを提示し、契約栽培による生産を振興することで安定的な所得確保を目指す。
集荷計画は2025年度の480tから徐々に引き上げ、2028年度には4615tに拡大。「業務の効率化でさらに拡大できる」(大坪次長)としている。製品ベースの生産規模は、2026年度が1129tで2028年度には2845tを計画している。
また、生産現場の労力とコストの軽減に向け、出荷規格の簡素化や鉄製コンテナでの出荷を推進する。また、生産者の反収向上にむけて、カボチャではうどんこ病の耐病性品種(グラッセ南瓜)、ニンジンでは加工歩留りの高い寸胴品種の導入なども検討している。
【冷凍青果物製造工場概要】
●名称:全農冷凍青果物製造工場
●住所:茨城県坂東市緑の里8番地(圏央道・坂東インター工業団地内)
●延床面積:3537平方メートル(1階平屋建)
●導入プラント:製造ライン「バラ凍結・焼きいも」、「ペースト」(2ライン)
●加熱機:過熱水蒸気式焼成機(バラ・焼いもライン)、コンベンションオーブン(ペーストライン)
●凍結機:トンネルフリーザー(バラ・焼いもライン)、バッチ凍結(ペーストライン)
●その他の生産設備:スチームピーラー、原料洗浄機、半割機、トリミングライン、高速裏ごし機、X 線検査機、金属検出機など
●主な取扱品目:サツマイモ、カボチャ、ニンジン、ナス
●主要生産品目:冷凍焼きいも、冷凍グリル野菜(サツマイモ、カボチャ、ニンジン、ナス)、冷凍野菜ペースト(サツマイモ、カボチャ、ニンジン)
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