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JAの活動:農業復興元年・JAの新たな挑戦

【農業復興元年】命守る食を胸に 多様な販路開拓で農家の収入増を 千葉県のJAちばみどり2023年7月31日

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千葉県のJAちばみどりは旭市に本店を置く県内最大規模の農協だ。同JAは2001年に海匝地域の5つの農協(銚子・海上町・旭市・干潟町・そうさ)が合併し誕生した。今、食料、農業、農村基本法の検証見直しが進む中、農業.農地.担い手を支えるJAの本来の役割は何か、その改革に取り組む江波戸一治組合長に聞いた。
(インタビュアーは元JA富里市常務の仲野隆三氏)

JAちばみどり 江波戸一治組合長JAちばみどり 江波戸一治組合長

つけ焼き刃的な自給論の反省を

江波戸組合長 管内の農業粗生産額は920億円と千葉県農業算出額3859億円の20%強あります。JAの販売取扱額は粗生産額の30%前後の300億円と少なく。その7割強が園芸部門の230億円で占めています。畜産の管内粗生産額は400億円ありますがJA取扱額は40億円と10%です。課題として大手畜産農家とJAの接し方を考えています。米もJA合併当初25万俵の取り扱いがありましたが、現在は14万俵まで減少しています。

最近、県などの会議で農業粗生産額の議論をしますが、農業粗生産額の引き上げ政策も重要だと思いますが、私は組合員の"使えるカネ"可処分所得の引き上げが大事だと思います。基本法でも「適正な価格形成の実現」が議論されていますが、例えば越冬キュウリならこのくらい生産コストがかかるのに、これに見合った適正な価格が理解されなければ農業経営は成り立ちません。農畜産物以外の商品はコストが上がれば価格転嫁できるが、農畜産物は"需要と供給バランス"でいくらコストが上がっても需要がなければ売れない。

米などはいい例ですが玄米1俵1万1000円。よく野菜はキロ当たり単価が200円切ると厳しいと市場関係者は口にしますが、まさに米はキロ当たり単価が200円を切っています。

世界をみると温暖化に伴い干ばつ、洪水などが地球規模で起きており地球の裏側では食べ物がなく数億人が飢えにあえいでいるやに聞きます。産業政策と自由貿易の陰で安価な食料輸入を推し進めてきた結果、ウクライナ侵攻後にわかに食料自給論が新聞等で報道されていますが、つけ焼き刃的な自給論を強く反省する必要があります。

国民の主食の米の生産販売が危機的な状況にあります。政治家は国民の命を守ると立派なことをいいますが、命を守るのは衣食住なのに「なにが大事なのか」考えていないと思います。人は日々食べなければ生命維持ができません。農業は生命維持の産業であり、組合員は日々努力しながら農畜産物を生産しています。しっかりとした農業政策の実現を国に求めたいですね。

農地守る家族経営体も大事に

農業者の高齢化と担い手の減少で耕作放棄地の増加に歯止めがかかりません。国は農地中間管理機構(農地バンク)などにより経営体の大規模化を推し進めていますが、私は農地を守るには家族経営体も大事にしなければならないと思います。特に中山間地域の谷津田など農地は貸したくとも借り手がいないのが実態です。もっと深刻なことは農業従事者の高齢化による労働力の減少です。大規模経営体に限らず中小経営体も雇用含めた労働力の確保は全国共通の課題となっています。

日本の国土は平面な土地26%に宅地や商業用地などがあり、残りは森林面積が67%を占めています。多くの農地は島しょ部や山間部に点在しています。そんな小さな土地で農畜産物を作っているわけですから欧米などと価格競争してもかなうわけはない。日本だからこそ出来る農業政策と農業・農法を支援しなければ農業経営は成り立たないでしょう。いまのままでは米作りすれば組合員や法人経営体はいなくなります。「命の基盤は食料であり、食料の基盤は農業です」これが国の基だと考えます。

契約販売、直接販売のシェア増を

――JA営農改革について引き続き取り組まれていますが、新たな取り組みについてうかがいます。

江波戸組合長 いまJAは契約販売や直接販売の取り扱いシェアを増やしています。取扱量も毎年右肩上がりで伸びています。その結果、販売高は変わりませんが事業収益もしかり、組合員の手取りも増えています。いままで市場一本でしたが昨年度の契約販売や直接販売は54億円となり、60億、70億円に拡大していくと期待しております。このことで組合員の手取りアップにつながればと考えます。多様な販路開拓によりJA販売事業に魅力を感ずれば自然に組合員はJAに流れてくると信じています。

米価格ひとつとってもここ2、3年、他のJAに比べ、若干ですが買い取り価格を高くするなどして「ちばみどり」は頑張っているなと評価されています。本来全農に頑張ってもらえば取り扱いシェアも増え、発言力も取り扱い量も増すのだと思いますが、残念ながら販売面で全農取り扱いは減少傾向にあり、もっと全農頑張ってくれよと言いたいですね。そんなわけでJA独自で販売ルートを確立して契約や直接販売を増やしてゆきたいです。

「特色ある野菜」と「品質とブランド」で有利販売を

――JAちばみどりは銚子のキャベツやダイコンなど大産地を想像しますが、現在5JAが合併、地域特性を生かした特色ある野菜作りと販売戦略「野菜合衆国」を展開、その取り組みについてお聞かせください。

江波戸組合長 各地域に特色ある野菜というかブランドがたくさんあります。管内には営農センターが6カ所ありますが、銚子といえばダイコン、キャベツ、飯岡にくればメロン、海上はマイナー系が多いのですがマッシュルームやズッキーニがあります。干潟もマイナー系のシュンギクにシシトウがあり東一(東京青果)で上位ランクのブランドとなっています。また旭市にくれば施設園芸のキュウリ、トマトがあり、匝瑳市と光町は長ネギがあります。

これ以外にも60品目の葉物や根菜、果菜などが栽培され共販組織により販売されています。これら特色のある野菜を市場で駆け引き販売というか、JAでセット販売(特色ある複数の野菜を組み合わせて販売する意味)します。これまでの「量による力」から「特色ある野菜」プラス「品質とブランド」を組み合わせればもっともっと有利販売できると確信します。

最近は京浜を中心に北は北海道から、ここにきて関西方面に直接販売を伸ばしており、これが大きな評価を得ています。詳しくは向後販売部長から説明します。

近畿地区に直送による販売

向後満販売部長 近畿地区への販売に力を入れています。スーパーでいえば大手イオン近畿とか、関西でかなり力をもっているマンダイに販売しています。新たな取組みは直送による販売です。通常ですと青果物は荷物を1回京浜市場に下し、そこから関西に輸送するのがルートですが、いま取り組んでいるのは直接イオン近畿センターに直接トラックを走らせます。

銚子であればキャベツ、ダイコンを大型トラック1台仕立てられますが、キュウリだけで大型1台仕立ては無理です。飯岡の洋菜も無理です。新たな取り組みは飯岡の洋菜にプラス旭市のキュウリ、ミニトマトを載せ、そこに匝瑳の長ネギを積み合わせすることでトラック1台を近畿イオンまで効率的に走らせることができます。イオン近畿と契約販売で実現できました。イオン近畿バイヤーは、これまで通常ルートの青果物ロス率は4%だったが、それが1%までロス率が減ったと評価をいただきました。

ただ課題も見えてきました。JAちばみどりからトラック1台を仕立てて走らせると、その分運賃が割増しになります。割り増し分は買う側もみてくれますが、逆に今度はこちら側から空荷で走らせると帰り荷を積まないトラックは運送業者がペイ出来ない問題にぶっかります。

同時にイオン側は4%のロス率が無くなれば差し引き3%はもうけになります。ところがそのもうけ分を産地側に還元してくれるかと云えばそうでない。シビアな一面も垣間見えます。各営農センター担当にいわせるとイオン近畿に直送しても決して高い単価で引き取ってくれないじゃないか、といわれます。ただ販売戦略からするとイオン近畿などに荷口の出口確保をすることで、産地荷口の市場委託販売数量が減るため、その部分の価格が上昇するのだとの理解のもとに出口戦略を考えます。

できるだけ荷口分散し出口確保を

市場メカニズムは大量の荷口を大きな市場に集めることはしたくない。大きな市場は相場を作ります。そこに大量の荷物があると出口もいっぱい作れますから、そこに多くの荷が集まると相場全体が下がり、結果的に周辺市場の価格も下がります。できるだけ荷口を分散して早く出口を確保することだと考えます。大事なマーケッテイング戦略ですね。

生産資材コスト高騰でどうしたら販売価格に転嫁できるか悩ましい問題がありますが、自分たちの努力で早期に出口確保することにより、委託販売にかかる荷口が減ることで価格を少しずつ上げることが出来ればという考えです。

販売額の拡大へ経済シフト

鈴木正行常務 そもそも管内の粗生産額は920億円ですが、JA取扱額は300億円と30%です。
畜産の粗生産額も400億円ありますが、JAは40億円と10分の1です、畜産組合員とどう向き合っていくのか、長年の歴史背景がありますからいきなり職員がいっても取引することはないでしょう。やはり資金提案などにより隘路(あいろ)を探るしかないと思います。

ちばみどりは周辺から素晴らしいといわれますが、まだまだなんですよね。ただJA組織として大きいことぐらいで、販売額は3分の1しかない。それをもっと大きくしようと云うのが「JAちばみどり」の農協改革なのです。JA富里市のように経済事業で生きてゆくことを去年から始めています。支店統廃合も行いますが、人員配置も経済や販売にシフトしようと考えています。

組合員と接点を作りましょうと出向く体制をつくっていますが「接点って何だ」といえば職員が出向くだけではないんだよと。10年、20年後どうするか、結局、何年も何年も組合員と対話してきた中で、我々役員は動くしかないと舵をきって令和6年7月に支店を閉めた中で集約すると決めました。

なにかしらで関わることが大事だと思います。絶えずいろいろコンタクトし発信を続けることが重要だと思う。どこのJAも同じだと思いますが我々は経済シフトを敷き、いま共済推進もいわゆる専門職だけです。今年から一般職は目標なしで、その分収益は落ちますが、購買事業など補うためのシュミレーションをしています。

JAちばみどり概要
▽設立平成13年1月
▽総資産額 1,881億円
▽貯金残高 1,734億円  (貸出金残高 234億円)
▽長期共済保有高 5,589億円
▽販売品販売高  282億円
▽購買品供給高  95億円
▽出資金 22億円
▽組合員数20,441人
▽自己資本比13.13%
▽役員数 44人
▽職員数 358人
(令和4年12月末現在)

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