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JAの活動:農業復興元年・JAの新たな挑戦

【農業復興元年・JA組合長特別座談会】自給率 生きざまに直結 基本法改正は国民全体の問題(2)2023年8月1日

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【出席者】
JA常陸(茨城県)組合長 秋山豊氏
JAぎふ組合長 岩佐哲司氏
JA鹿児島きもつき組合長 下小野田寛氏
コメンテーター 横浜国立大学名誉教授 田代洋一氏
司会 文芸アナリスト 大金義昭氏

【JA組合長特別座談会】自給率 生きざまに直結 基本法改正は国民全体の問題(1)より続く

農家支えるバッファー(緩衝)が必要

【価格転嫁】

大金 農業経営を支えるために、焦点のひとつとなっている価格転嫁の問題がありますが、本当に価格転嫁できるのか。

下小野田 大規模農家が苦しんでいるのは、販売単価が下がっているからです。これは大規模ほど大変です。一方、生産コストは上がっている。くどいようですが、大規模化が決してバラ色ではない。販売単価をどうするかという問題は、経営の存続に関わっている。
そのための対策は少子化対策などと同じだと私は考えています。子どもたちへの手当を増額しようとしていますが、あのような制度でバッファー(緩衝)をつくっていかないと、販売単価がこんなにブレる時代では経営しろと言われても極めて困難な面がある。
市場単価をコントロールすることはあまりいいことではないと思いますから、何らかの直接支払いのようなバッファーが必要です。

大金 農業を支える人たちの持続可能性を担保するためには、所得補償を考えていくべきだという指摘ですか。

岩佐 民主党政権の戸別所得補償制度はよかった。それを自民党政権になってやめてしまった。今や、子育てや国防の予算を増やす一方で、農業予算が削られていくなか、直接支払いを求めるのは「犬の遠吠え」のように聞こえるかもしれない。

消費者からも"直接支払が必要"の提起

横浜国立大学名誉教授 田代洋一氏横浜国立大学名誉教授 田代洋一氏

田代 ただ、今回の議論の過程で日本生協連は、価格転嫁されて困るのは消費者なので、農業者への直接支払い政策が必要だと提起しています。消費者団体がこう主張したということは、風向きが少し変わってきたのかなとも思います。

秋山 確かにうれしい進化ですね。問題は、相変わらず新自由主義路線を突っ走っている国の政策にあり、これを修正しようとする考え方が出てこない。
先ほど米価の話をしましたが、災害対策や国防対策の一環として、私は総務省や防衛省の予算に米の国家備蓄を組み入れ、もみで備蓄するべきだと思っています。国民が納得し、米の備蓄を年200万t程度にしていけば、米価は60キロ1万3000円程度にはなるはずです。
そういう総合的な対策で多様な担い手を支える米価へと誘導する。価格転嫁するよりもそうした政策のほうがいいのではないか。

下小野田 少子化対策や国防対策について、政府は将来のためにと言っているわけですが、農業者に対する直接支払いを含めたさまざまな支援もそれと同じではないか。そうしなければ農業者が減り、やがて食料が手に入らなくなる。あるいは価格が高騰します。農家がきちんと残っていかなければ、やがてそのつけが国民全体に回ってくる。農業危機は今、そこまで深刻になっているという現状を政府がきちんと国民に説明し、説得していくべきです。

田代 国を守ろうとしても、食べ物がなければ国は守れません。国防というと武器や弾薬ばかりの話になるが、国を守るには自国でしっかりとした食料生産が必要なんだということですね。ウクライナを見よ、です。

秋山 米国から値切りもしないで買っているファントム一機分だけでも、米の備蓄に回すべきです。そういう論議がない「国防強化」になっている。

田代 沖縄県農協中央会会長の普天間朝重さんが、離島でサトウキビを作っているから国境が守られるのであって、サトウキビを作れなくなったら、すぐに侵略されてしまうとよく指摘しています。

地域と共生推進

【多面的機能】

大金 その意味でも、農業・農村の多面的な機能が地域活性化の重要なポイントになりますね。そのための人づくりをどうするか。この点についてはいかがですか。

岩佐 農業者を増やすには二つの方法があります。外から来る人と内にいる人をもう一度掘り起こすことです。私は知り合いの会社経営者などに会うと、「農業をやらないか」と声をかけています。ほ場も技術もJAが手当てするからと伝えている。
実際に地元の大学教員だった人物が、今は300坪(約10a)を借りて露地野菜を130種類ほど作り、直売所に出しています。こういう話に「自分もやってみようかな」と耳を傾ける人もいる時代です。
一方、農家の子弟も親が農業をやめると自分がやらなければならないと思っている。ただ、それは定年を迎える年代になってからのことですね。それを過ぎるとやらなくなる。私は今、定年帰農者を増やすために、地元の企業を回ろうと考えています。企業から見れば福利厚生の面があり、私たちの立場からは農業者を増やすために企業とコラボできないかという考えです。
農村を活性化するには人を外から呼び込むことで、互いに楽しく交わる方法と、もともと農村にいる人を掘り起こす政策とが求められる。ただ、外から来てもらう政策はJAだけではできませんから、政府の支援策や地域行政などと一緒になって取り組む必要がある。

秋山 農村活性化の一環として学校給食に取り組んでいます。地元の市長が子どもをしっかり育てたいという考え方を持っていて、地元で積極的に育てようという呼びかけに応え、JAも有機農業に取り組み始めました。有機農業も現在はかなり省力化が進んでおり、2年目からは単収も上がっています。直売部会などでも有機野菜づくりに取り組んでいます。農業を通して子どもたちを育てることで、外の地域にいったんは出ていっても、いずれは帰ってくることが期待できる。
高度経済成長以来、分業が進み、地域も家族も親戚もばらばらになってしまいました。それを取り戻したいというのが私の考えの基本にあって、モデルとして「レインボーサロン」をつくり、月1回の料理教室を始めました。子ども食堂も兼ね、小学校にちらしを配布して、郷土料理やパンづくりに取り組んでいます。ただ、JA内部になかなか広がらない。なぜかといえば、JA職員が今の世の中の流れをどうするかという議論をしてこなかったからだと思っています。協同組合運動ですから、みんなで力を合わせ、現代人としての人間性を回復する役割があるんだということを職員も率先して学んでいく必要がある。

水平的な連携でJAのつながり全国に

下小野田 生産も生活も農村の現場にあるということからすれば、基本法見直しをきっかけに、今こそJAが手を取り合って行動すべき時だと思っています。JAが果敢に行動することで農家も組合員も地域住民も必ず喜んでくれます。

そんなときに大事なのが、やはり職員ですね。職員は組合員のパートナーだと私は唱えてきました。職員が動き出せば、組合員も動き出し、お互いに元気が出る。この国は素晴らしというのが私の日ごろの実感です。全国に素晴らしい産品があり、その産品を生産している素晴らしい生産者がいるわけですから、私たちはもっと誇りをもつべきです。
「失われた30年」などと何となく自信を喪失している一面があり、もう一度しっかり、自分たち自身を見つめ直し、素晴らしいところを次世代に伝えていく。それをJAの役割のひとつに位置づけたいと思っています。
職員も視野を世界に広げて学ぶということに力を入れています。今までやってきたから今年もこれで、ではなく、学んでしっかり自分で考えるということですね。それは組合員にとっても大事なことです。その意味で人がたくましく育つ地域や国でありたい。

田代 水平的に連携し、JAの横のつながりを全国に広げていくという取り組みは大いに期待したいですね。まずは志のあるJAからということですか。
基本法の中間とりまとめは結局、この国の国力が落ちてきた、だから食料安全保障が大切だという話です。それではだめなので、下小野田さんが言われるように誇りを持って新しい運動を切り開いていくきっかけにしようということですね。
職員養成も課題ですが、そのためにも働きがいのあるJA、働きやすいJAをつくるということが大事だと改めて考えさせられました。

大金 足元から現状を突破していくということですかね。本日はありがとうごいざました。

文芸アナリスト 大金義昭氏文芸アナリスト 大金義昭氏

【座談会を終えて】
本紙シリーズで基本法の中間とりまとめに至る経緯を鋭く分析してきた田代さんが加わり、組合長のみなさんの議論が沸騰した。山積する課題をわが身に引きつけ、体を張って困難な時代に挑むそれぞれの雄姿に心が晴れるような勇気をいただいた。また機会があれば元気にお目にかかって議論を深めることができれば幸いだ。

(大金)

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