多様な農業者で生産基盤強化を-JAグループの基本政策提案2019年11月14日
JA全中は11月の理事会で「次期食料・農業・農村基本計画に対するJAグループの提案」を決めた。JA全中の中家徹会長は11月7日の会見で「食料安保確立のための施策が中心になるべき。農地と人をこれ以上減らさないことを具体的に明記すべきだ」と強調するとともに、国民が農業、農村を支えていきたいと思うような理解促進と議論が必要なことも指摘した。
政策提案の柱は、(1)食料安全保障を確立するための将来像の具体化、(2)消費者の信頼・理解拡大に政策の強化、(3)国産安定供給のための生産基盤強化と地域政策の強化、(4)次期基本計画の実践に向けた政策推進等の4つ。
このうち食料安保の確立のためには、現行計画と関連施策の十分な検証を行い、現在掲げる食料自給率目標(カロリーベース:45%、生産額ベース:73%)が確実に達成されるよう生産基盤の強化に向けた関連施策の構築を行うことを要請している。
生産努力目標などの設定にあたっては、農地面積と農業就業者数について減少傾向に歯止めをかける高い目標を設定することなども求めている。
消費者の国産への理解拡大に向けた政策では、原料・原産地表示制度を中食・外食にまで広げることや、生産現場のGAPの普及・推進とHACCPの導入については、人材育成の支援強化などで道筋を具体化することを求めている。
また、経済界を巻き込んだ国民運動を展開・強化することや、教育関係者、料理人なども含めた幅広いネットワーク構築、食料・農業・農村に関する「統一運動週間」を制定するなど、国民的議論を深化する方策を確立することも訴えている。
今後の農業の姿については、家族農業、中小規模農家の経営維持と継承についての支援を強化し、基幹的農業従事者や法人経営体だけでなく、多様な農業経営が維持・発展する将来像を次の「農業構造の展望」に具体化することを求めている。
また、中山間地域をはじめとする地域振興対策は、就農促進策に中山間地域加算を導入するなどで就農者を確保することや、薬用作物や有機などの特色ある生産支援の強化、日本型直接支払・中山間地域等直接支払制度は交付水準引き上げや、放牧など粗放的な農地保全についての具体化なども提起している。
スマート農業についてはその導入と連動した産地づくりを進めることや、低コストでの現場実装を進めるための農業者をサポートする組織の体制整備などを行うことを求めている。そのほか災害に強い農業づくりや、鳥獣被害対策の強化、国産の安定供給と価格安定、農業所得確保に関する制度の強化、知財対策の強化も必要だとしている。
(関連記事)
・【クローズアップ 続・基本計画】自給率 国民的議論をすべき-基本計画の見直し(19.11.14)
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