みどり戦略「地域実態ふまえ段階的に」-FSSに向けパネルディスカッション2021年6月21日
農林水産省は6月18日、国連食料システムサミットに向け、食料システムを担う関係者が一堂に会した「全体対話」を開いた。企業や団体、農業・水産高校の生徒から持続可能な食料システムに向けた取り組みが発表されたほか、持続可能な食料システム実現に向けて何をすべきかをテーマにパネルディスカッションを行った。
全体対話のなかでは9月の国連食料システムサミットで提唱していく「わが国が目指す食料システムの姿」が紹介された。
内容は農水省が5月に決めた「みどり戦略」が基本。化学農薬・化学肥料の低減、有機農業の推進と温室効果ガスの削減などの目標を示しているが、農水省としては欧米とは異なるアジア・モンスーン地帯での持続可能な姿を示す考え。とくにサミットでは「地域ごとに違い」をふまえた取り組みの実施が必要だと強調している。
大澤誠農林水産審議官をモデレータに開かれたパネルディスカッションで東京大学理事の石井菜穂子グローバル・コモンズ・センターダイレクターは、農業からも25%の温室効果ガスが出ていることなど、現在の食料システムが地球環境を壊してしまっていることを指摘し、「問題は経済システムをどう変えていかなければいけないか」と提起した。日本も食料を60%輸入しており、それは水の大量輸入、熱帯雨林の破壊など「消費を通じて負担を与えること」と生産だけでなく消費を直視する必要性を指摘した。
JA全中の馬場利彦専務理事は自然と調和し持続的に次代につないでいくことが農業であり生産性向上と持続性を両立させるみどり戦略の方向には賛成するとした。ただし、環境保全型農業は8万ha、有機農業は1万haという現状で2050年に有機農業を100万haに拡大するという目標と現実のギャップを指摘した。
そのうえで「地域実態と品目ごとに段階的に実装していくべき」と述べた。また、アジア・モンスーン地帯で連携して食料システム構築を提起していくこと、持続可能なモデルとして「協同組合」の可能性にも着目すべきとした。
また、有機農業の拡大についてアジア諸国の生産者からも労力をかけても消費者には伝わらず所得が低いまま、との声が上がるなど、環境に配慮した生産者の努力と、「その価値が正しく評価され取引される仕組み」づくりが必要なことも指摘された。
他のパネリストからも消費者に正しい情報を伝えてサステナブルな事業や商品の価値を価格に織り込むような取り組みも求めた。
なお、みどり戦略について野上浩太郎農相は18日の会見で「法制化も含めて検討を加速するよう事務方に指示した」ことを明らかにした。
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