若者が農業への夢を語る 日本農業経営大学校が研究発表2022年2月17日
日本農業の経営者と地域のリーダー育成を目的とする日本農業経営大学校(堀口健治校長)は、2月15日、都内で、卒業研究発表会を行った。大学校で学んだことの研究成果で、この春に卒業する14人が、それぞれ卒業後の農業経営、あるいは農を通じた地域における活動の夢を語った。就農を希望する今日の若者の農業に対する認識が分かる。代表的な発表を拾った。
熊本県の錦町で水稲中心の経営を行う桑原宗之進さんは、化学肥料・農薬などを全く使わない自然栽培のビジネスモデル確立を目指す。「自然栽培を通じて地球と調和のある暮らし、健康意識の高まりから自然栽培の市場は拡大傾向にある」とみる。子どもたちの体験農園や新規加工品の開発によって新たな顧客と関係づくりに取り組む。
埼玉県で雇用就農しながら、東京都内で八百屋の開業を目指す関谷彰修さんは、「野菜だけでなく『農家』を売る独自の店舗のニーズがある」と、店舗内でシイタケの原木から収穫することなどを計画している。
輸入飼料に頼る畜産からの脱却と地域課題(放置竹林)の解決をめざす熊本県阿蘇村の長野泰藏さんは、竹飼料による赤牛の繁殖から肥育までの一貫経営に取り組む。放牧によるノンストレスの飼育で、「阿蘇の畜産を引っぱって行く」と言う。
中山間地域で農業生産法人に雇用就農の予定の京都府京丹後市の加茂倫也さんは、地域特産の山椒の事業化を考えている。生薬会社から入手した希少な台木品種を採用し、全量買い取りでローリスクな販売となっている。水稲の受託栽培も増やし「山椒と水稲の複合経営で中山間農業にイノベーションを起こす」と意気込む。
都市農業を軸に、地域コミュニティづくりを目指す東京都東村市の三上敦也さんは、9代続く農家の後継者で、半径300メートル以内の家族を対象とする直売所など、地元ネットワークの強みを生かして、「永続的に都内で農業ができる仕組みづくり」に挑戦している。
北海道で親元就農の羽田野拓也さんは、10年後の経営として、地域一体型輪作モデルを目指す。このため機械のシェア、農地の集約、情報の集積活用など、組織化したスケールメリットを生かし、「日本の食料供給基地としての役割を果たしたい」と言う。
※桑原氏の「桑」の字は本来異体字です。
重要な記事
最新の記事
-
「安定供給は1丁目1番地」 トランプ関税、農産物輸出でも懸念 JA全農が総代会2025年8月1日
-
地域共生は農協の本分 前北海道農協中央会会長・小野寺俊幸氏(1)【プレミアムトーク・人生一路】2025年8月1日
-
地域共生は農協の本分 前北海道農協中央会会長・小野寺俊幸氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年8月1日
-
米農家の所得支える制度必要 米価急落時には国は適切対応を 全農会長ら発言2025年8月1日
-
【注意報】イネに斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2025年8月1日
-
【注意報】県内各地のりんご園地でハダニ類が多発 岩手県2025年8月1日
-
【注意報】マンゴーハフクレタマバエ 八重山地域で多発のおそれ 沖縄県2025年8月1日
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県内全域で多発に注意 石川県2025年8月1日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 府内全域で多発のおそれ 大阪府2025年8月1日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 静岡県2025年8月1日
-
【注意報】ネギアザミウマ 県下全域で多発に注意 富山県2025年8月1日
-
【注意報】キク、野菜、花き、果樹にタバコガ類 県下全域で多発のおそれ 富山県2025年8月1日
-
【注意報】かんきつにミカンハダニ 県下全域で多発のおそれ 宮崎県2025年8月1日
-
【注意報】かんきつにチャノキイロアザミウマ 県内全域で多発のおそれ 静岡県2025年8月1日
-
水稲早期栽培 徳島、宮崎、鹿児島 前年比「やや上回る」7月15日現在2025年8月1日
-
渇水・高温対策本部を設置 水利施設管理強化事業の積極活用を指示 農水省2025年8月1日
-
全農 政府備蓄米 91%出荷済み 7月末2025年8月1日
-
【人事異動】JA全農(8月18日付)2025年8月1日
-
【人事異動】JA全農(8月1日付)2025年8月1日
-
【'25新組合長に聞く】JA伊勢(三重) 酒徳雅明氏(6/25就任) 伊勢ブランド・観光資源を農業振興に生かす2025年8月1日