加工向け生乳 別枠で10万t支援 酪農緊急パワーアップ事業2022年12月15日
農林水産省は12月14日、2023年度の畜産物価格決定とともにALIC事業による関連対策も発表した。酪農では加工仕向け生乳に対して総交付対象数量とは別枠で10万tを支援するなど酪農緊急パワーアップ事業を新規で実施する。
同事業の予算額は65億円。2023年度の加工原料乳生産者補給金と集送乳調整金の交付対象数量は330万tだが、牛乳の消費が減退してやむを得ず対象数量を超えて加工仕向けになった生乳も10万tを限度として、補給金と調整金の相当額を交付する。
交付の条件は生乳の生産抑制を計画的に実行している指定生乳生産者団体など。これによって加工原料乳生産者補給金の対象数量は最大340万tとなり、今年度から5万t減にとどまる。
また、生産者団体、乳業メーカーが強調して行う脱脂粉乳在庫を飼料に転用し在庫を削減する事業を国も支援し最大2.5万t分の負担をする。
そのほか乳製品のECサイトなどへの販売形態の変更や消費拡大のプロモーションにともなう経費や、搾乳ロボットなど先進的機器の導入と一体的な施設の整備などの支援を引き続き、この事業で行う。
また、早期乾乳を推進するため、飼料設計や飼料給与技術を学ぶ研修の受講を奨励金で支援する。単価は1頭当たり1500円前後を検討している。
この事業とは別にこれまでの酪農生産基盤強化のための総合対策(45.7億円)を拡充し、中小規模の家族経営でも活用しやすいメニューを加える。
1つは子牛の全乳哺育に必要な殺菌機であるパスチャライザーの導入を支援対象に加える。
もう1つは地域の生産体制の強化対策に、預託牧場における電牧柵など放牧用資機材の整備への支援と、JR貨物を活用した効率的なコンテナ輸送を行う預託牛輸送のモーダルシフトの実証試験を支援する。
酪農対策では9月に予備費を活用し経産牛1頭当たり換算で都府県1万円、北海道7200円の補てん金を交付することが決まっている。生産コスト削減や国産粗飼料の利用拡大に取り組むことが要件となる。
また補正予算で国産チーズの競争力強化や、生乳の生産抑制に向け経産牛の早期リタイアへの奨励金交付、乳製品の長期保管に対する支援事業などが措置されている。
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