担い手への農地集積 59.5% 8割目標ほど遠く 農水省2023年6月27日
農林水産省が6月に公表した担い手への農地集積率は59.5%と2023年度に8割とする政府目標にほど遠い現状となっている。

農地を担い手に集積させる目的で農水省は2014年に農地バンク(農地中間管理機構)を創設した。それ以降、農地集積率は上昇しているが、集積率は50.3%から2022年度に59.5%と9年間で9.2%の伸びにとどまっている。
耕地面積は農用地区域内農地399万ha、市街化区域内農地6万ha、公共牧場等9万haを合わせた約433万ha。
このうち担い手が利用している面積が約257万haとなっている。2013年には221万haだったため約36.5万ha増加したことになる。このうち農地バンクによる集積は約17.3万haで47%と増加面積の半分も担っていない。
担い手とは認定農業者、認定新規就農者、集落営農、基本構想水準到達者(市町村基本構想での水準に到達している農業者。認定農業者は除く)と定義している。
担い手が利用している約257万haの面積のうち、所有が119万ha、貸借が112万ha、特定農作業受託が約26万haとなっている。特定農作業受託とは基幹3作業(耕起、代かき、田植え、稲刈り等の農作業)の受託に加え、受託者名義で販売する契約。
2022年度は1.4万ha。年間集積目標面積に対してはわずか9%となっている。
地域別の担い手への農地集積率は北海道が91.6%でもっとも多く、次いで7割台が秋田(71.3%)、山形(70.0%)、佐賀(70.1%)の3県、6割台が宮城(62.4%)、新潟(66.4%)、富山(68.8%)、石川(64.2%)、福井(69.7%)、滋賀(65.8%)の6県にとどまっている。
現在の目標は安倍政権が2013年6月の「日本再興戦略」で閣議決定した。農林水産業を成長産業にするという方針のもと、2023年に全農地の8割を担い手が利用することを目標にした。政府は農林水産業・地域の活力創造本部から岸田政権で改組した食料安定供給・農林水産業基盤強化本部でこの数値目標をフォローアップしている。
一方、基本法見直しの検証作業では、多様な担い手が農地と農業を担う方向も打ち出され、基本法改正作業も今後、本格化する。掲げた担い手集積目標や農地バンクの機能をどう評価、総括するかも課題となる。
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