「課題解決まで工事させない」 鴨川メガソーラーで熊谷知事 後追い規制、及ばぬ歯がゆさも2026年1月9日
広範囲に山を削って谷を埋める鴨川メガソーラー問題で、熊谷俊人千葉県知事は1月8日、「すべての課題が解決されるまで工事を再開させる考えはない」と踏み込んだ。政府が大規模太陽光発電(メガソーラー)対策パッケージをまとめ、不適切事案への規制強化を決めたことも追い風だが、緩い規制の下で過去に許認可された事業の扱いには課題も残る。
急峻な地形に危惧 熊谷知事「野口健氏と考え一致」
「すべての課題が解決されるまで工事を再開させる考えはない」と記者会見で表明した熊谷俊人千葉県知事
(1月8日、千葉県庁)
熊谷知事の発言は、1月8日に開かれた定例記者会見でのものである。
13ヵ所、2.4haに及ぶ許可条件違反の残置森林伐採について事業者のAS鴨川ソーラーパワー合同会社(千葉県鴨川市)が提出した復旧措置計画書を検討した結果、斜面の中腹にあって復旧が容易な4ヵ所(0.18ha)に限って復旧計画を認めたことを説明した(この4ヵ所には事業者が春頃、コナラなどを植える)。その上で、「これは事業再開に向けた一歩前進とは我々は思っていない。すべての課題が解決されるまで工事を再開させる考えはない」と強調した。知事のいう「課題」には、違反伐採の復旧のほか、盛土規制法の要件を満たすことが含まれる。
熊谷知事は1月5日には、メガソーラー問題に詳しく鴨川の現場も視察したアルピニストの野口健氏と面談。「急峻な地形で切土、盛土する。防災が非常に重要と(野口氏と)考えが一致した」と会見で述べた。
国が対策パッケージ、2027年度から支援は「廃止」
2012年のFIT(再生可能エネルギー固定価格買取)制度開始以降、メガソーラーは急速に拡大したが、自然環境、防災、景観などをめぐって紛争も相次ぐ。背景には、設置に適した平地が不足する中、山林や湿原で自然破壊的な建設計画が進められてきた実態がある。政府はこれまでも環境アセスメントの義務化、林地開発許可制度の強化等を進めてきたが、鴨川市や北海道釧路市など各地で進む開発に対し後手に回ってきた。
残すはずの木が大量に伐採されていた鴨川メガソーラー建設現場。「谷埋め盛土」崩落も心配されている
(千葉県鴨川市、鴨川山と川と海を守る会提供)
メガソーラーに厳しい視線を注ぐ高市政権の発足でギアが切り替わり、2025年12月23日には関係閣僚会議が「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」をとりまとめた。そこでは「再生可能エネルギーの導入にあたっては、地域との共生や環境への配慮が大前提である。地域との共生が図られた望ましい事業は促進する一方で、不適切な事業に対しては厳格に対処する必要がある」との考え方を示した。
それを受け、経産省の調達価格等算定委員会は1月7日、2027年度以降、メガソーラーへのFIT制度による支援を廃止する方向性を確認した。資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー課は「以前から太陽光発電に係るコストは低下してきており、それを踏まえて『支援からの卒業の方向』を決めた」と説明する。環境にやさしい再生可能エネルギーを支援する制度によって、環境破壊の開発が後押しされてしまう矛盾が解消されることになる。
不適切事案「止められる」ツールを
だが、緩い規制の下ですでに許認可された事業の扱いには難しい課題も残る。対策パッケージも「現在すでに開発に着手されたものであっても、法令が遵守され、地域共生が確保されるよう......各種の関係法令の規制を総動員し、厳格に対応する」とうたうが、具体的にどう対応できるか、自治体の現場では手探りが続く。
「メガソーラーに関する対策パッケージ」を決めた大規模太陽光発電事業に関する関係閣僚会議
(2025年12月23日、首相官邸ホームページから)
対策パッケージには「地域の信頼を得られる責任ある主体への事業集約の促進」も掲げられているが、メガソーラーの事業者は「合同会社」を使った透明性が低いスキームが多用されていることに加え、許認可を会社ごと売買するなど「事業の転売」も繰り返され、責任の所在も見えにくい。
8日の会見で熊谷知事も「昨年、県が行った要望も(対策)パッケージに反映された」と国の対応を評価しつつ、「進めるべき(事業)は進めるし、課題のあるものは止めたり制御、コントロールできる体制を国には早期に整えていただきたい」と注文を付け加えた。
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