農政:どうするのか?この国の進路 高市政権を考える
【高市政権を考える】圧勝でも党掌握できず "安倍後継"に広がる不信 「月刊日本」編集長・中村友哉氏2026年2月27日
自民党圧勝だった総選挙。だが、自民党は一枚岩なのか。「月刊日本」の編集長・中村友哉氏は疑問を呈している。
2月18日、衆院本会議で施政方針演説をおこなう高市早苗首相(首相官邸Webサイトより)
真冬に行われた異例の解散総選挙は、自民党の圧勝に終わった。自民党は単独で3分の2を超える議席を得た一方、選挙直前に立憲民主党と公明党が結成した新党「中道改革連合」は、公示前から議席を半減させ、惨敗した。
高市首相はこの選挙を、自分が首相でよいかどうかを決めてもらうための選挙と位置づけ、自身への信任を訴えた。日本は議院内閣制を採用しており、総理大臣は国民から選ばれた国会議員による首相指名選挙で選出される。国民が直接リーダーを選ぶ大統領制の国ではない。
しかし、自民党の支持率が低迷する中で自民党が大勝したのは、有権者が自民党ではなく高市首相に期待して投票したからだろう。これにより、高市首相は事実上、「高市大統領」となった。
高市首相は派閥に属しておらず、党内基盤が弱かったが、今後自民党内で影響力を拡大していくことは間違いない。高市人気のおかげで当選した自民党議員たちは高市首相に頭が上がらなくなり、自民党が「高市党」に変質していく可能性もある。米国の共和党がトランプ大統領の影響により「トランプ党」に変質しているのと同じ現象だ。
自民党は単独で3分の2を超える議席を持っているので、参議院で法案を否決されても衆議院で再可決できる。そのため、高市首相はあらゆる法案を成立させることができ、高市首相の思い通りの政治が実現されるのではないか――。高市首相の支持者からも批判者からもこうした声が聞かれる。
しかし、そう簡単にいかないのが日本政治。高市首相は選挙で歴史的大勝を収めたにもかかわらず、未だ自民党を掌握できているとは言えない。
高市首相は投開票日の翌日、麻生太郎副総裁に衆院議長就任を打診したが、固辞されたという。衆議院議長は「上がりポスト」で、そのポストについた政治家は遠くない将来引退することになる。首相としては、麻生氏を副総裁から外し、議長に祭り上げることで、その影響力を削ごうとしたのだろう。
言うまでもなく、麻生氏は高市政権誕生の立役者である。麻生氏の支持がなければ、高市氏は自民党総裁選に勝利できなかった。そのため、麻生氏は高市政権に対して絶大な影響力を持っており、高市政権は実質的に「第二次麻生政権」の様相を呈していた。高市首相からすれば、麻生氏には恩義があるとはいえ、目の上のたんこぶだった。そこで、なんとか麻生氏を排除したいと思っていたのだろう。
その思いが端的にあらわれていたのが、高市氏が衆議院を解散することを麻生氏に一切相談しなかったことだ。麻生氏は直前まで解散はないと言っていたので、面子をつぶされた形になった。それに続いて今回の衆院議長打診である。高市首相からすれば、これだけ議席をとったのだから、さすがの麻生氏も自分の言うことを聞くだろうと思ったのかもしれないが、麻生氏にしてみれば「誰のおかげで首相になれたと思っているんだ」ということになる。麻生氏は内心、腸が煮えくり返っているに違いない。
また、高市首相は国会審議を迅速に進めるため、国対委員長を萩生田光一氏に交代させようとしたが、こちらも固辞されたという。萩生田氏がいわゆる裏金問題で自民党の公認を外された際、高市氏は選挙の応援に駆けつけており、高市政権が発足すると、批判を浴びながらも幹事長代行という要職につけた。高市首相はおそらく、自分に恩義のある萩生田氏なら人事を断るはずがないと思っていただろうから、固辞されて面食らったのではないか。
もともと萩生田氏は早期解散に否定的だった。また、麻生氏と同様、高市首相から解散の意向を聞かされていなかったとされている。これではいくら選挙に大勝したとはいえ、萩生田氏が高市首相に不満を持ち、人事を蹴ったとしても不思議ではない。
しかし、麻生氏や萩生田氏が高市首相の人事に従わなかったのは、何の相談もなく解散したことだけが理由ではあるまい。最大の理由は、高市氏と安倍晋三元首相の関係にあると思う。
安倍氏は21年の自民党総裁選で高市氏を支援したが、高市氏が仲間づくりをしようとしないことに不満を持っていた。安倍氏と親しく接していた多くの人たちが、安倍氏は高市氏を評価していなかったと証言している。高市氏を安倍氏の後継者と見ている自民党議員もいるが、単にその議員が安倍氏からそれほど信頼されておらず、本音を明かしてもらえなかっただけだろう。
当然、安倍氏の盟友である麻生氏や、安倍氏の最側近の萩生田氏は、安倍氏から高市氏への不満を聞いていたはずだ。そのため、彼らは表向きは高市首相を支持しているが、実際は高市氏に対して不信感を持っているのではないか。高市首相が安倍政治の継承を打ち出せば打ち出すほど、どの口が言うかと不信感は大きくなっていくだろう。
結局、政治は人間の営みであり、最後は人間次第である。選挙に大勝しようが、議席を単独で3分の2とろうが、それだけで思い通りの政治ができるわけではない。高市首相が人間として成長しない限り、今後も自民党内を掌握することは難しいだろう。
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