農薬:防除学習帖
トマト病害虫雑草防除のネタ帳 害虫防除 ダニ科【防除学習帖】第188回2023年2月18日
現在、防除学習帖では、トマトの病害虫雑草の生態や防除法を紹介している。前回からトマトを加害する害虫の防除ネタを紹介しており、ハダニ類の防除を紹介した。今回は、同じダニ目に属するトマトサビダニ(フシダニ科)とチャノホコリダニ(ホコリダニ科)を紹介する。
1.トマトサビダニ(ダニ目フシダニ科)の防除
(1)トマトサビダニの生態と被害
トマトサビダニは、体長0.2mm程度の極小さな害虫であり、トマトの葉、茎、果実に寄生する。葉では裏側が褐変して葉が巻き込み、ひどくなると葉全体が褐変・枯死する。茎も寄生部位は褐色になる。最初株の下部に寄生し、徐々に上部へと寄生範囲を広げ、発生が多くなると、果実にも寄生し、果実表面が灰褐色になり、細かい亀裂が生じる。発生が甚大になると株が枯死することもあり、収量、品質に甚大な被害を与える。
施設栽培で発生が多く、露地栽培での発生は少ない。主に施設内で越冬していると考えられており、卵から成虫までの発育期間は25℃で6~7日と短く、一旦発生すると短期間で高密度になる。管理作業等で回りの株に広がっていくので、発生を確認したら、作業前にまずは徹底的に防除を実施するよう心がける。
(2)化学的防除法
増殖が速いので、発生を確認したら、まだ密度が低いうちに速やかに薬剤による防除を行う。
トマトサビダニに農薬登録のある農薬は一覧表のとおりであるが、アベルメクチン系(アグリメック、アニキ、アファーム)、メタジアミド系(グレーシア)、ビフェナゼート(マイトコーネ・ダニ太郎)、テトロン酸系(モベント)等の効果が高い。これらにキノキサリン系(モレスタン・パルミノ)や気門封鎖剤(サンクリスタルなど)を適宜加えてローテーション防除を実施する。

(3)耕種的防除
①苗からの持ち込みにより発生することが多いので、苗に寄生がないかよく確認し持込みを防止する。
②捕食性のダニなどが確認されているが、有効な天敵農薬はまだない。
2.チャノホコリダニ(ダニ目ホコリダニ科)の防除
(1)チャノホコリダニの生態と被害
体長0.1~0.5mmの楕円形で淡黄色をした非常に小さな害虫である。茶樹やサザンカなどに多く寄生しているが、シロツメグサ(クローバー)などの雑草にも寄生し、雑草上でも越冬する。
施設栽培では、床土に残存しているチャノホコリダニ個体や風によって伝搬してきた個体が発生源になる。加温施設内や夏期の高温下では、5日前後で卵から成虫になり、成虫となって1~3日後には産卵を開始するため、繁殖力が強く、甚発生の際には、トマト1葉に数百頭の個体が寄生していることもよくある。作物が生育できる程度の温度と60~85%の多湿条件が揃うと発生が多くなり、特に施設栽培での発生が多く、被害も大きい。芽の内部に多く寄生し、幼葉や若芽を加害するため、被害部は褐変硬化し、葉の奇形や芯止まり、花芽の欠損、果実の褐変硬化などの被害を生じるので、収量、品質への影響が大きい。
(2)化学的防除
登録農薬は、サフオイル乳剤と天敵農薬のみである。しかし、前述のトマトサビダニ防除剤の多くがチャノホコリダニにも副次的な効果が期待できるため、トマトサビダニ防除を徹底することによって、チャノホコリダニの密度低下が期待される。
天敵以外の薬剤を使用する場合は、新葉部を中心に、葉裏にも十分にかかるように丁寧に散布する。
(3)耕種的防除
①越冬場所になる周辺雑草を除去し、圃場環境を清潔に保つ。
②周辺に茶樹やサザンカなどの寄生植物がある場合は、それらが発生源になる可能性が高いので、可能であればそれらへの防除を実施する。もしくは、発生前に予防的な散布を徹底する。
③施設内土壌や床土が発生源になるので、太陽熱消毒などの土壌消毒が効果的である。
④天敵製剤であるスワルスキーカブリダニ剤(スワルスキー、スワルスキープラス)やリモニカスカブリダニ剤(リモニカ)が使用できるので、用法・用量を守って適切に使用する。
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