農薬:防除学習帖
トマト病害虫雑草防除のネタ帳 害虫防除 雑草防除【防除学習帖】第199回2023年5月13日
現在、防除学習帖では、トマトの病害虫雑草の生態や防除法を紹介している。前回までに病害虫防除のネタを紹介し終えたので、今回からトマト栽培で問題となる雑草防除のネタを紹介する。
1.トマト栽培で問題となる雑草
トマトの栽培様式(露地栽培、施設栽培)を問わず、土耕(土壌にトマトを栽植する)であれば、畑地に発生する雑草が発生する。発生する時期や発生草種は地域や圃場ごとに異なるが、除草手段は、雑草の発生消長(一年生、越年生、多年生)や除草剤の処理方法によって大別できる。主な畑地雑草の一覧を次表に整理したので参照願うとして、発生消長の特徴を大まかに整理するとは以下のとおりである。
(1)一年生雑草
次世代の発生器官として種子だけを残すものを一年生雑草といい、春に芽吹き、夏に花を咲かせ、秋に結実して枯れる。多くの科にまたがって多数存在し、畑地雑草の名kあでは、この一年生雑草が一番多い。
(2)越年生雑草
一年生雑草の一種で、初冬に発芽してある程度生育した草姿で越冬し、春に生育盛期を迎えて、夏に花を咲かせ、秋に結実して枯れるものをいい、生育期間が長いのが特徴である。
(3)多年生雑草
種子の他、種子以外の地下茎や根を発生源として残すものを多年生雑草という。一般的に地下深くからも発生してくることから、防除が困難な草種が多い。
2.雑草防除法
病害虫と同様に様々な雑草防除法が存在する。除草剤以外の方法は、圃場の状況により利用できる範囲が異なってくるが、できるだけ複数の手段を用いて雑草防除に当たる方が効率もよい。
この概念を、総合的雑草防除 IWM(Integrated Weed Management)と呼んでいる。
(1)生態的防除法
①耕耘・灌漑:耕耘によって雑草を漉き込んだり、灌漑によって水没させて枯らす方法
②輪作、田畑転換、栽植密度を高めるなど作物との競合を利用する栽培様式に変更する方法
(2)機械的防除法
除草機械(刈払機、中耕除草機、中耕培土機など)を利用して除草する方法
(3)生物的防除法
①家畜に食べさせて除草する方法
②コガタルリハムシなど雑草を食べる昆虫を利用する方法
③魚類(コイ、草魚など草食性のもの)や鳥類(アイガモ)を利用する方法
④雑草を枯らす病原菌など微生物を利用する方法
⑤アレロパシー(他感作用)を利用する方法。アレロパシーとは、ある植物がアレロパシー物質を分泌して自分以外の植物が生息しにくい環境にしてしまう作用のことをいう。
⑥カバークロップを畝間などに栽植し、雑草の繁茂を防ぐ方法
(4)物理的防除法
①火炎バーナーを用いた焼却・焼土、熱水・蒸気消毒など熱を利用して雑草体や雑草種子を死滅させる方法
②敷草、敷わら、フィルムマルチ、防草シートなどを利用したマルチングで太陽光を遮り、雑草の生育を抑制する方法
(5)化学的防除法
農薬(除草剤、抑草剤、土壌消毒剤)を利用して除草する方法
①抑草剤
雑草を枯らすことなく、緑の景観を保ったまま草丈を低くして繁茂するのを抑え、雑草害を起こさない程度に抑制する作用をもった農薬を使用する。主に水稲畦畔で使用される方法でトマトでの適用はない。
②土壌消毒剤
土壌病害虫防除に使用される土壌消毒剤の多くは、土壌中の雑草種子や雑草を枯らす作用を持っているため、土壌病害虫防除も兼ねて土壌消毒を行う。
③除草剤
除草剤を使用して除草を防除する。詳細は次回紹介する。
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