食品ロス削減へ"3分の1ルール"見直しなど経営層に強力要請へ 子ども食堂などへの寄附推進も2022年9月13日
食料品の価格が高騰する中、農水省は、食品ロス削減による製造コストの抑制も見据えて、食品の賞味期間について厳しい納品期限を課している“3分の1ルール”といわれる商慣習の見直しなどを食品業界の経営層に強く要請する方針を決めた。そのうえで発生する賞味期限内の食品については、フードバンクや子ども食堂への寄附が進むようネットワークをつくり、食品ロスを防ぐとともに生活困窮者の支援にもつなげたいとしている。
「3分の1ルール」とは、「食品の納入期限を、賞味期間の3分の1以内とする」という流通業界や小売業界の商慣行で、例えば賞味期限が3か月の食品の場合、メーカーなどは1か月以内に小売店まで納品しなければならないとされている。この期間までに納品できない食品は廃棄される可能性があることから、食品ロスにつながっていると指摘されている。日本では1990年代ごろからこの商慣行があったとされる。
農水省は、こうした商慣習の見直しを食品業界に働きかけているが、食料品の価格が高騰する中、さらに踏み込んで、10月の食品ロス削減月間を中心に、食品企業の経営層に強力に要請する方針を決めた。具体的な要請の方法については現在検討している。また、企業の株主などへの定期情報に食品ロス削減の取り組み状況を記載することも求める。
同省によると、「3分の1ルール」の緩和に向けては、すでに一部小売業者では取り組みが進んでおり、昨年10月の時点で食品スーパーなど186事業者が取り組んでいるという。同省はホームページで事業者名や具体的な取り組み内容をホームページで公表し、消費者への理解も求めている。
さらに、こうした取り組みを進めても発生してしまう賞味期限内の食品については、フードバンクや子ども食堂への寄附が進むよう、製造事業者や物流事業者とフードバンクとのマッチングやネットワークづくりを官民協働で進め、生活困窮者の支援にもつなげたいとしている。
事業系の食品ロスをめぐっては、2019年7月に公表された「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)の基本方針で、2000年度(547万t)を基準に、2030年度には半減(273万t)させる目標を設定している。直近の5年間の平均で334万tまで削減が進んでおり、同省は今回の取り組みも通して食品ロスのさらなる削減を進めたいとしている。
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