沖縄県初の陸上養殖「琉球あおのり」新発売 伊江村水産業の持続可能性に貢献 パルシステム2024年6月25日
パルシステム連合会は6月24日、原料は沖縄県初の陸上養殖場で生産した「スジアオノリ」だけを使用した「琉球あおのり」の注文受付を開始。海水温上昇や担い手不足で全国的に供給不足のスジアオノリの陸上養殖により、持続可能な資源管理型漁業の実現をめざす。
新発売の「琉球あおのり」
「琉球あおのり」の原料は、青のりとして販売される海藻の中でも特に香り高く、鮮やかな緑色が特徴の「スジアオノリ」だけを使用している。近年の海水温上昇などの影響を受け、全国的に生産量が減少し高級品として扱われている品種で、沖縄県伊江島の陸上養殖場で、地下透過海水を毎日くみ上げ太陽光の下育った原料は、口どけの良さも特徴。
「スジアオノリ」の陸上養殖場は、伊江村、伊江漁協、高知大学、沖縄県水産海洋技術センターのほか、パルシステムと産直提携を締結する阿波市場が連携し、島の新たな振興事業として2024年5月に操業を開始。施設は、内閣府の「沖縄北部連携促進特別振興事業」の助成で建設され、県内初の商業規模のスジアオノリ陸上養殖場として稼働している。漁協組合員が高齢化などで減少するなか、高齢者や女性など新規の雇用創出にもつなげている。
約1871㎡の敷地に設置された170基の養殖プラント
収穫されたスジアオノリは、全量を阿波市場が買い取り、選別、乾燥後に包装し「琉球あおのり」としてパルシステムはじめ全国の消費者へ販売する。
伊江漁業協同組合の八前隆一組合長は「しっかりと生産すれば消費してくれる人がいることは心強いこと。北部地域の水産業の発展に寄与できるよう取り組みます」と陸上養殖場を活用した村の水産業振興への意気込みを話している。
産学官連携で7年かけ商品化
スジアオノリの陸上養殖技術は、かつて河川流域での収穫が盛んだった徳島県と高知県で実用化が研究された。徳島の吉野川汽水域ではかつて年間100トンの収量があったが、気候変動やダム建設などの影響を受け17トン程に減少。徳島の鳴門わかめを取り扱う阿波市場は、スジアオノリの食文化を次世代につなぐため、わかめの種苗作りで連携する高知大学と協力し養殖の研究に着手した。
伊江島での陸上養殖は2017年から検討が始まり、島の気候風土に合う養殖法を研究してきた。7年を経て村と漁協を含む産学官連携で本格操業が実現した。国内の年間需要100トンと言われるスジアオノリの伊江島での収量は、年間10トンを見込んでいる。パルシステムでは、ミールキットなどでの活用も含め、年間2.4トン程度の販売をめざす。
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