紅葉期のインバウンド、過去最高 旅館・ホテルの業績もV字回復 米需要押し上げ要因にも2024年12月26日
紅葉シーズンの人気や円安を背景に11月のインバウンドが同月としては過去最高の約318万人となった。インバウンドも取り込んで、コロナ禍で打撃を受けたホテル・旅館業の業績も2023年度はV字回復。2025年も、米をはじめ国産農畜産物の需要を押し上げる一因となりそうだ。
V字回復する旅館・ホテルの業績
11月の訪日外客数は約319万人
日本政府観光局(JNTO)は12月18日、11月の訪日外客数が318万7000人(前年同月比30.6%増)で、同月として過去最高を記録したと発表した。11月までの累計も3337万9900人で、これまで過去最高だった2019年の年間累計を上回り、過去最多となった。
2024年冬ダイヤ時点の航空便数が2019年と同水準まで回復する中、紅葉シーズンの訪日需要の高まりから、中国、韓国、台湾、米国などで訪日外客数が増加した。2024年1月からの累計では、韓国、香港、インドネシア、ベトナム、フランスが11月時点で過去最高を更新した。
訪日外国人は平均9.5泊して1人当たり22万3195円を使い、うち7万5739円(34%)が宿泊費、4万9264円(22%)が飲食費となっている(2024年7~9月期速報、観光庁調べ。クルーズ客の泊数には船中泊も含む)。
旅館・ホテル業の利益、V字回復
こうしたインバウンド需要を取り込んだ関東、九州、北海道を中心に、コロナ禍で辛酸をなめた全国の旅館・ホテル業の業績がV字回復し、コロナ禍前の水準を上回った。東京商工リサーチが12月25日に公表したレポートで明らかにした。「インバウンド需要の回復と国内旅行客の増加により宿泊料金の値上げ等が進み、業績に寄与したとみられる」という。
全国の旅館・ホテル1453社を対象に東京商工リサーチが行った2023年度業績調査によると、売上高は3兆2213億円(前期比25.1%増)、利益は2522億円(同211.9%増)で、利益は3.1倍にV字回復。全体の73.9%にあたる1075社が黒字計上した。
インバウンドとの関連について同レポートは、「オーバーツーリズムや人手不足などの問題も浮上している。インバウンド需要を一過性の特需で終わらせず、持続可能な形で発展させられるかどうかが今後の課題になっている」と指摘している。
米需要も年3.1万トン押し上げ
インバウンドでにぎわう直売所もある。農水省の試算では、23年7月から24年6月の訪日外国人が前年比2.3倍に急回復した結果、米需要が3.1万トン増加した。端境期の米不足の一要因ともなったが、インバウンドの伸びは、輸出増と並んで国産農畜産物の売り上げ拡大につながると期待される。
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