3月の飲食料品値上げ684品目 前年比7割減、一服感強まる 帝国データバンク2026年3月2日
帝国データバンクは、3月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについて分析。3月の飲食料品値上げは合計684品目となった。食品分野別では、切り餅や米飯系冷凍食品など「加工食品」(304品目)が最も多く、値上げ要因では、特に原材料などモノ由来の値上げが多くを占めた。
同調査によると、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした3月の飲食料品値上げは684品目、値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均14%となった。単月の値上げ品目数が1千品目を下回るのは2025年11月以降5か月連続で、値上げラッシュが本格化した2022年以降で初めて。また、前年3月からは1845品目・73.0%減少し、今年1月以降3か月連続で前年を下回った。3か月連続で前年を下回るのは、2024年8-10月以来1年5か月ぶり。飲食料品における値上げの勢いは、前年に比べて小康状態で推移した。

2026年3月の値上げを食品分野別に集計すると、切り餅や米飯系冷凍食品、パスタ調理品などを中心とした「加工食品」(304品目)が最も多く、「酒類・飲料」(224品目)は、果汁飲料や緑茶PET飲料などが対象となった。「調味料」(72品目)は、ドレッシング類が中心だった。
2026年の値上げは、1~6月までで累計4493品目となり、年間の平均値上げ率は15%に達した。年間の値上げ品目予定が1万品目を超えていた前年同時期(2025年2月28日時点、1万797品目)に比べ、2026年2月時点では予定を含めて5千品目に届かず、前年比6割減ペースでの推移。ただ、菓子類などで「減量値上げ」が散見されるほか、値上げ商品を選別する動きもみられる。また、コメの価格高騰を中心に、米菓などコメを原料とする飲食料品では値上げ圧力が根強いほか、すり身、アフリカ豚熱の影響を受けた豚肉類など、関連する食料品で「原材料高」による影響を受けた値上げが一部でみられた。
全体では総じて値上げの動きが鈍化傾向にあり、単月で1千品目を超えるのは6月までで4月のみ(2516品目)にとどまった。
値上げ要因では、特に原材料などモノ由来の値上げが多くを占めた。「原材料高」の影響を受けた値上げは99.2%となり、集計を始めた2023年以降で最多。国内だけでなく、海外の市況高騰を受け、値上げに踏み切った商品が前年に比べて目立った。
「包装・資材」(69.8%)は7割前後まで上昇し、2023年以降で最高だったほか、「人件費」由来の値上げも60.7%と6割を超え、過去4年で最高水準での推移。他方、トラックドライバーの時間外労働規制などが要因となった輸送コストの上昇分を価格に反映する「物流費」由来の値上げは66.5%となり、前年通年(78.6%)から大幅に低下した。電気・ガス代など「エネルギー」(50.1%)、「円安(為替の変動)」(3.3%)はともに前年を下回り、過去4年で最低。
「値上げラッシュ」一服感 年後半は「円安リスク」再燃懸念
足元では、豚肉や鶏卵など一部原材料で供給不足が続いているものの、「小麦」「食用油」など、広範囲にまたがる原材料では記録的な不作や在庫不足を要因とした供給ショックによる値上げが一服しつつある。他方、原油価格高騰に伴う樹脂や紙などの原料コストやエネルギー費の上昇、物流・人件費の上昇を受けた包装資材の値上げや、直接的な人件費の上昇を要因とした値上げへとシフトしつつあり、飲食料品分野に限れば賃金と物価が持続的に上昇する、内生的・粘着的な物価高のトレンドが続いている。

一方で、3千品目を超える大規模な値上げラッシュは2025年10月(3161品目)以降発生しておらず、前年3月(2529品目)と比べても大幅に減少するなど、飲食料品の値上げは小康状態で推移。食料品の分野によっては、値上げによる消費者の買い控えや安価なプライベートブランド(PB)へ流れるなど、購買力の低下を背景とした需要の減退もみられ、コスト増加分を販売価格へ転嫁できる環境が2026年も持続するかが注目点となる。
今後の飲食料品値上げは、短期的には前年を大幅に下回る小康状態が続くとみられる。ただ、与野党で政策の争点となる「消費税減税」は、消費者の家計負担低減と購買意欲の拡大が期待できる半面、財政悪化への警戒感から円安圧力も高まり、年後半にかけて「円安リスク」が値上げの動きへ反映されるかが焦点となる。
足元では「円安」を理由とした値上げ割合は3%にとどまるものの、円安の長期化が輸入物価を押し上げ、再び食料品価格の上振れ要因となる可能性もある。
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