日本原産フキノトウからがんの増殖・転移を強く抑制する物質を発見 岐阜大学2021年9月3日
岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科の研究グループは、シーシーアイなどとの共同研究で、日本原産植物フキノトウに多く含まれるペタシンが、がんの増殖と転移を強く抑制することを発見。ペタシンはがん細胞の特異的なエネルギー代謝を阻害することで、正常組織への副作用を抑えつつ効果的に抗がん効果を発揮することを明らかにした。同化合物を起点に副作用の低い革新的な抗がん・転移阻害薬の開発が期待される。
活発に増殖・転移するがん細胞は、正常細胞と比べてより多くのエネルギー(ATP)や細胞の構成要素(核酸とタンパク)を合成する必要があるため、大量のグルコースやグルタミンなどの栄養素を取り込んで代謝する(図1A)。この代謝反応はミトコンドリアの呼吸鎖複合体I(ETCC1)に支えられており、ETCC1阻害によって効率的にがんの増殖と転移を抑制できると考えられている。しかし、既存のETCC1阻害剤は活性が弱いか毒性が強く治療に応用できない状態だった。
今回の研究では、日本原産植物のフキノトウ(Petasites japonicus)に多く含まれるペタシンが、既存の化合物の1700倍以上高い活性でETCC1を阻害することを発見。ペタシンはがんに特徴的なエネルギー代謝を阻害することで、正常組織にほとんど副作用を示さずにがんの増殖と転移を阻害した(図1B)。また、乳がん、胃がん、大腸がん、膵臓がん、膀胱がん、前立腺がん、悪性黒色腫、肉腫、白血病など幅広い種類のがん細胞に対して非常に強い抗がん活性を示した。ペタシンは、がんのエネルギー代謝を標的とする新しい抗がん・転移阻害薬として有望と考えられる。
同研究成果は9月2日(日本時間)に「The Journal of Clinical Investigation誌」のオンライン版で発表された。
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