植物、農作物の成長を早める可能性「量子ドットフィルム」開発 GSアライアンス2023年3月8日
GSアライアンスは、植物、農作物の成長を加速する可能性のある「量子ドットフィルム」を開発した。温室の窓や、ビニルハウスに貼り付けたり、植物工場のLED照明に載せたりすることで、植物や農作物の成長を加速させることが期待できる。
ガラス上の量子ドット。室内灯下 (左)と室内での紫外線照射下
植物がCO2を吸収し、太陽光の助けで酸素やデンプンを作る光合成だが、実際は太陽の光をすべて利用しているわけではなく、特に青色と赤色の光が光合成や植物の成長に効果がある。植物、葉が緑色に見えるのは、植物が光合成、成長に使っていない緑色の光を反射しているため。近年は、こうした分野の研究が進んでおり、例えばバラは白色、唐辛子は黄色、トマトはマゼンタ色の光により成長が加速することなども明らかになっている。
一方で量子ドットは、0.5~9nmという超微粒子サイズの物質で、量子化学、量子力学の法則に従う光学特性を示す。人為的に合成される物質でとても小さく、数十から数千の分子からなる物質であるため人工分子とも言われている。物質がこの大きさになると、電子のエネルギーは連続ではなくなり、量子閉じ込め効果と呼ばれる物理的現象により、エネルギーレベルは離れて分離していく。
同社は、これまでさまざまな量子ドット、量子ドット複合材料を研究開発、合成しており、このほど、同社の岩林弘久研究員と森良平博士(工学)は、紫外線、短波長の青色光を赤色に変化させる量子ドットフィルムを開発した。主に開発した量子ドットは、CIS(CuInS2)/ZnS量子ドットで、フィルムに塗布する前は水系で、製造工程においても環境に優しい素材となっている。
暗所における紫外線照射下での量子ドットフィルム
太陽光ではより多くの赤色の波長の光を利用でき、植物、農作物の成長が加速することが期待される。太陽光は一部紫外線を含んでおり、紫外線は人体に有害だが、その光を有効な赤色に変化させる。
この量子ドットフィルムを温室の窓や、ビニルハウスに貼り付けたり、植物工場のLED照明に載せたりすることで、植物、農作物の成長が加速されることが期待できる。また、それぞれの植物、農作物の種類に応じて、赤色以外の色に変化させる量子ドットフィルムを作れる可能性もある。同社は今後、実際の植物工場、農園での実証実験、事業化を進めるため、協業パートナーなどを探していく。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(90)みどりの食料システム戦略 現在の技術で実現可能でしょ(4)2024年4月20日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(7)【防除学習帖】 第246回2024年4月20日
-
土壌診断の基礎知識(16)【今さら聞けない営農情報】第246回2024年4月20日
-
地域複合農業戦略に挑む(2)JA秋田中央会会長 小松忠彦氏【未来視座 JAトップインタビュー】2024年4月19日
-
農基法改正案が衆院を通過 賛成多数で可決2024年4月19日
-
【注意報】さとうきびにメイチュウ類 伊是名島で発生多発のおそれ 沖縄県2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:JA水戸 那珂川低温倉庫(茨城県) 温湿度・穀温 適正化徹底2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ対策を万全に 農業倉庫基金理事長 長瀬仁人氏2024年4月19日
-
食農教育補助教材を市内小学校へ贈呈 JA鶴岡とJA庄内たがわ2024年4月19日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第97回2024年4月19日
-
(380)震災時は5歳【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月19日
-
【JA人事】JA道北なよろ(北海道)村上清組合長を再任(4月12日)2024年4月19日
-
地拵え作業を遠隔操作「ラジコン式地拵機」レンタル開始 アクティオ2024年4月19日
-
協同組合のアイデンティティ 再確認 日本文化厚生連24年度事業計画2024年4月19日
-
料理酒「CS-4T」に含まれる成分が代替肉など食品の不快臭を改善 特許取得 白鶴酒造2024年4月19日
-
やきいもの聖地・らぽっぽファームで「GWやきいも工場祭2024」開催2024年4月19日
-
『ニッポンエール』グミシリーズから「広島県産世羅なしグミ」新発売 JA全農2024年4月19日
-
「パルシステムでんき」新規受付を再開 市場の影響を受けにくい再エネ調達力を強化2024年4月19日
-
養分欠乏下で高い生産性 陸稲品種 マダガスカルで「Mavitrika」開発 国際農研2024年4月19日
-
福島県産ブランド豚「麓山高原豚」使用『喜多方ラーメンバーガー』新発売 JAタウン2024年4月19日