発熱植物ザゼンソウの生存戦略に手がかり 積雪に強く多様性が高いことが明らかに2023年8月3日
かずさDNA研究所と宮崎大学は、国内に記録されているザゼンソウとヒメザゼンソウの分布情報と環境データを突き合わせることで、発熱するザゼンソウの方が発熱しないヒメザゼンソウより雪深い地域に生育することや、2万年前の最終氷期にはザゼンソウはすでに現在に近い分布を示していたことを明らかにした。
ザゼンソウ
植物の中には、花の温度を上昇させることができる「発熱植物」が100種近くあることが知られている。発熱によって花を暖かくしたり匂いを拡散したりすることで昆虫を誘引して、花粉を運ばせると考えられている。
ザゼンソウの仲間は唯一北東アジアの寒冷地に生息し、花が咲く1週間程度の期間中体温を20℃近くに維持。一方、近縁で小ぶりな花をもつヒメザゼンソウではこのような性質は見られない。また、なぜザゼンソウが他の発熱植物と異なり寒冷地で発熱するのかはわかっていなかった。
かずさDNA研究所と宮崎大学は、国内に記録されているザゼンソウとヒメザゼンソウの分布情報と環境データを突き合わせることで、発熱するザゼンソウの方が発熱しないヒメザゼンソウより雪深い地域に生育すること、2万年前の最終氷期にはザゼンソウはすでに現在に近い分布を示していたことを明らかにした。
また、日本各地で採取した両種の葉緑体や核のDNAを比較すると、ザゼンソウの方が遺伝的な多様性が高いことがわかった。これらのことから、ザゼンソウは同じ地域に留まり遺伝的多様性を蓄積していったのに対して、ヒメザゼンソウは分布域を現在の地域へと移動したことが示唆された。
同研究の成果は、発熱する植物としない植物の異なる生存戦略を解き明かすための重要な手がかりなる。
この研究成果は7月15日、国際学術雑誌『Ecology and Evolution』でオンライン公開された。
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