兎出血病の原因ウイルス 遺伝学的特徴を解明 国内外からのウイルス侵入に警戒を 農研機構2023年9月7日
農研機構は、2019年に国内で17年ぶりに発生したウサギの急性感染症である兎出血病について、2000年から2020年の間に発生した6例由来の検体を用いて原因ウイルスの全ゲノム解析を行い、同病の国内発生は海外流行株の複数回の侵入が要因である可能性を明らかにした。また、2019年から2020年にかけて関東地方で発生した3例由来のウイルスゲノム配列が互いに非常に類似していることを明らかにした。兎出血病は致死率が高い伝染性疾病で、2021年以降も国内で散発的に発生しているため、今後も国内外からのウイルス侵入に警戒が必要。
兎出血病は、致死率が非常に高いウサギの急性感染症で、兎出血病ウイルスが原因。従来の被害は8週齢以上の家兎が中心だったが、2010年にフランスで、若齢の家兎や野兎でも発症する新たな変異ウイルスが出現した。現在、この変異型のウイルスは急速に世界各国にまん延し、家兎の被害だけではなく、野兎の個体数減少による生態系への影響も懸念されている。
国内で同病は、1994年に初めて疑い事例が確認され、1998年に家畜伝染病予防法に基づく届出伝染病に指定。2000年と2002年にそれぞれ1例ずつ発生したが、その後、17年間発生はなかった。しかし、2019年から2020年にかけて計9例発生し、国内で初めてとなる同病の流行が確認された
。
農研機構では、発生要因を理解し今後の対策に資するため、2000年東京都、2002年北海道、2019年愛媛県、2019年茨城県、2020年栃木県および2020年千葉県の計6発生例から採取した検体を用いて、原因ウイルスの全ゲノム配列決定と遺伝子を解析。その結果、これらの発生には従来型のウイルスが2系統と、新たな変異型のウイルスが2系統の少なくとも4系統のウイルスが関与したことが明らかになった。
また、これらの系統のウイルスはそれぞれ海外流行株に遺伝学的に近縁で、そのうち新たな変異型ウイルスの1系統に分類された2019年茨城県、2020年栃木県および2020年千葉県の3発生例で検出された株は互いに非常に近縁であることが明らかになった。
これらの結果は、2000~2020年の国内における兎出血病は、海外から複数回にわたってウイルスが侵入した可能性を示唆。同病は2021年以降も国内で散発的に発生している。ウサギを飼養する施設では衛生管理を日頃から遂行し、人や物、導入ウサギ等を介したウイルス侵入を防止する必要がある。
重要な記事
最新の記事
-
商系に撤退の動き、集荷競争に変調 米産地JA担当者に聞く(中)【米価高騰 今こそ果たす農協の役割】2025年10月30日 -
再生産可能なコメ政策を 米産地JA担当者の声(下)【米価高騰 今こそ果たす農協の役割】2025年10月30日 -
生産者が将来見通せる政策を 鈴木農相を表敬訪問 山野JA全中会長ら2025年10月30日 -
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】新政権の農政~「朝令暮改」2025年10月30日 -
よく食べた栗の実【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第362回2025年10月30日 -
鳥インフルエンザウイルスの地理的拡散と進化 2024年シーズンの遺伝子を解析 農研機構2025年10月30日 -
第36回岐阜県農業フェスティバルに出店 ステージやイベントで県産農畜産物をPR JA全農岐阜2025年10月30日 -
全国の産地応援 伊藤園と共同開発「ニッポンエール 大分県産完熟かぼすSODA」発売 JA全農2025年10月30日 -
伊藤園と共同開発「ニッポンエール 長野県産りんご三兄弟」 発売 JA全農2025年10月30日 -
【肉とビールと箸休め ドイツ食農紀行】ドイツで食べ物は高いか?安いか?2025年10月30日 -
最新の無人・自動運転トラクターを実演 クボタアグリロボ実演会 in加美を開催 JAグループ宮城2025年10月30日 -
東北6県の魅力発信「全農東北プロジェクト」とコラボ企画実施 JAタウン2025年10月30日 -
「JAタウン公式アプリ」リリースで開発・導入を支援 メグリ2025年10月30日 -
GREEN×EXPO 2027公式ライセンス商品を相次ぎ発売 横浜と大阪で期間限定店開設 2027年国際園芸博覧会協会2025年10月30日 -
適用拡大情報 殺菌剤「ダイパワー水和剤」 日本曹達2025年10月30日 -
ローズポークを食べてプレゼントを当てよう 11月にキャンペーンを実施 茨城県銘柄豚振興会2025年10月30日 -
鳥インフル 英国からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月30日 -
国産の針葉樹100%使用 高耐久の木製杭「エコクレオ防腐杭」がウッドデザイン賞 コメリ2025年10月30日 -
近いがうまい埼玉産「埼玉県地産地消月間」11月に県産農産物を集中PR2025年10月30日 -
「長崎みかん」初売りイベント 大田市場で開催 JA全農ながさき2025年10月30日


































