【特殊報】ナガエツルノゲイトウ 県内で初めて確認 水田・水路等の点検を 福島県2024年8月8日
福島県病害虫防除所は、ナガエツルノゲイトウ(ヒユ科)を県内で初めて確認したことから、8月8日に令和6年度病害虫発生予察特殊報第1号を発表した。
ナガエツルノゲイトウは、生態系や農業への悪影響を及ぼすおそれがあり、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)に基づき、「特定外来生物」に指定されている。同種は、平成元年兵庫県尼崎市で初めて国内における定着が確認され、令和5年3月現在、関東地方以西から南西諸島にかけて発生が確認されている。
福島県病害虫防除所によると、6月に福島県いわき市で同種と疑われる雑草の発生が確認され、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構に同定を依頼したところ、福島県で未確認のナガエツルノゲイトウであることが8月6日に判明した(写真1、写真2)。同種の発生状況を調査した結果、定着地域はごく一部の地域に限られており、現在のところ広域的な広がりは確認されていない。
ナガエツルノゲイトウの葉は節から1対の葉が付く。葉の長さは2.5~5cm、葉の幅は0.7~2cmで、葉の先端はややとがる(写真1)。茎は空洞(ストロー状)で、節に短い毛が生える。茎の表面はなめらか。また、葉の付け根から花柄を伸ばし、その先に白い小さな花を球状につける。花柄の長さは約1~4cm、球状花序直径は約1~1.5cm(写真1)。
ナガエツルノゲイトウは南米原産の多年草。開花期は4~10月だが、暖地では1年中開花することもある。国内の系統は種子を付けず、茎や根で増殖。茎の再生力が強く、数センチの断片から容易に発根して増殖する。
茎は千切れやすく水に浮き、断片が用水・河川を介して運ばれるため拡散しやすい。直根は土中で50cm以上伸び、根断片からも再生する。また、水陸両生で、畦畔や畑地にも侵入。水田や畑で繁殖すると、作物との競合による収穫量の減少や農業機械の作業性の低下をもたらす。河川や池で大群落となり、水面をマット状に覆い、水路を塞ぎ、取水・排水の障害になることがある。
同防除所では、ナガエツルノゲイトウの発生が疑われる場合は、病害虫防除所または最寄りの農林事務所(農業振興普及部・農業普及所)に速やかに連絡するほか、次のとおり防除対策を呼びかけている。
(1)水田における侵入、水田からの流出防止対策
〇管理作業は、本種の発生のないほ場から行い、使用した機械は洗浄を徹底する。農機に付着した
断片を拡散させない。
〇水口に3mm目程度の種子もみ袋等の網を設置し、茎断片が水田に流入するのを防ぐ。
〇田植前や中干し等の落水時に水尻にザル等をおいて茎断片の流出を防ぐ。
〇抜き取った植物体は放置せず、断片等がこぼれ落ちないよう袋に入れて密閉する。処分方法については事前に各市町村へ問い合わせる。
(2)水田における蔓延防止対策
〇刈り払いによって茎断片が農地に侵入・拡散するおそれがあるので、定着の見られる水田では、除草剤中心に管理を行う。
〇畦畔では、除草剤による防除を行う。なお、薬液が水稲に飛散しないように注意する。
〇発生が確認された本田では、ピラクロニルを有効成分に含む除草剤とフロルピラウキシフェンベンジルを有効成分に含む除草剤を組み合わせた体系防除を実施する。
〇除草剤はラベルの表示(適用場所、適用作物、収穫前日数、散布回数)を確認してから使用する。
(3)水路等における対策
〇同種の発生地域では、その水系に未発見の生育地が存在する可能性がある。地域の関係者と連絡を取り合い、水系単位で対策を行う。
〇駆除対象の群落規模や現場条件に応じて、人力または重機での抜き取り・剥ぎ取りを検討する。
〇駆除した植物体は放置せず、断片等がこぼれ落ちないよう袋に入れて密閉する。処分方法については事前に各市町村へ問い合わせる。
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