図1：シロイチモジヨトウのフェロモントラップ誘殺状況（7月～9月）

広島県農林水産局によると、県内に設置しているシロイチモジヨトウのフェロモントラップ誘殺数が、全ての地点で増加。このうち2地点では、9月第4半旬時点で平均誘殺数を大きく上回った（図1）。また、三次市三和町と東広島市西条町では8～9月の累計誘殺数がそれぞれ平年の1.9倍、3.2倍となっている。

東広島市安芸津町では、9月第5半旬の誘殺数が200頭を超えており、9月第4半旬と比較し、2倍程度の誘殺数となった。また、南部地域のねぎ産地で、基幹防除を実施しているが、多発している事例が報告されている。

気象庁が9月25日に発表した中国地方の1か月予報では、気温は高い予想。シロイチモジヨトウのの増殖に好適となる。

同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。

写真1：ねぎを食害するシロイチモジヨトウ幼虫（提供：広島県西部農業技術指導所）

（1） 幼虫は広食性で、多くの野菜類（ねぎ、わけぎ、キャベツ、ブロッコリー、エンドウ、ばれいしょ、アスパラガス等）および花き類（キク、トルコギキョウ等）を加害する（写真1）。

左から、写真2：シロイチモジヨトウの成虫、写真3：卵塊（提供：広島県西部農業技術指導所）

（2） 成虫（写真2）は灰白色の毛におおわれた卵塊を産みつける（写真3）。ほ場を見回り、卵塊が多くみられる場合は、幼虫の発生に注意する。

写真4：中齢・ 老齢幼虫（提供：広島県西部農業技術指導所）

（3） ふ化直後の若齢幼虫は作物を集団で加害する。中齢や老齢（写真4）になると農薬の効果が低下するため、薬剤散布は若齢幼虫のうちに行う。フェロモントラップ誘殺推移から、現在が若齢幼虫の発生時期と推定されることから、ほ場内で発生が確認されたら、ただちに防除を実施する。

（4） 今後も長期に渡り、誘殺数の多い状況が続くと予測されるため、残効性の長い薬剤を使用する。

（5） 全国的に薬剤抵抗性の発達事例が多く報告されているため、異なる作用機構の農薬をローテーション散布するように努める。また、薬剤散布後はほ場を確認し、防除効果の確認に努める。

（6） 薬剤散布については、農薬使用基準（使用量、希釈倍数、使用時期、使用回数等）を遵守するとともに、周辺作物への飛散防止対策を徹底する。

（7） 最新の農薬情報は 、 農林水産省ホームページ「農薬コーナー」 の「農薬登録情報提供システム」を参照 する 。

（8） ほ場周辺の雑草は本虫の発生源となるため、除草を徹底する。

（9） 今後の誘殺状況は広島県ホームページを参照。