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津波被害地、農業経営再開は1割〜2割  農水省調査

 農林水産省は東日本大震災による農業経営体の被災状況と営農再開状況についてまとめた。震災による農業被害のあった農業経営体全体では岩手県で約95%が再開できている一方、宮城県では約34%にとどまっていることが分かった。また、岩手県でも津波被害にあった経営体で再開できたのは約11%に過ぎず、宮城県でも約22%と壊滅的な打撃を受け経営再開が容易ではないことがうかがえた。また、今回の調査では原発事故被害を受けている福島県は調査対象にしていない。

 調査結果は7月11日現在で関係者から被災状況や経営再開状況などを聞き取り、2010年農林業センサス結果に乗じて集計したもの。対象は福島県を除く、青森・岩手・宮城・茨城・栃木・千葉・新潟・長野の8県。状況確認対象の114市町村のうち110市町村に農業被害があった。
 岩手県では農業被害は20市町村で発生し、このうち11市町村(約55%)で津波被害があった。宮城県では農業被害は31市町村で、このうち15市町村(約48%)で津波被害があった。
 農業集落数では8県計の2万9690集落のうち、約12%にあたる3658集落が被害にあった。岩手県では約36%の1300集落が被害にあい、津波被害は約7%の269集落で発生した。宮城県では約35%にあたる968集落が被害にあい、津波被害は約21%の576集落に及んだ。
 農業経営体ベースでみると、岩手県では約14%の7680経営体が被害を受け、このうち津波被害は440経営体となった。宮城県では約14%の7020経営体が被害を受けたが、このうち8割以上にあたる5820経営体が津波被害を受けていた。
 営農は岩手県では約95%にあたる7260経営体が再開している。しかし、津波被害にあった440経営体で再開できたのは50経営体と約11%にとどまった。
 宮城県では経営再開は約34%にあたる2400経営体にとどまった。とくに津波被害を受けた経営体で再開できたのは1300経営体で約22%となっている。


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