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老朽化やリスクの高い原発を廃炉に  日本生協連がエネルギー政策の転換で提言

 日本生協連は1月17日の理事会で、今後のエネルギー政策の基本方向について提言した「エネルギー政策の転換をめざして」を決定し公表した。

 東電福島第一原発の事故は、大量の放射性物質の漏出により、10万人を超える福島県民が避難生活を強いられるとともに、大量の食品や水、土壌や海洋への放射能汚染が広い範囲に広がるなど、甚大な被害をもたらした。こうした事態に対して日本生協連は「組合員の生命とくらしを守り、持続可能な社会をめざす生協は、今回の問題を踏まえて、はっきりとした考え方をまとめ、提言していく必要があると考え」、この提言をまとめた。
 すでに日本生協連としては昨年7月に全国の生協組合員を対象にアンケート調査を実施し、原発について「長期的に全廃」51.2%、「早期に全廃」15.2%と廃止の方向が全体の3分の2という結果を得ていた(詳細は本紙2146号 /archive03/news/2011/09/news110922-14939.html)こともこの提言の背景にはある。
 この提言ではエネルギー政策の基本視点として、現在のエネルギー政策基本法における3つの基本視点(安定供給の確保、環境への適合、市場原理の活用)に加えて「安全の確保」と「国民の参加」を基本視点に盛り込む必要があるとしている。
 そして今後のエネルギー政策の5つの重点課題として、
1.原子力発電に頼らないエネルギー政策への転換
2.省エネルギー(節電)による使用電力量の大幅削減
3.再生可能エネルギーの急速拡大
4.天然ガス火力発電へのシフト
5.電力・原子力に関わる制度改革と次世代送電網の構築
を提言している。
 原発に頼らないエネルギー政策への転換では、「既存原発の老朽化や地震の頻発などによるリスクの増大、新増設の困難、未解決な放射性廃棄物の処分問題、国民世論の動向や政府の方針を踏まえるならば、原発への依存を段階的に低減し、原発に頼らないエネルギー政策への転換に踏み出すことが、今後の電力のあり方を考えていくにあたっての現実的な選択である」と指摘。「老朽化およびリスクの高い原発の廃炉」や「新増設計画の凍結」などを提案している。
 再生可能エネルギーについては、現在はまだ発電電力量の1%だが、今後「大きく広がることが期待されて」おり、これを導入することで「地域にある多様な資源を活かして、新たな地域の雇用や成長を生み出す可能性を持っている」と指摘し、再生可能エネルギーによる「発電電力量を大きく高めていくこと」を求めている。
 また、生協事業における取り組みとして、店舗や宅配センター、物流センター、車両のエネルギー使用量の削減に取り組むとともに、使用電力の再生可能エネルギーの導入や物流車両のバイオ燃料の導入も進めていくことにしている。

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