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風評被害払拭へ 県内活動を強化  福島県JA青年連盟

 東日本大震災と東電福島第一原発事故から1年が経とうとしている。地震・津波そして原発事故による放射能とそれによる風評被害は福島県の農業に甚大な損害を与えている。そうした状況に、福島県の青年農業者はどう立ち向かっているのかを遠藤友彦福島県農協青年連盟(JA福島県青年連盟)委員長に聞いた。

 3月11日からしばらくは、会議を開きたくても「ガソリンがなく」集まることができなかったし、総会を開催することもできなかった。そのため電話で連絡を取り合い「それぞれの地元で足元を固める」活動を中心に行ってきた。そのなかには、被災者が避難してきた会津地方における炊き出しなどの活動もあった。
遠藤友彦・JA福島県青年連盟委員長 その後、会議を開催できるようになってからは、遠藤委員長を中心に「風評被害を払拭する」ために、北海道から九州まで、要請があればどこにでも出向き、福島の現状を正確に伝えることと支援の要請を行ってきた。
 現在の状況をJA福島県青年連盟の「ポリシーブック2011」は、「緊急時避難地域の指定は解除されたものの未だに生産・生活基盤を奪われた多くの人びとが県内外での生活を余儀なくされている。一方県内に残り生活している人びとも目に見えない放射能と闘い不安な日々を過ごしている」と報告。
 そして「安全性が確認されている」農産物も「風評被害により主力商品である“もも”の販売は芳しくなく、“米”についても一旦出された安全宣言が撤廃されるなど行政の混乱が目立ちかえって消費者の不安が増大し、販売状況も低迷している」と分析。
 そうした状況で「青年組織・盟友がやること」は、風評被害を払拭するための活動をこれまでの「県外に向けてだけではなく、もっとも風評の影響が大きい県内での活動を活性化する」。そして「県内単組同士での交流企画や意見交換を促し、県内全体の士気を高める」ことだとしている。
盟友約300人が参加した東北・北海道地区大会 そうした活動の一つとして「県外の人に福島に来てもらって見てもらう」ことも活動の中心に据えている。その一環として1月18日には福島市内でJA全国青年協の北海道・東北地区JA青年大会を開催、300名を超える盟友が参加し、さらににはブロック外の長野、静岡、和歌山の盟友も駆けつけ「大成功だった」。
 これからも「福島は元気だ」ということを全国にアピールするとともに、福島大学の小山良太准教授が提案している「汚染マップ」を作成し、それに基づいた作付・営農の実現に協力したり、「弔いながら生きている人たちが何をするかを」を問い続けていく。そして「何をする」にも一人ではできないのだから「仲間と一緒に」考え行動していくと遠藤委員長は決意を語ってくれた。

(写真)
上:遠藤友彦・JA福島県青年連盟委員長
下:盟友約300人が参加した東北・北海道地区大会

 

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