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家庭の食事の99% 放射性セシウム検出せず  日本生協連調査

 日本生協連が2011年度から実施している「家庭の食事からの放射性物質摂取量調査」の12年上半期(5月28日〜9月25日)の調査結果がまとまった。

 12年度の調査対象地域(18都県)は11年度と同じだが、実態をより詳細にみるために岩手(10から20に)、宮城(11から54に)、茨城(10から15に)、新潟(9から20に)など、東北・関東の実施数を250から334件に増やしている(福島は前回も今回も100件)。
 調査方法は、各家庭の2日分の食事(6食分と間食)を1サンプルとして、すべて混合して、ゲルマニウム半導体検出器で測定。検出限界は1Bq/kgで、セシウム134、セシウム137、カリウム40、参考値としてヨウ素131を測定したところ、すべて不検出だった。
 その結果、上半期調査では、334サンプル中99%にあたる331サンプルからは、「検出限界以上の放射性セシウムは検出されなかった」。1Bq/kg以上の検出がみられたのは3件(福島2件、宮城1件)だった。
 11年度調査では250サンプル中11サンプルから1Bq/kg以上の検出がみられたことから、今回は件数・検出割合ともに前回より低くなっている。また、最大値も前回の11.7Bq/kgから3.2Bq/kgへと大幅に低くなっている。
 日本生協連によれば、放射性セシウムを1Bq/kg以上検出した3世帯のサンプルと同じ食事を1年間継続して食べたと仮定した場合、食事からの内部被ばく線量は、0.019mSv〜0.047mSvと推定され、今年4月に施行された基準値の根拠である「年間許容線量1mSv」に対して1.9%から4.7%と「最大値でも年間許容線量より十分低い値(約1/20)」で、最大値は0.14mSvだった前回調査時よりも低くなっている。
 原発事故に関係なく食品中に含まれる放射性カリウムはすべてのサンプルから検出されたが、その値は10〜48Bq/kgで、1年間の内部被ばく線量にすると0.040mSv〜0.32mSvで、前回調査と同程度の結果となっている。
 前回から継続してこの調査に参加しているのは127世帯で、前回放射性セシウムを1Bq/kg以上検出したのは7世帯だったが、今回は1世帯となり、値も前回より低くなっている(セシウム137が3.0Bq/kgから1.1Bq/kgに)。
 日本生協連では12年度下期もこの調査を継続し、全国の生協・組合員と情報や課題を共有し、さらなるリスクコミュニケーションをはかっていくことにしている。
 感情論ではなく、こうした地道な調査結果など科学的な根拠に基づいて放射性物質と食の問題が冷静に考えられることで、生産者の暮らしをも脅かしている風評被害が1日も早く終息してほしいものだ。

「家庭の食事からの放射性物質摂取量調査」12年上半期(5月28日〜9月25日)


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