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食糧部会に備蓄米・加工用米の確保対策を示す 農水省

 農林水産省は11月14日開催した食料・農業・農村政策審議会食糧部会に備蓄米・加工用米の確保のための新たな対策を提示した。備蓄米については「県別優先枠」の配分や入札手続きの改善などを通じて年間20万tの確保をめざす。
 考え方の基本は米の作付けを減らすのではなく、加工用米、新規需要米も含めた非主食用米の作付けで水稲作付けを維持・拡大をめざすというもの。部会では新たな対策についておおむね了承され11月末に25年産米の生産数量目標の配分を提示する食糧部会に改めて示す。

◆26年産移行も県別優先枠を設置

11月14日開催した食料・農業・農村政策審議会食糧部会 政府備蓄米は23年度からそれまでの回転備蓄方式から棚上げ備蓄方式に移行し、年20万tを播種前の事前入札で買い入れることにしていた。
 しかし、23年産米の契約数量は東日本大震災の影響もあり約7万tにとどまり、24年産米も8万3000tにとどまっている。
 このため25年産米から備蓄米とともに、不足しているされる加工用米の確保策と合わせて新たな対策を打ち出すことを検討していた。 備蓄米の買い入れ予定数量(20万t)については、安定的に取り組みたいとの産地の声に応え、これまでの売り渡し実績に加えて、産地から希望を聞い「県別優先枠」を設けて配分する方針。優先枠の配分を受けた道府県はその枠の全量が落札されるまで他の道府県と競争することなく、入札に参加することを可能とする。
 備蓄米は主食用の生産数量目標には含まれない外数とされているが、優先枠は、いわば第2の生産数量目標的なものとして位置づけることなる。
 また、26年産以降についても県別優先枠を設定する方針を提示しており、毎年の需給事情に左右されることなく安定的に備蓄米生産に取り組むことができるとしている。
 備蓄米の買い入れ価格は24年産で60kg1万3406円となった。この価格には消費地への運賃や販売促進費など合わせて60kgあたり600〜1500円程度が含まれていない。そのため農水省は相対取引価格の同1万5212円と「遜色のない水準」であり、「飼料用米よりも農家手取りを格段に有利であることを現場に周知する」としている。

◆申し込み数量の下限を10tに

 入札手続きの改善では、出荷数量について豊作時の引き渡し数量は任意とする方針。加工用米では豊作で作況が102の場合、出荷は作況100とした数量でも、102のままの数量でも、出荷側の任意とされているが、備蓄米もこれと同様のルールとする。
 また、政府に引き渡す銘柄の報告期限を現在の「買い入れ契約締結時」から営農計画書提出期限の「6月30日」までに変更し、実際に引き渡す銘柄については政府引き渡し時まで可能とする。
 売り渡し申し込み数量の下限も「50t以上」から「10t以上」に引き下げるほか、備蓄米の取り組み生産者についての報告期限も6月30日から8月31日に変更する。

◆水稲作付け希望をとりまとめ

 備蓄米のほか、加工用米や米粉用米、飼料用米などの新規需要米も適切に確保できるような取り組みも推進する。
 具体的には▽地域の再生協議会などで非主食用の水稲作付け希望面積(WCSは除く)を取りまとめる、▽県域で希望作付け面積をとりまとめ、このうち備置米の希望数量を政府に対して手上げ、▽政府は希望数量をふまえて備蓄米の優先枠を配分、▽再生協議会は配分された県別優先枠の全量生産に努めるとともに、加工用米や新規需要米についても実需者との結びつきのある需要に応じた生産量の確保を図る、という取り組みを促進する。 これらの取り組みを進めるにあたって、地域で生産者手取りが平準化されるよう品代や経費などのプール計算を行っている事例なども積極的周知する方針だ。
 また、飼料用米については主食用品種で生産されている場合は、加工用米や備蓄米と同等の水準の収量の出荷(一括管理方式)を要件とする方針だ。

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