農業協同組合新聞 JACOM
   
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矢野 和博氏2003.12.29 矢野 和博 生活協同組合連合会コープネット事業連合専務理事

 JAグループは協同組合として同じ仲間だから、協同組合間提携としてふさわしい関係をつくっていきたいと考えている。ただし、消費者と生産者という基本的な立場が違うのだから、そのことをお互いに認め合わないといけない。そのことを前提にして、日本の農業を守っていくには、農業の問題を消費者にキチンと分かるように発信するのがJAグループの責任であり、国に要求するときに、消費者を味方につけるという発想で、とJAグループへの期待を述べた。さらに、産直問題、食の安全についての考え方、生協の事業連帯の意義についても、率直に語った。

鳥越俊太郎さん 2003.12.18 鳥越俊太郎さん ジャーナリスト

 新年号の特別対談に登場。毎日新聞に入社後、配属されたのは新潟支局。今でこそ数々の事件取材でスクープも多いが「実は事件記者は落第だといわれて、それならと農業記者からスタートしたんです」。昭和40年から4年間、新潟県をくまなく取材したという。やがて減反が始まり、自由化も進んで日本農業が追いつめられていく姿をずっと見てきたという思いはあると語る。戦後の食料難の体験もあり「国があっても食べ物がないのはいかにもひもじいことを知っている」。農業は国民の食、健康を担うという気概を持って「どういう農業にするか現場から知恵を出すことが求められているのでは。がんばってほしい」とエールを贈る。

山口巌理事長2003.12.17 木下幹男 (株)クボタ副社長(機械事業本部長)

 日本の食料・農業問題について「農業を工業中心の枠組みに組み入れようとする見方が片方にあり、それはそれで説得力」があるが、食料が余っているのは「日本の歴史上ここ数十年のこと」であり、これが「今後100年続くのか」という長期的見方も必要だと語る。それは、中国やアジア諸国が日本や米国と同じ生活レベルになれば「ブラックホールみたいなもので、アメリカや南米の余った食料がそうした国々に吸いまれていきます。そうして、食糧が不足し始めれば、すぐに価格が暴騰し、その結果重大な社会不安を招くことになることを忘れてはならない」からだと。
 また、農業は天候に左右されるなど不安定要素があり「規模の拡大はコストダウンというメリットの反面、リスクの増大を招く危険もある。その観点で見れば、小規模・パートタイム形態の農業、つまり兼業形態は決して弱いとは言えない」とユニークなパートタイム農業論も展開。さらに食料・農業問題で、現場に近いJAグループがリーダーシップをとって「国民合意、世論集約をする役を担って」欲しいとエールを送った。

山口巌理事長2003.12.12 山口巌(財)蔵王酪農センター理事長 元全中専務

 80年代後半の農産物自由化問題で先頭に立った元全中専務で(財)蔵王酪農センターの山口巖理事長は、今の農政を「人が不在」と指摘する。そして農協という響きには人と人との信頼感が感じられるはずだと説き、経済事業改革も農家組合員のプラスになるよう取り組むべきだと強調する。かつての「農協牛乳」の商品開発時代も振り返り「やはりまじめに農民の真実を訴えるべき」と話す。山口氏の協同組合への期待と課題を聞いた。

亀井善之農林水産大臣2003.12.10 亀井善之農林水産大臣

 「食料・農業・農村政策審議会」が12月9日に開かれ、5年ごとに見直すことになっている「食料・農業・農村基本計画」の見直しについて同審議会に諮問した。あいさつで亀井農相は「前例にとらわれず次の世代に対してどのような姿の食料、農業、農村を残すのか、大きな視点に立って忌憚のない意見をお願いする」と述べた。具体的な検討項目としては(1)直接支払いも視野に入れた品目横断的な経営支援策、(2)望ましい農業構造・土地利用を実現するための担い手・農地制度改革、(3)農地・水など地域資源保全政策、をあげた。来年初めから、同審議会企画部会で本格的な検討が行われる。

稲野辺 茂生氏2003.12.5 稲野辺 茂生 JA茨城中央理事長
(茨城県農業倉庫保管管理対策協議会副委員長)

 茨城県のJAグループでは、米麦の販売・流通の起点である農業倉庫の保管管理を重視し、昭和32年に組合長を含むJA常勤役員の代表者で構成する「茨城県農業倉庫保管管理対策協議会」を設置し、協議会委員による県内農業倉庫の巡回指導などを実施してきている。同協議会副委員長の稲野辺理事長は、政府の保管管理要領が廃止され、自主保管管理体制の強化が求められる時代になって「保管管理は従来以上に重要になっている」「信用を失うのは一瞬だが、築くには長い時間がかかる」から日常的な自主保管管理が大切だ。そのためには、現場任せにせずにJAトップも含めた組織的で意識的な取り組みが必要だと、本紙特集「農業倉庫火災盗難予防月間 」(近日掲載予定)で語った。
中川坦 農林水産省消費・安全局長 2003.12.4 中川坦 農林水産省消費・安全局長

 JA山武郡市が11月29日に千葉県東金市で開催した「農業振興計画プレゼンテーション」に来賓として出席。同JAがこの日打ち出した農業振興計画の合い言葉は「安全・安心な農産物はさんぶの大地から」。環境創造型農業と農を核とした暮らしやすい地域づくりを柱としている。中川局長は「JAは地域の農業をどうするのか、その司令塔であるべきと思っている。(JA山武郡市は)地域の農業と、地域に住む人々の関係について自分たちの議論を積み上げて一定の方向を示した」と賛辞を贈った。また、国民の健康保護を最優先に農産物の安全・安心の確保へと農政が転換していることを紹介し、都市と農村、生産者と消費者の共生・対流にも政策として力を入れていきたいなどと話し「全国に先駆けるこの壮大な農業振興計画が成功するよう期待したい」と述べた。

尾身昭雄代表理事組合長2003.12.3 JA十日町 尾身昭雄代表理事組合長

 管内は魚沼コシヒカリの産地。同時に絹織物の産地でもあり、機織りは農家の副業でもあった。農業も他の産業も互いに支え合ってきたことから、地域協同組合的なJAのあり方をめざしていると尾身組合長はいう。共生にとどまらずJAは「地域との同化」を考える時代だと話し、JAの事業は組合員だけを対象とせず全市町村民が相手だと考えている。
 経営理念は分かりやすく「スピードアップ、満足度アップ、コスト削減」を掲げ、全職員の行動目標を「素敵な笑顔と元気なあいさつ」としている。地域全体の振興に貢献している同JAの今後の課題などを話してもらった。(シリーズ・改革の風を吹かそう 農と共生の時代づくりのために(3)に登場 近日掲載予定))

多田 重喜氏2003.12.1 多田 重喜(社)全国食肉学校学校長

 食肉に関するあらゆる技術と知識を習得できる日本で唯一の公的専門学校である(社)全国食肉学校(種市一正理事長)が創立30周年を迎え、11月28日に高崎市のホテルメトロポリタンで記念式典を開催した。
 記念式典で多田校長は、15年度から進めている「マーケットイン」「CS(顧客満足)」を基本とする中期3ヵ年計画を紹介するとともに、「私たちは、この北関東の地にあって、小さな“山の分校”であっても、光り輝く“山の分校”でありたいと思います」そして「いつかは社会の皆さまから“食肉業界の小さな北斗星”と評価される学校づくりをめざし、奮闘いたします」と、その決意を熱く語った。

松長政幸氏2003.11.28 松長政幸  明治製菓(株)常務執行役員 生物産業事業本部長

 「30年の長きに亘り、よくここまで来たものだと感慨ひとしおです」と松長事業本部長。新農薬年度を迎え、主力のいもち病防除剤「オリゼメート」が、1975(昭和50)年の発売から、30周年を迎えた。「昭和55年は大冷害に見舞われたが、これを契機に、粒剤がいもち病の予防散布剤として使用されるようになったことは、画期的なことだった。また、平成10年に北興化学工業(株)と共同開発した『Dr.オリゼ箱粒剤』を上市したことが大きかった」という。その後、長期持続型箱処理剤は急成長し、今日に至る。「今後も他社と協調して、農家ニーズに対応した品揃えをはかり、環境負荷低減など社会的な要請に応えていきたい」と語る。

松木三男氏

2003.11.26 松木三男 全国農薬協同組合理事長

 「卸、小売の隔たりをなくし一体化を図っていく。そのためにも、組合員の意識統一、情報伝達組織の構築、行動の一体化が重要」だとし、今後は「商系組織の確立に向けて、その存在感を強くアピールしていく」と、農薬卸252組合員を束ねる松木理事長は総会の席上で語った。農薬業界は、農薬使用回数の減少や価格引き下げなど市場の縮小に加え、流通の変化と食の安全性を優先した農業構造改革の影響が懸念されている。時代の変化に対応した、市場のニーズに合わせた組合活動がのぞまれている。

橋本州弘氏

2003.11.21 橋本州弘 元西友顧問、農協のあり方についての研究会委員

 JA高崎ハムの創業65周年とJA−IT研究会設立3周年を記念したシンポジウムが11月14日、群馬県高崎市で開かれた。テーマは「フードフロムJA−生産者と消費者をいかにコーディネートするか」。橋本氏は生産・流通適性型の農産物供給から「消費適性型」への転換が必要だと主張、JA甘楽富岡と提携した野菜販売などの取り組みを紹介した。「たとえば、スーパーで売るみかんは小ぶりのもののほうが売れる」。普通の消費者に何を届けるか、そうした考えに賛同する生産者をJAともに集めていったという。また、「その地域にいる人たちが豊かな暮らしをするための農業生産が大切」と地産地消の事業も重視。生産者対 流通業者、という構図ではなく食品産業として「共同仕事をする」姿を提唱した。

内山治男 (株)丸山製作所社長内山治男 (株)丸山製作所社長

 創業は明治28年。消火器の販売からスタートした同社は、現在、防除器具が製品のメイン。なかでも水田での防除、追肥を行う乗用管理機は同社が独自に開発したもの。生産者の労力軽減に貢献している。農協と密着して事業を展開し、現場からのアイデアが多彩な農業用製品開発につながっていると話す。また、高圧ポンプを使った人工霧発生装置など農業以外の分野でも「水」をテーマにした事業ビジョンを描いているという。シリーズ・この人と語る21世紀のアグリビジネスに登場。 

ハンス・ミュンクナー ドイツ・マールブルグ大学教授長

2003.11.12 ハンス・ミュンクナー ドイツ・マールブルグ大学教授長

 協同組合にかかわる法制度が専門で法学博士。国際協同組合同盟(ICA)との関係は1963年から。最初は経済事業面と法律面でタッチした。今回は韓国の済州島で開いた世界信用協同組合会議アジア会議に出席後、訪日した。本紙が企画した白石正彦東京農業大学教授との対談では、スウェーデンとデンマークの酪農協が国境を越えて合併したことについて「独禁法にひっかかるという問題が出てきた」と指摘し、EUでは「こうした問題に対応する新しい法律を検討中だ」と話した。各国別の事情では、デンマークには協同組合法がないため企業法の適用を受けているという。一方、米国では協同組合には独禁法が適用されないため、どんどん大きな農協が生まれているとのことだった。

櫛引博敬 アグロカネショウ(株)社長

2003.11.7 櫛引博敬 アグロカネショウ(株)社長

 技術販売で定評のあるアグロカネショウ(株)は、BASFの農業用土壌処理剤ビジネスを買収する。「当社にとって、今回の契約は農業用土壌処理事業を世界規模で拡大するための重要な戦略的ステップ」と、櫛引社長は11月5日にBASFアグロ(株)との共同記者会見席上で語った。主力の「バスアミド」はアグロカネショウ(株)が育ててきたものだが、「D‐D」への参入は同社にとって初めての試み。「D‐D」の流通に新しい風が吹くのか。

小高儀三郎さん(左)と金子哲さん

2003.11.6 所沢ダイオキシン報道裁判の原告団長

 「一束10円、20円になっても全員で出荷を続けた。そうしなければ報道を認めたことになるとみんなで歯を食いしばりました。仲間には頭が下がる。なにより消費者からがんばってくださいと言われたのがいちばんうれしかった…」。所沢ダイオキシン報道裁判の前原告団長の小高儀三郎さんの言葉だ。地元の野菜が高濃度のダイオキシンに汚染されているとテレビ朝日「ニュース・ステーション」が報じた問題の裁判の上告審で、最高裁は10月16日、報道内容について「真実であることの証明があるとはいえない」と、生産者側を敗訴とした二審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻した。生産者側の実質逆転勝訴となった。誤った報道が産地に何をもたらし、小高さんたち生産者はどう立ち向かってきたのか。小高さんと現原告団長でJAいるま野一元共販連絡協議会会長の金子哲さんに改めて聞いた。

マイケル・ケスター氏 2003.11.5 マイケル・ケスター シンジェンタ ジャパン(株)社長

 シンジェンタはスイスに本部を置く世界一のアグリビジネス(農薬と種子)企業。その日本現地法人「シンジェンタ ジャパン(株)」の2代目社長だ。オランダ生まれの48歳。同社は農薬原体を日本の製剤メーカーに供給。メーカーを通じて製品化して販売するという間接販売だったが、すでにそれを同社自身が製剤化し、販売するという直販体制に切り替えている。新社長は、そのビジネスをどう育てていくかの責任を担う。方針は品質第1主義だ。高いレベルの先端技術を使って日本の農業環境に適した製品を出しているという。総合的な研究開発力を誇る同社の開発方針は安全・安心を掲げ(1)環境の安全(2)農薬使用者の安全(3)消費者の安全の3点だと語る。

柳楽節雄氏 2003.10.30 柳楽節雄 (社)家の光協会常務

 本紙が企画したJAの教育文化活動を語る座談会で柳楽常務は「グローバルスタンダードがいわれる中で企業ならグローバルな事業展開もできるが、地域に根ざしたJAには、それができない。そのことが逆にJAの大きな力となる。地域に開かれた活動というよりは、地域に根ざして文化を継承し、協同の活動を展開していく、その力がグローバルスタンダードに対抗できる軸だと思う」と語った。食料自給にしても各地域それぞれに自給率を向上させていく取り組みの重要性を挙げた。
 雑誌「家の光」は来年、創刊80周年を迎える。同協会は各事業を見直し、検証するが、その視点は文化と協同の力であり、「JAの教育文化活動にどう貢献できるかーということだ」とも語った。

林 正照氏 2003.10.28 林 正照 JAえひめ南専務

 まだ家庭にパソコンが普及していない平成3年のJA宇和島時代(合併前)から子供向けのパソコン教室を30人規模で開設している。「次世代を担う後継者の育成は、幼稚園児や小学生のころから始めるべきですね」と語る。家の光協会が発行している子供向け雑誌「ちゃぐりん」の普及にも熱心だ。JA女性部には目的別の専門部会として教育文化部会があり「ちゃぐりん」普及にあたっている。同部会は「家の光」の記事活用体験発表会の開催などに取り組み、林専務は「発表者は原稿をまとめる時に今後の自分の活動に責任を持つようになる」からと、この発表を重視する。また女性部は活性化委員会を設けて部員を増やしている。

小澤 江氏 2003.10.27 小澤 江 バイエル クロップサイエンス(株)営業本部長

 「原体営業も含め、使用者にまで責任のとれる営業普及体制で臨んでいく。自分たちで出来ることは自分たちで責任を持ち、他のメーカーの協力を得なければならない場面は協調路線でいく」と、10月1日に営業本部長に就任した小澤江氏は本紙のインタビューにこのように応えた。今回の組織改革で注目されるのは技術推進と普及の強化に向けた取り組みで、系統一元品目の拡大はもとより現場での技術普及活動および防除暦対策などを強化していく中、速度を付けた推進を通し農家とのパイプをより太くしていく。

高橋 専太郎氏 2003.10.24 高橋専太郎 JAいわて花巻常務

本紙企画のJA教育文化活動を語る座談会に出席。花巻の多彩な活動を紹介した。JAは昭和40年代から幼稚園2つを開設し、卒園者が今は組合員となっているなど次世代対策が実に早かった。これは「ゆりかごから墓場まで」という協同組合理念によるものだ。一方、ファーマーズマーケット「母ちゃんハウス・だぁすこ」は売り上げを右肩上がりに伸ばして14年度は約7億円。また元気高齢者対策の福祉施設も利用者が増えて好調だ。葬祭のセレモニーホールもある。すべてが健全経営だが、幅広い施設事業には悩みもある。第23回JA全国大会決議が提起した財務目標だ。固定比率や他部門への資金運用などでしばりをかけられたら事業ができないと疑問を語り、もっと現場の声を聞いてほしいと望んだ。

シルバ・ロドリゲス氏 2003.10.16 シルバ・ロドリゲスEU農業総局長

 10月7日、東京・大手町のJAビルでJA全中や食料・農林漁業・環境フォーラムのメンバーらと意見交換した。ロドリゲス氏は、WTO交渉での日本とEUの連携について「日本にとってコメが重要であるようにそれぞれの国が問題を抱えている」とお互いの立場が理解できる可能性があると語り、日本・EUともに農産物の純輸入国であることを他の加盟国が理解することが交渉合意に不可欠と指摘した。また、交渉再開に向けては、途上国の一部があるゆる国内支持、国境措置について攻撃的であることを批判し、「現実的なアプローチ、道徳的な考え方で交渉を続けるべき」と語った。

神野直彦氏 2003.10.14 神野直彦 東大経済学部教授

本号では特別企画に神野直彦東大経済学部教授に登場してもらった。構造改革が叫ばれているが、規制緩和や民営化の推進は「強いものが強いものとして生きていく社会、弱いものが弱いものとしてしか生きていけない社会にしようということ」と指摘する。また、こうした考え方にのっとって進められている現在の構造改革路線はどのような社会に向かうのかのビジョンがない「設計図なき破壊」だと批判する。  むしろ現在求められているのは工業を軸とした社会の行き詰まりをどう乗り越えるかであり、それは「人間が自然と共生していくための新しい自然との関わり方、人間と人間の関わり方を再度作り直すこと」だいう。そのときに必要とされるのが農業の持つ知恵や原理。  ヨーロッパでは協同組合を新しい社会経済モデルにしようとしていることも指摘しながら「農業というのはもともとお互いに協力し合って自然と闘っていかない限りできない営み。そうした原理こそが今、必要なのではないでしょうか」と語った。

斉藤耕一氏 2003.10.07 斉藤耕一氏 映画監督

 東京出身だが「津軽じょんがら節」とか「旅の重さ」など地方が舞台の映画が多い。新作は山形発の「おにぎり」。しかし“山形よいとこ”ではなく、日本人とコメにかかわる全国的テーマを追求したという。重苦しい内容が想像されるが「コミカルで明るい娯楽映画だ」という。一体どんな農業映画になるのか興味津々。しかも来年は国連の「国際コメ年」。生産者を元気づけ、消費者の関心を高める作品が期待される。監督はウルグアイラウンド合意からWTO農業交渉へと自由化の進展に危機感を持つ。だが日本の稲作の生き残りに希望を失わない。作品の明るさを力説する。命の尊さをうたう牛の出産シーンなどは「記録映画としても価値があるんじゃないか」と自信をのぞかせた。出演者もにぎやかだ。

 

永田 宏氏 2003.10.03 永田 宏 三井物産(株)代表取締役副社長執行役員

ヨーロッパ、アメリカで長年にわたって商社マンとして活躍してきた氏は、フランスなどEU諸国には食文化の枠組みがあり、農業が国の構成要因として組み込まれているという。日本の農業を守るためには、日本の食文化をベースにした消費者教育が大事であり、そのためには個々のJAが「ここに来ればこういうモノがあるということを前面にだせば」いい。そしてこれからのJAグループに期待するのは「農業人口が減り高齢化する中で、企業家として農業を立ち上げたい若い人をサポート」してくれること。女性の力を取り込んで、違い目線で考えることだと、坂田正通本紙論説委員のインタビューに応えて語った。

若林 一誠氏 2003.09.22 若林一誠   JA全農米穀総合対策部長

 「計画流通制度が廃止となる中で、JAグループが取り扱うコメの優位性を確保するために『JA米』ブランドを定着させたい」と強調する。JA米は安心・安全がコンセプト。本格供給は来年産から。袋には商標登録のシールをはる。一方、全農はすでに供給を始めた「安心システム米」の取り扱い拡大にも力を注ぐ。これは“オーダーメイド”で、取引先と合意した生産基準に基づき、産地を特定して作るブランド米だ。販売事業面の改革については「販売センター」を大消費地の東京と大阪につくって主産地の県間流通米を販売する拠点とするなどの方向を打ち出した。コメ政策改革と経済事業改革が同時進行する中で全農の米穀事業としては「生産者が安心して稲作に励める販売力をもつべきだ」と若林部長は力説した。

長谷川 久夫氏 2003.09.18 長谷川 久夫 (社)日本農業法人協会会長

 農協組織と農業法人は敵対しているようにいわれるが、同じ日本人で、同じ環境で農業をする農家の組織だから、互いに切磋琢磨できる場をつくり、これからの方向を議論すべきだと強調。そして、いま農協組織に問われているのは「時代に相応した進化」であり、それは価格・量の競争から質の競争に転換することだ。そのために、適地適作適材適所を基本とした営農活動に農協組織は力を入れるべきだと、木南章東京大学大学院助教授のインタビューで語った。

マイケル・ケスター氏 2003.09.16 マイケル・ケスター シンジェンタ ジャパン(株)社長

  「市場規模の減少や農薬業界の再編により10%〜20%のシェアをもつ5つの農薬会社に集約されるなど、日本市場は大きく変化している」と、9月12日、都内のホテルで開いた新社長就任披露パーティでケスター社長は語る。同社は、直販戦略を強化するため組織基盤の構築、ニーズを捉えた幅広い製品レンジの確立、流通網の整備などをほぼ完了し、今後はさらなるビジネス機会の拡大、事業の効率化、顧客サービスの質的向上などを追求していく。1955年、オランダ生まれの48歳。趣味はクラシックカーで、間もなく日本にアルファロメオ・スパイダーが到着する。日本市場に上手く網を張ることができるのか、その手腕が注目される。

生津 嘉朗氏 2003.09.10 生津嘉朗 住化武田農薬(株)社長

 「発足から1年近くがあっという間に過ぎた。走りながらの体制整備であったが全般的に見て上手く稼動していると思う。各卸さんやJA全農さんからもまずまずの評価を得ており、一安心といったところ。これからも気を引き締めて、当社の特色を活かしながら国内外の市場でのプレゼンスを高め、農薬、農芸用資材の製造販売を通じて農業に貢献していきたい。」と、住化武田農薬(株)の生津社長は1年を振り返る。11月の新住所移転も決まり住友化学との統合メリットを創出するため、さらに事業活動を促進する。

レスター・ブラウン氏 2003.09.04 レスター・ブラウン氏

 8月に来日、農水省職員向けに講演した。穀物生産量ビッグ3の中国、インド、米国で地下水の枯渇が深刻化しており「都市部に水を回し農民には水がいかない。将来の生産量は確実に落ちる」と指摘。また、温暖化の影響でかつてない高い気温の時代に直面しており「気温1℃の上昇で10%収量が低下する」と食料生産への影響を警告。対策として農業分野での水の効率的な利用と風力発電など枯渇しない資源を利用したエネルギーへの転換などが急務だと強調した。「安全保障の定義をし直すべきだ。軍事ではなく、気候変動、食料生産、人口増加などが課題」などと語った。

根本 順吉さん 2003.09.02 根本順吉さん 気象研究家

 冷夏で今年の米の作柄は不作の見込みとなった。一方、ヨーロッパでは熱波で多数の死者も出るなど、世界的に気候がおかしい。日本の夏は10年前の記録的な不作を思い起こさせる。その天候について根本さんは「あの年の大気の流れのおかしさとくらべれば、今年のほうがおかしい」。それはオホーツク海高気圧の位置だという。「気候変動の時代に入った」という根本さんに気候異変をどう考えればいいのか、伺った。

河合 利光氏 2003.08.28 河合利光 (財)農業倉庫受寄物損害補償基金理事長

 消費地では、おにぎりや弁当など業務用であっても米の品質についての要望が厳しくなっているし、量販店でも生協と同様に「全農安心システム米」を取り扱うような傾向は強まっていると、全農パールライス東日本専務時代の経験から語った。そうした消費地の動向に対応するためには、カントリーエレベーター(CE)や農業倉庫での貯蔵・保管施設で品質事故を起こさない管理が重要となるが、そのためには、現場任せずにせずにJAの経営者が自ら現場に行き一緒になって働き、「食」の安全に応えた品質管理をすることが大切だとも訴える。CEでの品質事故を防止するために、現在、農倉基金は全国にある全CEを巡回指導しているが、すでに500ヶ所の巡回が終り、残り250弱への巡回指導を行う予定にしているが、今後もこうした保管管理履歴などの指導事業に力をいれていく考えだ

加藤 好一氏 2003.08.25 加藤好一 生活クラブ事業連合生活協同組合連合会専務理事長

 ここ数年、生活クラブ事業連合生協連とJA全農との提携関係が強まっている。それは、「食」「環境」問題が複雑化・高度化・国際化して質が変わり、米や畜産など主要品目を直撃している。これに有効に対抗力を発揮し、国産1次産品を維持して食べ続けるためには、全農の機能や仕組み、結集している生産者の力が必要だからだという。また、全農チキンフーズ問題後に生協組合員や全農チキンも加わった「鶏肉事業点検協議会」の活動で、全農との相互理解も深まったとも。
 さらに、景観や自然環境を含めた地域の機能を維持する人たちの人情を含めた国産品を食べ続けたい。それは重い課題だがJAグループに期待したいとも。

氏本 長一氏 2003.08.20 氏本 長一 宗谷岬肉牛牧場長

 「全農安心システム」の認証取得の第一号となった宗谷黒牛の牧場長。牧草栽培に化学肥料を使わないなど有機畜産を実現しているが、「宗谷岬の漁業者との共存をめざし地域環境を守る農業をすることが目標だった。最初から有利販売のためにこのシステムに取り組んだわけではない」と強調。自分たちのめざす農業をいかに消費者に伝えコミュニケーションを深めるか、「食と農の距離を縮めること」が全農安心システムの基本コンセプトだと語る。「このシステムはあくまで道具。生産者それぞれがオリジナルのストーリーを消費者に語ることが大切」と指摘した。
五味渕 明氏 2003.08.18 五味渕 明 JA東日本くみあい飼料(株)社長

 全工場がISO9001を認証取得し、牛専用配合飼料の製造・配送体制を確立するなど、生産者の安心と消費者の信頼に応える体制を整えて今年4月に同社が誕生した。地域別飼料会社としては6番目だが、関東信越8都県で150万トンを供給する最大規模の会社だ。こうした体制を整えたことに対して五味渕社長は「餌は食卓につながっている」のだから、これからは飼料産業も「食品産業という認識をもたなければいけない」からだと語った。そして、そのことで「畜産経営に貢献し、食の安全ニーズに応えていくこと」が同社の使命だとも。
今村 奈良臣氏 2003.08.08 今村 奈良臣 東京大学名誉教授

 米政策改革の具体策の大枠が決まり、JAグループには水田農業の改革に向け総力をあげた実践が求められている。「特集・米改革」では山田俊男JA全中専務と今村奈良臣東大名誉教授に対談してもらった。
 今回の対策では、地域で使い道を決める産地づくり交付金などこれまでの政策から大きく転換する。今村奈良臣東大名誉教授は、地域農業全体を変えるチャンスと指摘、「改革の力量は全国のJAの双肩にかかっている」と期待を込めた。
鈴木 正之氏 2003.08.5 鈴木 正之 全農鶏卵(株)社長

 全農鶏卵事業の草創期に、現在の事業基盤となるいくつものプロジェクトに参画。その後、直販事業や製造・加工事業などを経験し、23年ぶりに鶏卵事業に戻ってきた鈴木正之全農鶏卵(株)社長は、これからの最大の戦略は、すべての受発注を統一的に行う「流通開発」にあると語る。そして、コンプライアンスについても、前向きに受け止め「コンプラを武器」にすることが生き残る道であり、「全農マークを信頼のマークへ」することでもあると語った。
松下雅雄氏 2003.07.31 松下雅雄 JAはだの組合長
     
 本紙では、JA組合長のインタビューで構成するシリーズ「改革の風をふかそう−農と共生の時代づくりのために」をスタートさせる。第1回は神奈川県のJAはだの・松下組合長が登場。「協同組合とは組合員の組織」との考え方を徹底させることがポリシーだとし、年間を通じた組合員講座やアジアへの研修旅行など組合員教育に力を入れている。こうした機会を通じてJAの役割、理念を理解し「自分たちのJA」との認識を持つ組合員が確実に増えてきた。松下組合長は「JAにとっての財産」だと語る。今後は、次世代対策も課題だと指摘した。なお、本シリーズのインタビュアーは、JA全中の森澤重雄営農地域振興部長にお願いした。
菅野孝志氏 2003.07.25 菅野孝志 JA新ふくしま営農経済部長
     
 「シリーズ・農協のあり方を探る」ではJAでの具体的な改革の取り組みに注目しているが、今回はJA新ふくしまの菅野孝志営農経済部長に話を聞いた。生産資材では、品目による取り扱い量の加重平均に基づく手数設定で価格引下げを実現し、取り扱い量を10%増やしたという。また、販売事業ではマーケティング専任担当者を置き、JAによる直接販売の拡大にも取り組んでいる。農協主導による新たな生産者確保の取り組みも紹介。「一歩踏み出す力があって初めて改革になる」と具体的な行動の大切さを強調した。
山田 拓氏 2003.07.18 山田 拓 日本燐酸(株)常務
     
 昭和42年、化学肥料の国際競争に対処して設立された会社だ。JA全農と大手肥料メーカー6社が共同出資した。リン鉱石は海外から、硫黄は国内の石油メーカーから仕入れるなどしてリン酸、リン安、硫酸を製造し、株主各社へ供給している。肥料需要が落ち込む中でも善戦中だ。硫酸は製造能力47万トンに対して40万トンを出荷。稼働率は悪くない。しかし今後は生き残りをかけて、なおも「合理化を追求する」と山田常務は語る。より安い原料へのシフト、製品の見直しなど常務の話は堅実そのものだ。工場は京葉工業地帯の南端にあり、立地条件に恵まれている。
後藤純氏 2003.07.15 後藤純 バイエル クロップサイエンス(株)エンバイロサイエンス事業本部長
     
 前任のスティーブ・マーティン氏の後任として、エンバイロサイエンス事業本部長に6月1日付けで就任し、同事業本部社員約30名を束ね陣頭指揮をとる。長引く経済の低迷のなか、家庭・緑化(ゴルフ場)・生活環境分野も逆風下にあるが、2008年には現在の売上高の150%に相当する75億円を目指す。「顧客ニーズと信頼をつかむために惜しまず人材育成に取り組む。また文化の異なった2つの会社が合併したことから夢のある事業目標と方向性を早急に明確化し、さらに1会社のためだけではなく業界全体の成長を考えていきたい」と今後の抱負を語った。
木村佳友 日本介助犬アカデミー理事 と 介助犬・シンシア 2003.07.10 木村佳友 日本介助犬アカデミー理事 と 介助犬・シンシア
     
 JA共済連は、介助犬の育成・普及活動を幅広く支援していくために、介助犬に関する国内唯一の学術団体であるNPO日本介助犬アカデミーに対して今年度2000万円の研究支援を行うことを決め、その目録贈呈式が7月9日全共連ビルで開催され、新井会長から高柳理事長に手渡された。
 贈呈式には、交通事故によって肢体不自由となった日本介助犬アカデミー理事・木村佳友さんも介助犬・シンシアとともに出席し「シンシアのおかげで命拾いができたことが何度もある。介助犬育成に多額の支援をいただいたことは大変に嬉しいし、感謝する」と語った。
五木寛之氏 2003.07.7 五木寛之 作家
     
 「日本は世界に冠たる自殺大国」と指摘する。毎年3万人以上が続いて10年なら30数万人。交通戦争の死者は年に1万人弱だから「これを上回る戦争であり、これぞ有事だ」とする。7月4日、東京のJAビルで開いた国際協同組合デー記念中央集会で『日本人の忘れもの』と題して講演した。命の軽視を『心の不良債権』と呼び「経済は立ち直せるが、心が破産したらどうなるか。簡単に自分の命を捨てる心は、他人の命の軽視につながる」と凶悪犯罪の背景をついた。人の悲しみを共に悲しむ『慈悲』も強調した。五木氏は家の光のライターをしていたこともある。
寺田 雅昭氏 2003.07.2 寺田 雅昭 食品安全委員会委員長
     
 食品の安全性評価を行うため新たに内閣府に設置された「食品安全委員会」は7月1日に発足し、第1回会合で委員長に寺田雅昭・元(財)先端医療振興財団副理事長を選出した。
 寺田委員長は「中立、公正、科学的評価に基づく食品安全行政を確立することが重要。重責をまっとうしたい」と決意を語り、運営にあたっては「消費者はもちろん、生産者、事業者と常に緊密なコミュニケーションを保つ」ことや、国民に正しく情報を開示するなど「リスクコミュニケーション」が重要なことを強調した。同委員会は週1回開催。今後、農薬、食品添加物、遺伝子組み換え農産物、動物用医薬品などについて専門調査会を立ち上げる予定にしている。
小早川 保昭氏 2003.06.26 小早川 保昭 三菱商事アグリサービス(株)社長
     
 同社は肥料メーカーの元売りだ。全国約250社の特約店を通して肥料をはじめ農業関連機械も扱う。4年前からはコメや青果物の販売も始めた。産地との契約栽培だ。JAの経済事業について「販売事業は、何を作り、どこに売るか、農家のお手伝いをすることに事業の価値があるが、全農も全中もすでに『売り』の方針を出しているから、それを効率的に実行することが大事ではないかと思う」と提言した。
 三菱商事の子会社である肥料メーカー・コウノシマ化成(株)の社長も務めた。業界については「2工場分を1工場で生産し、しかも、その工場の要員を半分にすれば効率が4倍となる。そうしないと肥料産業は他産業並みにならない」とも語った。
河本 圭介氏 2003.06.24 河本 圭介 全農パールライス西日本(株)社長
     
 少子高齢化による消費の減少、外食や冷凍米飯などによる消費形態の変化など、米の消費最前線の状況は厳しい。そのなかで、米卸として生き残るためには「消費者からのうまい米・まずい米という評価を産地にお伝えし、美味しい米づくりに努力していただき、それをまた扱わしていただく」という基本を大事にする以外にないと語った。また、系統卸も将来を考えれば次第に苦しくなってくるだろうから、そのときに「頼りがいのある会社にしなければいけないと考えている」とも。そのために合併3年目の社員の意識を改革し統一する意味から「元気な笑顔で 即、実践」という標語を掲げ、自らの胸元や壁に表示し、先頭に立って実践している(詳細は「消費最前線 全農マークを信頼のマークへ」第8回を)。
小林憲由氏 2003.06.19  小林憲由 埼玉県病害虫防除所長・植物防疫全国協議会長
     
 安全・安心な農産物生産および消費者の信頼を回復するため、施行前より生産者・防除者に対して、農薬取締法改正内容の周知徹底に取り組んできたが、「農薬使用基準の解説書である『埼玉県病害虫・雑草管理基準』への注文が例年の3〜4倍もあり、指導機関への法改正にともなう農薬関連の問い合わせも多数ある」といい、生産者・防除者の安全に対する姿勢を高く評価した。また、同法第2次改正で、販売者に無登録農薬を国が回収命令できることや、非農耕地用除草剤に農薬として使用できない旨の表示義務が課せられたことで、「適正な運用が一層はかれる」とも語った(詳細は近日掲載予定の「インタビュー 農薬取締法改正から3カ月 いま現場では」を)。
工藤 誠司氏 2003.06.18  工藤 誠司 山形県・JA山形おきたま参事
     
 JA直営では農業生産に参入できないため、JA山形おきたまは100%出資の別会社(有限会社)をつくり、農業生産法人として直接参入する。認定農業者の認定も受ける。JA改革をテーマに本紙が企画した梶井功東京農工大名誉教授との対談で工藤参事は、この画期的な試みを詳しく説明した。近く設立認可となれば全国で第1号のJAによる農業経営会社となる。離農地を取得するほか借地などで野菜や果物を作る。年内にはイチゴとトマトのハウスを建てる。各地域の生産法人が耕作をする。また新規就農者のパワー投入も図って事業を組み立てるという。(詳細は近日掲載の「シリーズ 農協のあり方を探る」を)
高橋 正郎氏2003.06.09  高橋 正郎 女子栄養大学大学院客員教授、農水省食品流通の効率化等に関する研究会座長
     
 現在の卸売市場は、国の規制が多すぎ、それが流通の効率化を妨げている。規制を緩和・撤廃し、自由なビジネス展開を行い、競争を展開することで、高コスト構造が是正される。また、市場関係者は研究会を「手数料自由化委員会」と位置づけているが、手数料問題は規制緩和全体の中の一つでありであり、短絡的して理解されると困るとも、研究会「報告書」をめぐる諸問題についての藤島廣二東京農大教授のインタビューに答えて語った。
佐野澄雄氏2003.05.27  佐野澄雄氏 JA共済連 常務
     
 JA共済は、生簡保が低迷する厳しい環境下で、14年度も長期共済は5年連続で目標を達成し、年金・自動車・自賠責共済も前年度実績を上回る実績をあげた。これは、JAの経営基盤、共済普及基盤を確固たるものにしようという「系統役職員の信念の表れであり、昼夜を分かたぬ努力と熱意の結果」だと評価。そして「大競争時代の真っ只中に突入しているといえる」15年度の普及推進の中心的な課題は、これまで築き上げてきた組合員・利用者との「絆の強化」と、新たな基盤づくりとしてJA共済の「仲間づくり」を着実に進めることにある。そのために「しあわせ夢くらぶ」を総合保障提供の重要なインフラ基盤とする取り組みと、「ニューパートナー」獲得を強化する取り組みを基調とした普及活動の本格的な展開をはかっていくと語った。(詳細は「絆づくり・仲間づくりを基調にして大競争時代を勝ち抜く」を)
山下正行氏2003.05.21  山下正行氏 農水省経営局協同組織課
     
 シリーズ3回目は、農協組織の所管官庁である農水省協同組織課の山下正行課長に農協改革の方向についての考えを聞いた。改革の基本は、農家組合員に最大のメリットを与えることだと強調、研究会報告が打ち出した「全農中心からJA中心」の経済事業改革については、「JAの販売力強化に応じて段階的にすすめるべき」とし、国はこうした自主的な改革を支援していくなどと語った。
成田 和幸氏2003.05.06  成田 和幸 東日本ハウス(株)社長
     
 「規律・礼儀・約束」を重んずることは人としての原点であり、それは顧客の信頼を得るビジネスの原点でもある。住まいづくりに携わるプロに求められるのは、技術・知識以前に人間性であり、顧客の夢をわが夢にすることだと、独自の歴史を刻んできた住宅メーカー・東日本ハウス(株)社長に48歳の若さで就任した成田和幸氏は、在来住宅の「尺貫法」から、高齢者にも優しいメートル法への転換など、時代の1歩先をいく戦略でいま注目を集めている。
窪田隆一氏2003.4.25  窪田隆一 三共アグロ(株)取締役社長
     
 「業界に密着したスピーディーな経営に転換し、常に農家の視点にたった製品およびサービスの提供を通じ、日本農業の発展に貢献していく」。4月23日、東京ドームホテルに関係者約200名を集め開催した新会社設立披露パーティで、窪田社長は同社の企業理念をこのように語った。「三共農薬」は、三共(株)が1921(大正10)年にわが国初の合成農薬「クロルピクリン」を発売して以来80余年の長きに亘り、農薬の研究・製造・販売を通じて農産物の安定生産に寄与してきた。流通では、農薬卸商を育ててきた功績が大きい。三共アグロユニットの中核として、今後の動向が注目される。
本山 直樹氏2003.4.21  本山 直樹 千葉大学園芸学部教授
     
 農薬の使用者責任を明確にし、消費者の安全性を確保するなど、長年にわたって蓄積されてきた問題を解決する仕組みができたといういう意味で、今回の農薬取締法改正は「歴史的にも高く評価される制度改革」だと本紙インタビューで語った。また、さまざまな論議を巻き起こしている特定農薬(特定防除資材)についても「農取法の原点である品質と効力の確認、そして人間の健康と環境に対する安全性」を科学的な根拠にもとづいて確認しなければ指定できない。保留されているものについては、「時間をかけて資料を集め判定していく」とも。さらに、農薬を適正に使って生産された農産物が危険であるかのような事実とは異なる印象を与え、消費者に誤解を与えることにもなるので「差別化のために、減農薬とか有機とかをセールスポイントとして強調することは止めて欲しい」とも。
多田 重喜氏2003.4.11  多田 重喜 (社)全国食肉学校専務理事・学校長
     
 全国食肉学校は、食肉の処理・加工・調理・販売と食肉・食肉加工・食肉調理品の品質検査などに関わる技能者を養成する日本で唯一の公的な学校だ。昨年、校長に就任した多田校長は、学校教育、研修・セミナー、通信教育、資格認証制度の4つを柱に、インターネットも活用しながら積極的に事業を展開している。安心・安全を求める時代の要請に合った仕事といえるが、「それに応えるには、何か光るもの」が必要であり「そのためには、業界よりも半歩先を行くこと」と考えている。そして「無限な可能性のある若者」との生活は楽しいとも。(詳細は「この人と語る21世紀のアグリビジネス」を)
今村 司氏2003.4.9  今村 司 日本テレビ編集局プロデューサー
     
 アイドルたちに百姓仕事をやらせるテレビの人気番組「ザ!鉄腕!DASH!」のプロデューサー。現代農業ではなく、農機などの文明の利器を使わない素朴な農法にタレントたちが挑む。例えば炭も自分たちで焼くといった自給自足の村づくりを見せる。JA全国機関新規採用職員研修会の記念講演で同番組のエピソードを語った。裏番組はお年寄りを笑いの種にして視聴率が高かったため〈負の笑いを誘うような番組でよいのか〉という疑問から「DASH」を企画。今では視聴率を大逆転させた。ちなみに研修会では新入職員の大多数が、この番組を見ていることがわかった。
亀井善之氏2003.4.2 亀井善之 新農林水産大臣

 3月31日に辞任した大島農相の後任に決まった亀井善之氏は、4月1日午後、皇居での認証式後に農水省に初登庁、記者会見に臨んだ。亀井新大臣は、BSE問題、食品偽装問題など食と農をめぐるさまざまな課題が顕在化していると指摘、「消費者の視点に立った政策の再構築が急務」などと語ったほか、WTO農業交渉については「EUなどと引き続き連携して、現実的でバランスのとれた合意が得られるようさらに努力していきたい」と延べた。また、農協改革については3月末の「農協のあり方研究会」報告の方向について「時代の要請でもある。積極的に(報告内容が)実現できるよう努力していきたい」と語った。衆議院議員当選7回。神奈川県選出。元運輸大臣。66歳。
佐藤晴登氏2003.3.26 佐藤晴登 家の光協会 新会長

 3月25日の臨時総会後の理事互選会で新会長に選ばれた。「教育文化活動は土づくりのようなもの。重要性を痛感している」。「家の光」は農業の技術を伝えるというより農業、農村の「精神」を伝える点が他の雑誌にない特徴だと語る。今後の普及に向けては、農業者以外も含めて「農村に住んでいる人の本」を意識して事業に取り組みたいと強調した。
齊藤 徹夫氏2003.3.17 齊藤 徹夫 全農クロップ(株)社長

 国産農産物を販売する同社は今年創立20周年を迎えた。創立時の社名にもなり、同社の事業を支えてきた国産乾椎茸は、中国産の進出で需要が激減し、いまは国産大豆やでん粉などの農産物が同社の中心となっているという。今後の事業は、乾椎茸も大豆も全農安心システムやトレーサビリティの考え方を積極的に取り入れ、「全農マークだから安心」と消費者から信頼される仕組みをつくっていくことだと語った。(詳細は『全農マークを信頼のマークへ』第6回「トレーサビリティで消費者の信頼を確保」を)
延原 修氏2003.3.10 延原 修 世界らん展日本大賞受賞者

 東京ドームで開催された『世界らん展日本大賞2003』(2月22日〜3月2日)で、栄えある日本大賞に輝いた。受賞花名は、「パフィオペディラム ロルフェイ”コウベ2000”」。岡山県備前市で延原洋らん園を営む延原(のぶはら)さんは61歳。シンビジューム、切り花などを中心に20年余のキャリアを持つ。1901年にイギリスで交配が登録されてから、多くの優秀な花があるが、日本大賞花は同じ交配のなかでも、花の大きさや色の濃さ、形が整っていることが高く評価され、これまでにないもっとも優れた作品として講評を受けた。
ローレンス ユー社長2003.3.6 ローレンス ユー社長 バイエル クロップサイエンス

 世界第二位を誇る農薬メーカーの日本法人を担う。社長就任は昨年12月だが、社名変更前も社長だった。昨年末にはアベンティス クロップサイエンスシオノギ(株)を統合した。農薬営業部はまだ2部制だが、今年10月には1本化する。さらにJA担当を拡充する増員も考え、競争力強化の構えだ。日本の農薬市場での主導的地位を目指す。香港生まれ。大学はカナダ、英国という国際人で日本語も達者。「農薬メーカーという言葉はよくない。植物防疫に貢献しているのだから」と主張する。改正農薬取締法については「マイナー作物適応の農薬登録を増やしていく」ともいう。
船井 次平氏2003.3.4 船井 次平 JAわかやま常務理事

 住宅ローンを伸ばすのは、金利でも商品でもない「職員の意識改革」だという。職員の意識が向上すれば「目標とは、ただの通過点」となり、いかに早い時期に目標を達成し、努力をして上積みするかということになるとも。JAバンクシステムがスタートして2年目を迎えたが、住宅ローンを中心とするリテール分野での勝ち残りが大きな課題となっている。JAわかやまでは、平成10年以降、住宅ローンを柱に事業展開し、全国一の伸長率となっている。そして、貸付金に占める住宅ローンの割合はほぼ5割に達している。それを実現した「インクローズ大作戦」や「インファイト作戦」など具体的な内容は、「特集 総合力発揮で信頼性を確保―リテール分野拡大で飛躍をめざすJAバンク」を。
森口 俊氏2003.2.27 森口 俊 (株)全農青果サービス社長

 JA全農園芸販売部門直販事業の中核である東京・大和・近畿の各生鮮食品集配センターの事業を支えている同社は、これからも各センターと共存共栄していくために独自性を発揮して新たなチャレンジをしていくという。そのためにいま、コミュニケーション(Cmmunication)、コンプライアンス(Compliance)、コストパフォーマンス(Cost performance)、チャレンジ(Challenge)の「4つのC」を柱に中期計画を策定している。そして、いままでは「売場へ行け」といっていたが、これからは「家庭の台所にいって、まな板の上で野菜がどう調理されているのかを知り、そこから発想しなければいけない」とも。詳しくは、「シリーズ消費最前線 全農マークを信頼のマークへ」第5回を。
三輪昌男氏2003.2.21 三輪昌男 国学院大学名誉教授

 本紙にたびたび登場された三輪昌男(国学院大学名誉教授)さんが2月16日にお亡くなりになりました。行年76歳でした。1966年以来、私は三輪さんから農村調査、農業経済学、農協論、国際貿易論など、それに酒の飲み方まで親しく手ほどきいただきました。
 三輪さんは戦中、戦後の混乱期に青春時代をすごされ、その混沌としたの中からしか生まれえない得難い方でした。そのような三輪さんに親しく教えをいただく機会に恵まれたことを神々に感謝しつつ、故人のご冥福をお祈りいたします。(筑波大学農林学系・坪井伸広)
門傳英慈氏2003.2.20 門傳英慈 JA全青協会長

 JA全青協は、来年、創立50周年を迎える。これを機に「誰のための組織か、何のための組織か、自分たちの農業に対する思い」という原点にもう一度立ち返るべき、と語る。青年部は農協に頼まれて活動しているわけではなく、あくまで自主的、自発的な組織。「そういうベースを盟友が確認しなければ農業以外の人たちに本当の共感は得られない」と強調する。2月6、7日に開催された第49回JA全国青年大会特集の対談で語った。
西山正巳氏2003.2.6 西山正巳 (株)いなげや取締役商品本部長

 JA全農やJAグループとの取引を大事にし、首都圏に食品スーパーを展開する(株)いなげやの商品開発の責任者である同氏は、JA全農の組織統合に一番期待するのは「いままでバラバラだった安全・安心の取り組みが統一され、『安全・安心な全農ブランド』となる」ことだという。そして、安全・安心のモノサシは、生産者が自分の家族に食べさせられる作物だとも。また、商品開発のポイントとして、価格だけではなく「ちょっといいもの」があり、こうした商品も売れているという。
(詳細は、特別企画 JAグループに望むこと 「『自分の子どもに食べさせられるか』というモノサシで」を)
高橋恵子さん2003.1.31 高橋恵子さん 女優

 高橋さんは北海道標茶町の酪農家で生まれ育った。子どものころ、大人たちが農作業を助け合っていた姿が今でも心に残っているという。酪農家に生まれたよかったことは「自然には逆らえないことを知ったこと。自分自身の基礎をつくってくれた」と語る。第48回JA全国女性大会特集号のインタビューに登場。「食べものは人間を作る大事なもの。誇りを持って活気のある農業をつくって」とエールを送る。インタビュアーはJAぐんま女性組織協議会フレッシュミセス部会の成澤泉副部会長。
斎藤耕一氏2003.1.27 斎藤耕一氏 映画監督

 コメを主題にした劇映画は珍しいが、それを今、撮っている。重苦しい主題なので、都会人がコメの話は面白いと思えるようなコミカルで明るい娯楽作品にしたいという。茶髪の少年少女を都会から農村に放り込み、それを取り巻く新規就農者たちもみなわけありの面々という設定でドラマが展開する。舞台は山形県。地元の自治体やJA山形おきたまが農業振興の観点から協力。今秋完成の予定。監督は「津軽じょんがら節」はじめ数々の受賞作品に輝く。地元出身のかつての喜劇俳優伴淳三郎以上に(?)ユーモラスと期待される「百姓」俳優もデビュー(?)するなど話題は豊富だ。
日出英輔氏2003.1.23 日出英輔 外務大臣政務官 参議院議員

 新年号の対談「21世紀を拓く政治と農業のゆくえ」で米政策、JA改革などついて語ってもらった。
 昨年の米政策改革論議では、現状のままではいけないとの認識で関係者は一致したが、行政側の問題として「突然、大きな改革案を提案する」など、最近は「事実関係を議論しないでとんでもない話にポーンと飛んでしまうスタイルが多い」と指摘した。また、JAに対しては、抽象的な議論ではなく「現実的な活動に力を入れること」と都市に向けて「情報発信力」を高めることを期待した。
紺谷典子氏2003.1.17 紺谷典子 (財)日本証券経済 研究所主任研究員

 「医療保険も年金も黒字」と紺谷さんは指摘する。だが小泉改革は国民の医療費負担を増やし、年金支給を減らすなど「痛み」を強いてきた。国の財政赤字も実質は借金だ。紺谷さんは「赤字と借金は別」と説き、経常収支の黒字を挙げた。小泉政権は赤字を宣伝し「国民生活の改革は論じない」と手厳しい。不況の真っ最中に増税を論じたり「将来不安をいやが上にも高め、危機感をあおって国民負担を重くする誤った政策をとってきた」と痛烈だ。紺谷さんが本紙新春号で論陣を張った後に消費税引き上げの大合唱が広がった。これでは景気が良くならないのは明らか。「誤った政策」が続いている。
宮田勇氏2003.1.6 宮田勇 JA全中会長 新年仕事始めのあいさつ

 仕事始めの1月6日午前、JA全中の宮田勇会長は全中役職員を前に仕事始めのあいさつをした。この日は、東京都内からも富士山がはっきり見える天気。宮田会長はまず「今日の天気のようにJAグループにとって明るい年であることを期待したい」と話し、今年秋に開催されるJA全国大会について「21世紀最初の大会。広く国民に農の心を理解してもらう大会としてぜひ成功させたい」などと語った。また、今年も農政、農協をめぐる課題が多いなか、求められているJA改革を「自ら実践することが大事」と強調したほか、全中のリーダーシップに対する期待は大きいことを指摘、職員に向けては「日々、問題意識と集中力を持って仕事してもらいたい」と話した。
社団法人 農協協会
 
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