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【JCA週報】世界史の大きなうねりの中で #4(三輪昌男) (2002)2024年1月22日

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「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長山野徹JA全中代表理事会長、副会長土屋敏夫日本生協連代表会長)が協同組合について考える資料として発信するコーナーです。

今回は、当機構の前身である協同組合経営研究所が発行した「協同組合経営研究月報」2002年6月号に、三輪昌男氏が執筆された「世界史の大きなうねりの中で」です。

ボリュームの関係から複数回に分けて掲載いたします。途中で他の掲載を挟んだ場合はご容赦ください。

世界史の大きなうねりの中で #4/全6回(2002)

三輪昌男(國學院大學・名誉教授)

(連載 21世紀における協同組合の意義と課題 第1回)

2001.9.11以降(#1)
ICAソウル総会(#2)
第三世界の声(#3)
1999年末シアトル(#3)
ポルトアレグレ集会(#4)
別のダボス(#4)
新自由主義(#5、#6)
狂気の時代の正気の島(#6)

ポルトアレグレ集会

グローバル化というとき,どのようなグローバル化か,が問われる。NGOの立場でそれを明確にしたのは「ポルトアレグレ集会」であった。

現代用語辞典『イミダス』2002年版に新登場した「ポルトアレグレ世界社会フォーラム」である。前年=01年版に新登場の「ダボス会議」に対応するものなので,両方合わせて説明の要点をみよう。

◎国際決済銀行主催の「世界経済フォーラム」の大会が毎年1月末にスイスのダボスで開かれている(ダボス会議)。2001年が第31回。世界の有力企業の経営者を主に,主要国首脳,経済・社会・官界のエリートが参加し,世界経済をけん引する意見を表明している。

◎これに対抗する会議「世界社会フォーラム」が,2001年1月末にブラジルのポルトアレグレで開かれた。約1万6千人の世界のNGOが参加*。新自由主義的グローバリゼーションに対抗してグローバルな社会正義を求める,多様な社会運動組織の結束が進んだ。
*この集会の主催者報告にみる参加者数は,122か国700余のNGOの代表

2002年のダボス会議は前年の9.11のようなテロに屈しない決意の表明としてニューヨークで開かれ,世界社会フォーラムは前年同様ポルトアレグレで開かれた。

『日本経済新聞』02年2月1日付が両方の開幕を報道し,『朝日新聞」は「反ダボス」のポルトアレグレ集会について小さい記事を何回か掲載。2月2日付で,約4万人が集まったと報道した。

ポルトアレグレ集会が注目に値することは,明らかである。この集会のキーワードはグローバル化である。そして,どのようなグローバル化であるかは,次のように明確に示されている。
◎現実に今みられるのは,<世界的大企業の経営者>(を中心とするダボス会議)が推進する(優勝劣敗を善とする)<新自由主義>のグローバル化である。
◎われわれNGOは,それに<対抗>するグローバル化を目指す。

別のダボス

詳しい情報を得たい思いに駆られる。『別のダボス/世界経済システムヘの抵抗のグローバル化』という本が,その思いをかなり満たしてくれる。英国のNGO系の出版社「ゼッドブックス」が2001年半ば過ぎに刊行した本である。必要な範囲で要点をみていこう。

「ダボス会議」に対抗するNGOの結集を図ろうと発議したのは,1996年。

第1段階として,1999年1月末,ダボス会議と同じ日程で,同じスイスのチューリッヒで「別のダボス」という名の会合を開いた。参加者約60人(国籍20余)。精鋭の会合であった。
主催は4NGO:「市民の利益のための金融取引課税の協会」フランス等,「多国間投資協定に反対する連合」フランス,「代案のための世界フォーラム」多数国,「構造調整参加型観察」不詳。
招待参加の5NGO:
▼ブラジルの農業労働者組織,▼韓国の労働組合,▼ブルキナファソの農業者団体,▼ケベックの女性運動,▼フランスの失業者運動。
他の主な参加団体:▼第三世界債務取消し運動=ベルギー等,▼3大陸センター=ベルギー,▼移住者受入れ=スイス。

主要論客の論文,報告・討論の主要議事録などを収録したのがこの本である。

この会合の主催団体・参加者が核となって,ポルトアレグレ集会の開催に至る。この本に収録されている,2001年集会の「宣言」は,「私たちはシアトル以降成長した運動の一部である」と述べている。NGO運動の新しい大きな潮流の形成である。その特徴を,この本から読み取ってみよう。

●地球サミットなどと同様の,大きな課題に多様なNGOが結集したもの。
●大きな課題は,世界的大企業経営者中心の勢力による新自由主義のグローバル化への対抗。
●新自由主義グローバル化が生み出している大問題として,各国内と諸国間の両方での「経済的不平等」「富の偏在」を取り上げている。かつてその位置にあった地球環境問題は後景に退いている。軽視されているわけではないが。
●多様なNGOが,自分の中心課題に即して,大問題の表れを指摘し,それを生み出している元凶を批判。
●さらに,大問題を解決する具体的提案,つまりダボス会議路線に対する代案の提起に力を注いでいる。
●代案実現を目指すから,政府系との協議・連携を否定しない。
●組織の運営原則として「調整」「収斂」を強く唱えている。米国政権の「独善」,新自由主義の弱者切捨てへの,明確な対置である。
●ダボス会議路線の被害は南も北も同じ,という立場が明確である。

ICAソウル総会のテーマは,グローバル化であった。

総会で議論されたグローバル化のネガティブな面の諸点を,「別のダボス」会合参加NGOの名前にみられる取組み課題と並べてみると,重なり合い,交じり合い,補い合う関係にある。
協同組合はNGOであり,組合員=総会参加者は,ポルトアレグレ集会参加者と同様に,今の現実のグローバル化の被害者だから,それは当然なのである。
上述のNGO運動の新しい大きな潮流の特徴について,ソウル総会参加者に違和感はないはずである。協同組合もNGOなのだから。

けれどもたぶん,ソウル総会参加者でポルトアレグレを知っている人は少ない。日本の場合は皆無であろう。ビジネス組織の協同組合はNGOのなかで特殊であること,その他の理由がそうさせている。

これは残念なことである。弱い立場にある被害者は,連帯を力にすべきだから。シアトル以降のNGO運動の新しい潮流を視野に入れ,連帯の道を探ること,これは,協同組合の意義の発揮に役立つことに違いない。そして,それへの取組みは,欠かせない課題に違いない。

(続く)

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