イネカメムシをムシヒキアブが捕食 「天敵」防除に可能性 有機農研シンポで報告2025年10月15日
有機農業の田んぼではイネカメムシ被害をどう防ぐのか。日本有機農業研究会のシンポジウムで、栃木県で「舘野かえる農場」を営む舘野廣幸さんが、ムシヒキアブがカメムシを捕食した写真をスライドに映し、「天敵を使った防除」を紹介した。
イネカメムシを捕食するムシヒキアブ(栃木県野木町、舘野廣幸さん提供)
藤原辰史・京都大学教授が講演
シンポは「『令和の米騒動』と『百姓一揆』を根本から考えよう」をテーマに、10月14日、オンラインで開催された。藤原辰史・京都大学教授が「食権力」をめぐって講演。その後、舘野さん、令和の百姓一揆in新潟共同代表の天明伸浩さん、食政策センター・ビジョン21代表の安田節子さんが報告した。
10a当たり9俵に収量回復
栃木県野木町にある10haの田んぼで有機栽培で米を作る舘野さんは、米騒動を招いた米不足の一因にもなったカメムシ被害に関連し、「天敵のムシヒキアブがイネカメムシを捕食したところを写真に撮った。去年はイネカメムシに4割くらいやられたが、今年は1割弱にとどまった」と現場から報告した。
2024年は、特に8月中旬以降に出穂した稲は10a当たり収量が60~120kgにとどまった。25年は、親のイネカメムシは相当数いたが被害は軽減し、平年並みの10a当たり360㎏ほどの収穫量だった。
ただ、8月下旬以降に出穂した稲では今年もイネカメムシ被害があり、収量が減った。舘野さんは「周囲の稲が刈り取られた後に出穂した稲にカメムシが集中したのではないか」と推測する。
生態系を保つことが大切
本紙の取材に舘野さんは「稲刈りをしていたらカエルがだいぶ飛び出してきた。カエル、アブ、トンボもイネカメムシの天敵で、毎日害虫を捕らえてくれる。カメムシが増えれば天敵も増え、バランスが取れる。生態系を保つことが大切だと思う」と説明した。
イネカメムシは稲の穂を吸汁加害し、斑点米や不稔を引き起こし収量低下を招く。被害を防ぐには、慣行農業では農薬を使った適期防除が基本だが、有機農業ではどうするかが切実な課題となっている。東京都が8月21日に開いた「TOKYO農業フォーラム2025」でも参加者から質問が出ていた。
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