宮城米販売戦略会議開く 事前契約75%、一等米92.5%、概算金3000円追加 米価巡り意見交換も JA全農みやぎ2025年10月9日
JA全農みやぎは10月3日、東京都内で「令和7年産宮城米販売戦略会議」を開き、宮城県や県内JAの営農部長、主要な卸売企業など60人以上が参加した。例年はCM発表や宮城米説明会として開いてきたが、今回は全国の米卸売企業を招き「信頼を高め、宮城米の生産販売の目指す方向と考え方を共有」(都築祐一県本部長)する場に変更した。会議では令和7(2025)年産米の生育や集荷状況、概算金の3000円の追加払いなどについて報告された。米価や概算金を巡っては厳しい意見も出された。
JA全農みやぎの都築祐一県本部長が開会あいさつ
主食用米の作付けは、当初6万199haでスタートし、品薄感と相対取引価格の上昇を受けて、6月末現在は4748ha増の6万4947haとなった。高齢化・担い手不足への対応策では、乾田直はの普及に力を入れ、24年産米では移植栽培と同程度に「収量、食味とも良好」(都築本部長)という。
24年の県内水稲直は栽培面積は4333ha(23年は4229ha)で、このうち乾田直は71%の3097ha(同2530ha)へと面積、比率とも高まっている。25年は県内全JAの8ほ場で「乾田直播栽培試験普及展示圃」を設置し、「環境保全米型栽培」「低コストまたは新規資材」「大豆後作体系」の3つの試験からメニューを選べるようにした。
生育は水不足や高温障害が心配されたが、平年並みに回復した。一部で乳白粒やカメムシの被害もあったが、10月3日時点の主食用うるち米の一等米比率は合計で92.5%と良好だ。銘柄別の一等米は「ひとめぼれ」は94.4%、「ササニシキ」70.1%、「つや姫」95.0%、「まなむすめ」93.8%、「だて正夢」99.7%、その他88.9%。
概算金は、商系との集荷競争が続いていることから追加払いを決めた。一等米60kgあたり主要銘柄米の「ひとめぼれ」(概算金2万8000円)「ササニシキ」(同2万9300円)「つや姫」(同2万8100円)「だて正夢」(基準品、同2万9300円)に対して、それぞれ3000円を追加で支払う。
集荷対策では、事前契約(3年間の最低保証買取契約)に取り組み、「目標を上回る」(都築本部長)11万3964t、出荷契約に占める割合は75%と高い比率を達成した。ただ、販売計画の15万6000tに対する出荷契約は、まだ15万1979tと「生産量の増加に対しては厳しいので、もう少し積み上げる」(佐々木利幸米穀部長)としている。
都築県本部長は「今後も全国トップクラスの集荷率、県の環境保全米の全県推進運動で安定生産、供給に努める」と述べた。
会議には米卸売企業からも多数が出席
米卸売企業からは、米価や概算金の水準に対する質問や意見が出された。名古屋食糧から「今年の米価に妥当性はあるか。このままでは外国産米の奨励になってしまう。スーパーなどで3980円は売れるが、4500円を超えると売れない」、むらせからも「バイヤーからは3000円台や外国産米の要望がある。今後の概算金は2万5000~3万円ぐらいが着地点では」といった意見が出された。
JA全農の藤井暁米穀部長は「現在の価格形成は24年産米の集荷が苦戦したことから、各取引先と相談しながら進めた。25年産米はまだ集荷途上で、なるべく早く着地の数字を示したい。現在の米価が妥当かどうかはご指摘の通り。25年産はしっかり売っていただき、先のことは走りながら考えたい」と答えた。
JA全農みやぎの佐々木米穀部長は「商系との集荷競争は継続している。(現在の米価は)消費者からすると理解は厳しいが、宮城県だけが3980円にはできない。概算金を3万3000~3万4000円とすることで、JAに出荷してよかったと思ってもらえる」と述べ、都築県本部長は農水省が示す60kgあたりの生産費1万6000円では「再投資や営農は難しい。最低でも20000円以上が必要」と補足した。
乾田直はでは、「メリットだけでなくデメリットもあり、収量は確保できるのか」(むらせ)や「移植栽培との価格差は」(沖縄食糧)などの質問が出された。
都築本部長は「鳥や風の影響はないが、除草剤散布のタイミングを間違えると雑草に負ける。農研機構の指導を受け、JAの営農担当者も身に着けたい」。佐々木米穀部長は「大型の農機導入コストも必要で、移植栽培との価格差は設定していない。新しい取り組みでもあり、コストや収量などを試算して検討したい」とした。
サンドウィッチマンのテレビCMは今年は宮城県内のみで放映
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