JA全農とちぎは集荷対策で成果 米価高騰に警戒、2026年は概算金見直しも JA全農がJAなすので視察会2025年10月24日
JA全農は10月23日、報道関係者向けに栃木県那須塩原市のJAなすの管内で現地視察会を開き、米の集荷・流通体制の取り組みを紹介した。同県では、県本部に集荷専任担当者を配置するなど対策を強化し、集荷量の増加など成果を挙げている。一方で、WCS用稲の作付面積の大幅な減少や、米価高騰による需要減への懸念も強まり、2026年に向けた概算金見直しの声も出た。
説明会
県全体の集荷量20%増、品質も維持
JA全農とちぎ 中村昌文県本部長
JA全農とちぎは「年間を通じた安定供給に向けた米の集荷が最大の課題」(中村昌文県本部長)と位置づけ、令和7(2025)年度は県本部に4人の集荷専任担当を置き、各JAと連携して訪問活動を展開。県全体では大規模農業者を中心に353戸を訪問し、JAなすのではそのうち178戸を訪問した。
商系業者は当初、「概算金を上回る価格で米を集めていたが、9月下旬には集荷を停止、撤収した」(中村本部長)という。理由は定かではないが、必要な数量を確保したか、あるいは価格が上がりすぎたのではないかとも見られている。こうした背景もあり、JAへの集荷が増え、県全体の集荷量は前年比20%程度増加しており、「さらに上積みを目指す」としている。増加率は「全国的に見ても高い」(藤井暁JA全農米穀部長)という。
JA全農 藤井暁米穀部長
JAなすのでも、主食用・加工用・酒米を含めた全体の集荷量は前年比11.3%増加している。管内の米生産量は全体で約6万トンで、このうちJAなすのが春先に農家と契約した集荷量は3万4200トン。契約に対する集荷率は前年の75%から、25年は「現時点で78%。契約数量の8割は確保したい」(渡邉一夫組合長)と述べた。
JAなすの 渡邉一夫組合長
品質面では、カメムシ被害を「適期防除で大幅に減少」(中村本部長)させた。一部に白未熟米など高温障害は見られるものの、1等米比率はコシヒカリ94%、「とちぎの星」97%と高水準を維持している。
概算金2万~2万2000円を維持したい
概算金は主力の「コシヒカリ」で3000円の追加払いを決定し、60kg当たり3万1000円とした。一方、「なすのひかり」「とちぎの星」は「これ以上の追加払いは難しい」(中村本部長)として、2万7400円に据え置いた。渡邉組合長は「この水準を継続できる保証はない。生産資材の値上がりもあり、2万〜2万2000円を維持できれば後継者も米づくりを続けられる」と述べ、26年以降の見直しの必要性を示唆した。
現在の米価についても「県内産の出荷が遅れ、店頭の動きも鈍い」(中村本部長)。ただ、「消費者の理解が進んでおり、5kgで3000〜3500円程度なら、むしろチャンス」(渡邉組合長)との見方も示した。藤井部長は「現行の米価は令和6(2024)年産のスライドであり、行き過ぎれば消費が落ち込む懸念がある。まず新米を消費者に食べてもらう活動に注力し、売れ行きを見ながら小売の要望を例年以上に聞き取って価格を決めていく段階」と述べた。
WCS用稲の作付けは65%減
また、概算金水準の影響もあり、農家ではWCS用稲や加工用米から主食用米への作付けの転換が進んでいる。25年の作付面積は、前年に比べ主食用米が947ha増加する一方、WCS用は731ha、加工用米は200haと減少した。減少率はWCS用で65.2%、加工用米で39.5%と大きくなっている。
渡邉組合長は「とちぎ和牛は米を食べて育ってきたが、WCSが確保できなければ維持が難しい。農家には生産をお願いするしかない」と現状を説明。同時に、「概算金が1万5000円未満であればWCS用とそん色はないが、現在の概算金との価格差では農家にとって損になる。公的資金の投入がなければ続けられない」と訴えた。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】冬春トマトなどにコナジラミ類 県西部で多発のおそれ 徳島県2025年11月7日 -
米の民間4万8000t 2か月で昨年分超す2025年11月7日 -
耕地面積423万9000ha 3万3000ha減 農水省2025年11月7日 -
エンで「総合職」「検査官」を公募 農水省2025年11月7日 -
JPIセミナー 農水省「高騰するコスト環境下における食料システム法の実務対応」開催2025年11月7日 -
(460)ローカル食の輸出は何を失うか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年11月7日 -
「秋の味覚。きのこフェア」都内の全農グループ店舗で開催 JA全農2025年11月7日 -
茨城県「いいものいっぱい広場」約200点を送料負担なしで販売中 JAタウン2025年11月7日 -
除草剤「クロレートS」登録内容変更 エス・ディー・エス バイオテック2025年11月7日 -
TNFDの「壁」を乗り越える 最新動向と支援の実践を紹介 農林中金・農中総研と八千代エンジニヤリングがセミナー2025年11月7日 -
農家から農家へ伝わる土壌保全技術 西アフリカで普及実態を解明 国際農研2025年11月7日 -
濃厚な味わいの「横須賀みかん」など「冬ギフト」受注開始 青木フルーツ2025年11月7日 -
冬春トマトの出荷順調 総出荷量220トンを計画 JAくま2025年11月7日 -
東京都エコ農産物の専門店「トウキョウ エコ マルシェ」赤坂に開設2025年11月7日 -
耕作放棄地で自然栽培米 生産拡大支援でクラファン型寄附受付開始 京都府福知山市2025年11月7日 -
茨城県行方市「全国焼き芋サミット」「焼き芋塾」参加者募集中2025年11月7日 -
ワールドデーリーサミット2025で「最優秀ポスター賞」受賞 雪印メグミルク2025年11月7日 -
タイミーと業務提携契約締結 生産現場の労働力不足の解消へ 雨風太陽2025年11月7日 -
スマート農業分野の灌水制御技術 デンソーと共同で検証開始 ディーピーティー2025年11月7日 -
コクと酸味引き立つ「無限エビ 海老マヨネーズ風味」期間限定で新発売 亀田製菓2025年11月7日


































