無償化が追い風 給食での地産地消 オーガニック化の取り組みも2025年12月10日
学校給食での地場農畜産物の活用が進んでいる。各地JAの努力もあり、オーガニック給食の取り組みも勢いを増す。給食での地産地消や有機農産物利用は農家手取りの向上や新規就農支援にも有意義だ。2026年度から政府がめざす学校給食無償化も追い風になっている。
学校給食向けに有機米を作る有機JAS認証ほ場の前に立つJA常陸の秋山豊組合長(茨城県常陸大宮市)
15校2700人が給食で有機米のご飯
茨城県常陸大宮市では、JA常陸と市とが協力し、有機農業とオーガニック給食に取り組んできた。JA常陸の秋山豊組合長は、有機米を生産している田んぼを指し「1年目は4haからのスタートでした」と話した。
2年目に9ha、今年(2025年)は14haに広がった。15校で生徒と先生2700人が、ここでとれた有機米を週5日食べている。
「スッキリ甘いコシヒカリです。深水栽培で代かきを2回し、雑草を防いでいます。収量は10a当たり7俵(1俵=60kg)と慣行農業より2割落ちますが、その分市に高く買ってもらえるので手取りは良いです」と秋山組合長は笑顔で語った。
田植えや稲刈りの際は子どもたちも呼ぶ。田んぼは「学びの場」にもなっている。
トップは栃木県 全国に広がる地場産活用
茨城県は学校給食での地場農畜産物の使用割合が高いことで知られる。文部科学省の調査では、学校給食での地場産物使用率(金額ベース)は、トップが栃木県の80.1%で、島根県78.1%、茨城県74.4%、愛媛県73.7%、北海道72.8%、鳥取県72.5%、福島県71.8%と続く(2024年度)。
JA鳥取県中央会の栗原隆政会長は「鳥取県ではJAが食農教育に力を入れ、県や学校給食会と協力してきた。予算の制約もあるが知事も熱心で、『学校給食の日』に県下一斉に特産物を出したり、シャーベットに県産の梨を使うなど取り組みを広げてきた」と話す。
文科省は環境保護への貢献、学校と地域との連携に加え、「児童生徒が、より身近に、実感を持って地域の食や食文化等について理解を深め、食料の生産、流通に関わる人々に対する感謝の気持ちを抱くことができる」点を、給食に地場産物を活用することで期待される教育的効果に挙げる。
給食での地場産活用、「骨太の方針」にも
学校給食無償化が2026年度から始まるのも大きな追い風だ。
2025年2月25日、自民党・公明党・日本維新の会の3党は教育無償化の一環として「給食無償化」を位置づけ、「まずは小学校を念頭に、地方の実情等を踏まえ、令和8年度に実現する。その上で、中学校への拡大についても、できる限り速やかに実現する」と、「地産地消の推進を含む給食の質の向上」についても「十分な検討を行う」とした。
これを受け、「骨太方針2025」に「いわゆる高校無償化、給食無償化......については令和8年度予算の編成過程において成案を得て、実現する」と明記され、「学校給食での地場産物等の活用を含む食育を推進する」ことも盛り込まれた。
国と自治体との負担配分や財源は調整中だが、無償化が実現すれば「地場産物の活用」やオーガニック給食もより実現しやすくなるだろう。国と自治体との分担がどうなるとしても、予算制約は今後も残る。教育効果や地域農業振興の意義を踏まえた対応が望まれる。
JA常陸の秋山組合長は「人が何を食べ何を考えて育つかによって、その国の希望が生まれ進路が決まる」(JAcom1月17日付寄稿)と述べ、地産地消、オーガニック給食推進に期待を込める。
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