田んぼは売るな、畑は売るな【森島 賢・正義派の農政論】2025年12月8日
●古くて新しい農業者への戒め
表題は、わが国の農村で、昔から言い伝えられてきた、戒めの言葉である。どんなに困窮しても、土地だけは売るな、という訓戒である。
ここには、旧くから低所得に呻吟していた農業者の苦難が凝縮されている。つまり、土地さえ持っていれば、何とか食っていける、だから、土地は絶対に売るな、という訓戒である。
●資本主義の宿痾に対する抵抗
今でも、この訓戒は形を変えて続いている。そして、今後も資本主義が続くかぎり、貴重な訓戒であり続けるだろう。
日本のような資本主義国では、土地の私的所有権が認められている。だから、自由に売ることができる。だが売るな、というのがこの訓戒である。
この訓戒は、いまでも生きている。そして、資本主義が続くかぎり、大事な訓戒として、連綿と続くだろう。資本主義は、しばしば過酷な搾取によって、農業者に土地を売らせるほどの窮地に追い込むからである。
中国のように、社会主義国では、土地の私的所有は認められていない。だから、土地は売れない。搾取もない。だから、この訓戒は無意味である。そうなるまでの辛抱ともいえる。
●売国農政は論外
さて今、米価高騰の問題は農業問題として最重要の問題である。それだけではない。重大な社会問題になっている。
1つの考えがある。
それは、輸入を排してこの問題を解決するには、コストを下げればいい、という俗論である。
コストを下げて、安価なコメを十分に供給することは、農業者の最も重要な社会的責務である。だが、この俗論では、この責務は果たせない。俗論という所以である。
●規模拡大によるコスト削減では解決できない
この俗論によれば、経営規模を拡大し、新しい技術を開発し、それを駆使すれば、コストを削減できて、米価を下げることができる。そうすれば、必要なコメは国内生産で十分に供給できる。だから、外国に依存しなくていい、という。
だが、そんなことができるか。規模を拡大できるところは、平地農村地域に限られる。中山間地域ではできない。
その上、小面積の水田があちこちに分散している。これは、地力の違う水田を皆で少しずつ持とう、という共同体の歴史的な知恵である。
このような事実を考えると、大規模経営が出来るところは限定される。だからといって、小規模農家がコメ作りを止めてしまえば、国内生産だけでは需要をまかなえない。
●小規模農家の支援は政治の責任
どうするか。小規模農家もコメ作りを続けられる状況を作り出さねばならない。それは政治の責任である。
どんな責任か。それは、小規模農家でも生産費を償えるような米価の設定であり、非農家の人たちと同じ程度の生活を享受できる所得の補償である。
「田んぼは売るな・・・」の訓戒を、今こそ生かさねばならない。
●鈴木農相は「脳内戦艦サナエ」の高級士官
だが、鈴木憲和農相はいう。「米価に政治は関わるべきではない」と。これは無責任だ。責任逃れの上手な、財界に忖度するのが上手な、醜い小心者の言い逃れだ。
農相は「脳内戦艦サナエ」の高級士官ではないか。小規模農家と大規模農家が、ともに協力して、コメ作りに励めるような法令と制度の整備を、艦長に進言したらどうか。
(2025.12.08)
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】キャベツにテンサイシストセンチュウ 県内で初めて発生を確認 愛知県2026年4月7日 -
【JA人事】JA八千代市(千葉県)鈴木秀昭組合長を再任(3月26日)2026年4月7日 -
水田作のソーラーシェアリングの可能性【熊野孝文・米マーケット情報】2026年4月7日 -
中国代表決定「JA全農杯全国小学生選抜サッカー大会」優勝は「サンフレッチェ広島F.Cジュニア」2026年4月7日 -
四国代表決定「JA全農杯全国小学生選抜サッカー大会」優勝は「徳島ヴォルティスジュニア」2026年4月7日 -
「GREEN×EXPO 2027」ルクセンブルク、インドと公式参加契約を調印2026年4月7日 -
越後製菓が新潟県産水稲由来J‐クレジット活用 地域農業に還元 農林中金、フェイガーと連携2026年4月7日 -
GREEN×EXPO 2027記念「生命の庭」作品を募集 都市緑化機構と第一生命2026年4月7日 -
米ぬか由来成分が油脂中の香りを保つ効果を確認 福島大学と共同研究 築野食品工業2026年4月7日 -
秘伝のレシピを研磨 珠玉の味わい「謹製スパイスソース」新発売 エスビー食品2026年4月7日 -
大輪のマンゴーのバラ「母の日限定ケーキ」予約・販売開始 カフェコムサ2026年4月7日 -
食のバリューチェーンの再構築に挑む特別編「FVN NEOVol.5」開催2026年4月7日 -
春夏秋冬で生産者を表彰 産直アウル「全国産直食材アワード2026」発表2026年4月7日 -
亀田製菓「技のこだ割り」『dancyu祭2026』で試食体験&限定商品販売2026年4月7日 -
園芸用ピートモス代替 製造残渣を活用した用土用資材「Teamoss」開発 サントリー2026年4月7日 -
エネルギーと食の地域総合インフラプロバイダー「株式会社ミツウロコアグリ」営業開始2026年4月7日 -
能登半島地震支援で海藻栽培の取り組み開始 シーベジタブルと連携 グリーンコープ共同体2026年4月7日 -
新潟のブランドいちご「越後姫」スイーツ&パンまつり開催2026年4月7日 -
食と農林水産業の未来を協創 研修型カンファレンス「ONE SUMMIT 2026 in 新潟」開催2026年4月7日 -
細胞性食品・代替タンパクの最新動向を議論「第8回細胞農業会議」開催2026年4月7日


































