水田作のソーラーシェアリングの可能性【熊野孝文・米マーケット情報】2026年4月7日
(株)舞台ファーム(本社宮城県仙台市 針生信夫社長)は、同社のレタス生産工場美里グリーンベース(宮城県美里町中埣)に隣接する水田に営農型太陽光発電設備(ソーラーシェアリング)を建設、4月3日に竣工式を開催した。約4億5000万円を投じて完成した営農型太陽光発電設備は面積が3.9haで、両面型太陽光パネル3990枚を設置しており、1.5メガワットの発電能力がある。これにより年間1億円もの電気代がかかるレタス工場の78%の電力を賄うことが出来るようになる。さらには、グリーンベースの駐車場にEVステーションを設置、美里町の住人はEVステーションで無料で電気を得ることが出来、電気自動車やドローンのバッテリーなども充電できるようになっている。同社は大手卸(株)神明と提携し、この営農型太陽光発電設備を全国各地に広げたいとしている。

竣工式で針生社長は「近年、世界的なエネルギー問題は急激に深刻化しており、私たちの工場においても、年間で約1億円もの電気代がかかっており、設備の自動化が進むほどエネルギーコストの増大という課題に直面している。こうした背景の中、地域の皆様とともに持続可能なエネルギーのあり方を模索し、農業と両立する形での再生可能エネルギー導入を目指し、その象徴が、本日竣工したソーラーシェアリング事業です。
現在、太陽光発電により、電力コストの約33%を削減できる見込みで、さらに今後は、蓄電池の導入・増強を進め、最終的には年間の約78%をグリーンエネルギーで賄う計画。本年11月にはその体制が整う予定。本事業は、単なる発電設備ではなく、『農業とエネルギーの共存モデル』として、日本全国に展開可能な象徴的な取り組みになると考えている。
本発電所は、農林水産省の方針に基づき、農地への日照を確保しながら設計されており、作物の生育と発電の両立を実現している。具体的には、約70%以上の光が農地に届く設計とし、農業への影響を最小限に抑えている。設備規模としては、出力620Wのソーラーパネルを約3,990枚設置し、直流(DC)で約2,274kW、交流(AC)で約1,500kW、すなわち1.5メガワットの発電能力を有している。
今後は、実証・検証を重ねながら、農業生産への影響、作業性、収益性などを多角的に分析し、その成果を全国へ発信していく。本取り組みが、地域の持続可能な農業とエネルギーの未来を切り拓く一助となることを願っている」と述べた。
特徴としては、国内最大規模の営農型太陽光発電施設ということがまず挙げられるが、水田の上に太陽光パネルを設置すると日光が遮られることから稲の生育に影響が出るのではないかという懸念があるが、この点について同社では、全面的に太陽光を遮断するわけではなく、パネルには隙間があり、裏面にも発電パネルが付いているため発電効率を落とすことなく、稲の生育にも影響を最小限に抑えることが出来、発電と稲作を両立させられるとしている。
また、太陽光発電の架台には藤棚式を採用、支柱の間隔は約4.7m、高さは地上3mに設定してあるため田植え機やコンバインなど農業機械が作業可能な空間を確保している。農薬や肥料はドローンで空中散布する予定。田植えは5月連休明けから始まり、主に「にじのきらめき」を作付けする計画。
こうした取り組みについて同社では「農エネ業」という新しい概念を提示している。これは農業とエネルギーを一体として捉えるという産業概念で、従来の農業は太陽光を利用して作物を育てるという産業であったが、現代の農業は電力を前提とした高度な生産システムへと急激に変化しており、農地は人の食料を生産する重要な位置づけであると同時に、ロボット、機械の食料である電気エネルギーを供給するものとして進化させるとしている。
農水省が今年1月にまとめた営農型太陽光発電に関する資料によると営農型太陽光発電を設置するための農地の一時転用許可件数は年々増加して令和5年度までで6137件、発電下部の農地面積は1361haになっている。作物別では件数が最も多いのが観賞植物で36%、次いで野菜28%、果樹13%になっている。米、麦、大豆、そばは合計で9%(741件)に留まっている。
農水省は望ましい営農型太陽光発電の考え方として(1)発電設備の形状:一般的な農業の継続を重視、(2)営農の内容:食料安全保障への貢献、(3)地域との共生:利益還元と合意形成の3つをあげ、「営農の内容」については、単なる売電目的ではなく、確実に営農継続が図られて農業者の所得向上を前提とする考えを示している。
栽培する品目は、遮光環境下でも一定の収量が確保でき、食料安全保障に資する「米・麦・大豆」を推奨している。
言うまでもなく水田面積は広大で、稲の生育に影響なく太陽光発電が出来るのなら「農エネ」革命も実現できる。
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