【今川直人・農協の核心】農協の農業経営をめぐる環境変化(2)2025年12月8日
2.広がる選択肢
計画・実践の要で二役
四半世紀の岐路に立つ現在の政策は、基本法・基本計画が提起する①農地集積(仕上げ・加速)、②スマート農業、基盤強化法が提起する③農地集約および④安定的担い手の確保、の四政策である。
そのなかで絶対的必要条件とされるのが、④の長期に安定的な担い手の確保で、その手段が地域計画である。地域計画は改正基盤強化法施行(令和5年4月1日)から2年以内(令和7年3月末まで)に策定することとされた。地域計画は、実質化を余儀なくされた前身の人・農地プランの反省に立って制度として実効性を確保することとし目標図を備えた10年後計画の策定と最低年1回の見直し(ブラッシュアップ)を求めている。農協はこの計画の策定と実行の双方で重要な役割を果たすことを求められている。
農作業受託の先にある姿
農水省の「農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律について」(令和5年8月)は予算の活用を含む詳細な資料である。農協は協議の場の構成員であるが、それは役割の一部である。資料に目標地図について「eMaff地図上でワンクリックで何通りもの地図を作成可能」とある。便利になったものである。担当の農業委員会に情報を提供し協力するのは「農地バンク、JA、土地改良区等の関係機関」である。さらに、農作物作付け方針は「JAと連携」である。
受け手がいない地域での当面の対応に「JA等のサービス事業体等の活用」を挙げている。最大のポイントである。2025年3月末に農水省がまとめた地域計画の策定状況によると将来の受け手がいない農地が3割である(本紙3月24日)。
行政が最も期待を寄せているのが「サービス事業体」である。農水省の農業サービス支援募集資料は専門作業受注型、機械設備供給型、人材供給型、データ分析型に区分し、前二者にJA鹿児島経済連、ジェイエイフーズ宮崎など農協の4つの取り組みを例示している。コントラクター(受託組織、cf.クラスター:連携体制)、CBS、CS、公共牧場(農協有は1割)などすべてサービス事業体。スマート農業の普及でも期待はサービス事業体である。農外企業を含めて農地の受け手が埋まらないことが、行政の調査で眼前の事実となっている。政府の期待は上記の作業受注型である。受託はさらに増加することは確実であるが、再委託は極めて困難。すべての農協が「もう一歩川上に」である。
4倍増の集約化予算
「農地の集積・集約の加速化」の令和8年度予算概算要求額は293億円(前年度当初予算の1.8倍)である。そのうち農地の集約化のための予算は161億円(同3.8倍)である。主な内容は農地バンクが行う遊休農地の解消・畦畔除去、受けて不在農地を含めた大規模な農地の集約化などである。条件不利地域など、借り手が付いていない農地まで整備され、農協の農業経営の一つの隘路が解消される。現在の農業と食料需給の実態は、農協が川上に向かってさらに踏み入ることを求めている。
改正基盤強化法の下で、農協の隣人とも言うべき農業委員会と土地改良区も従来以上に機能発揮が求められている。とくに農業委員会がカネと太鼓で耕作者を募っている。
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