ウイロイドへの感染が「根頭がんしゅ病」の発病を抑制することを発見 農研機構2026年2月2日
農研機構は、植物が最小の病原体「ウイロイド」に感染することで、果樹や花きで深刻な被害をもたらす根頭がんしゅ病の発病が抑制されることを世界で初めて明らかにした。今後、弱毒化したウイロイドなどの植物ワクチンの開発により、農薬使用削減による環境負荷低減に大きく寄与する技術として、防除が難しいブドウをはじめとする果樹類や花き類の根頭がんしゅ病対策への応用が期待される。
根頭がんしゅ病は、Rhizobium radiobacter (リゾビウム・ラジオバクター)やAllorhizobium vitis(アロリゾビウム・ビティス)(以下、根頭がんしゅ病菌)によって、植物の根や茎などに「がんしゅ(癌腫)」と呼ばれるこぶ(図1)を形成する病害で、世界中で発生している。主に果樹類(リンゴ、ブドウ、ナシなど)、花き類(バラ、キクなど)、野菜類(トマト、ジャガイモなど)で発病し、生育不良や枯死の原因となる。

図1:ブドウで発生した根頭がんしゅ病(矢印で示した部分ががんしゅ)
根頭がんしゅ病菌は土壌中に生息しており、感染した植物が枯死した後も、次に植栽した植物が再び病気になるなど、長期的な被害をもたらすため、農業生産現場にとって深刻な問題。これらの菌は、植物にがんしゅを形成させる遺伝子を持ち、がんしゅの増殖により、植物の衰弱・枯死を引き起こす。一度発病すると、菌を除去してもがんしゅの増殖は止まらず、治療することは難しく、植物の根頭がんしゅ病への感染を予防することが重要となる。
農研機構では、ウイロイドに感染した植物に他の病原体が侵入した際の相互作用を研究する中で、植物をウイロイドに感染させることで根頭がんしゅ病の形成率やがんしゅ直径が低下することを世界で初めて発見した。この成果は、総合防除を推進していく上で、環境負荷の少ない農業技術として、ウイロイドを植物ワクチンとして利用する新しい研究開発につながる可能性を示す。
今回の試験で用いたウイロイドは病原性を有しており、植物ワクチンとして利用できないため、今後は、植物ワクチンとして利用可能な弱毒化・無毒化ウイロイドの探索・開発が課題となる。
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