【特殊報】Alternaria brassicicolaによるブロッコリー黒すす症状 県内で初めて確認 埼玉県2026年1月23日
埼玉県病害虫防除所は、ブロッコリー黒すす症状の発生を県内でで初めて確認。これを受けて1月19日に令和7年度病害虫発生予察特殊報第3号を発表した。
埼玉県は2018年頃からブロッコリー黒すす病の発生が認められており、年次によっては秋冬穫りブロッコリーで大きい被害が出ている。県内の産地では、同病を起こす病原菌としてAlternaria brassicicolaが確認されていた。
埼玉県病害虫防除所によると、2025年10月に県農業技術研究センターが県北部でのブロッコリー黒すす病の発生状況を調査し、同病の病徴を生じている花蕾を複数地域で採取した。常法により被害部から病原菌を分離・培養したところ、形態的特徴がAlternaria brassicicolaとは異なるAlternaria属菌が高率に分離された。
(提供:埼玉県農業技術研究センター)
分離されたAlternaria属菌について当県農業技術研究センターで詳細な調査を行ったところ、PDA培地において硬膜胞子(写真4)を形成したこと、また、ITS領域の遺伝子解析を行った結果から、Alternaria japonica Yoshiiであると同定された。
埼玉県でのAlternaria japonica Yoshiiによるブロッコリーの病害の確認は、今回が初めて。
Alternaria japonica Yoshiiによるブロッコリー黒すす症状は、徳島県での発生が令和7年度日本植物病理学会大会において報告され、同県により病原追加が提案されている。2025年7月には愛知県から同菌によるブロッコリー黒すす症状として病害虫発生予察特殊報が発表されている。
(提供:埼玉県農業技術研究センター)
同病の特徴として、葉では黒色の小斑点を生じ、のちに病斑が拡大して黒褐色の斑点から輪紋となり周辺は黄化する(写真1)。花蕾は黒色の小斑点を生じ、のちに黒褐色に腐敗。花蕾上面から見ると、腐敗により被害部が陥没したように見える(写真1・2)。
同菌によって生じる病徴は既知のブロッコリー黒すす病に酷似あるいは同様で、病徴観察による関与病原菌の判別はきわめて難かしい。同菌による他作物の病害として、ストックやショカツサイ(オオアラセイトウ)の黒斑病が知られている。
発生生態として、病原菌は被害残渣とともにほ場に生残し、次作の伝染源になると考えられ、病原菌は10℃~35℃で生育し適温は26℃とされている。関東平坦地では、ブロッコリー栽培期間中の春季や秋季に降雨が多い場合、発生が助長されると考えられる。また、葉に生じた病斑から降雨によって周囲に胞子が飛散し、花蕾に到達して症状を発生させると考えられる。
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
(1)育苗中は高温多湿を避け、通風に努める。
(2)今後定植期を迎える春穫り栽培や初夏穫り栽培では、トンネル被覆期間中の換気に留意し多湿を避けるよう努める。
(3)栽培期間中、病徴を認めた葉は見つけ次第摘除し、適切に処分する。
(4)収穫後の残渣は同病の伝染源となるため、ほ場外に搬出し適切に処分する。
(5)Alternaria japonica Yoshiiによるブロッコリーの黒すす症状に対し適用のある農薬はない。
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